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アンドロイド魔王による異世界での理想郷  作者: ノウミ
三章 〜龍の力と魔王心〜
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【第66話】地獄の力

どうも、ノウミと申します。

まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。

沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。


X(旧:Twitter)でも情報更新しています。

↓是非フォローください↓

https://x.com/noumi_20240308?s=21

クロハは皆に囲まれながら、不気味な笑い声を浮かべていた、全員が吐き出される言葉を待っている。

この書類で、裏切り者だと認めるのだろうか。


「くっ…くくく…はははははっ……はははっ………」


部屋の中には、クロハの笑い声だけが響く。


「はぁーあっ…くくくっ」


「観念したらどうじゃ?」


「あぁ、まさか()()を持ち出されるとはな…」


「クロハぁ!!貴様、何をしとるか!!」


怒りに任せて飛びかかりそうなタルトーを、セイとグロガルが抑える。


「悪いな…タルトー……こう言う事だ」


「貴様、儂らを裏切っといて何を飄々としておる!理由はなんじゃ!!」


昔からの友だと言っていた、かつての戦争で生き残ってしまった二人だと。その裏切りは堪えるのか、感情のままをぶつけていた。

そうか、感情に身を任せるとはこの事か。


「さてな……どうしたもんか…」


「王でありながら、民を儂等をなんだと……」


襲いかかるのはやめたのか、その場で立ち直す。

セイとグロガルも、一旦手を離して見守る。


「いやぁ〜なぁ?……まぁ、なんだ…その…」


「何だ、はっきりせんか。妾かて気が長い方ではないぞ」


「そいじゃあ…まぁ、とりあえずすまん」


「なにを…」


クロハはコハクの刀を蹴り上げ、飛び上がる。

六枚の翼を巧みに使い、後ろに大きく下がった。


「ちっ、逃すと思うなよ!」

「儂が引導を渡してやる!」


《 土の棘針(ソイルニードルスピア) 》


術式を唱えると壁に大きな針が突き刺さり、外へと繋がる大穴を空けた。そのまま翼を羽ばたかせて、外に向かって飛び立とうとした。


「じゃあな…またどこかで」


皆が各々の術式を唱えてクロハを狙い撃つが、どれも当たらないこの狭い部屋の中で躱し続けていた。

そのまま穴の外へと飛び出す事を許してしまった。


私は、その事を想定して準備していた。

魔銃・超電磁砲(レールガン)を腕に構えて、飛び立ったクロハの方角へと銃口を向ける。

照準を合し、引き金に指をかける。


「ナディ!逃がすな!!」


「はい」


引き金を引き、一筋の雷光がクロハを捉える。

雷速の一弾はその翼を撃ち抜き、速度を落とさせる。

次弾を装填し、もう一度引き金を引く。


二発目は寸前で躱されるものの、逆側の翼を吹き飛ばす事に成功する。飛ぶことを維持できなくなった、クロハはそのまま地面へと叩き落とされる。


「何とかなりましたが、命中精度にはまだまだ改良の余地ありですね」


タルトーとグロガルの目が輝いている気がしたが、今はそれどころじゃない。二人も我に帰り全員でクロハの落ちた場所へと急いで向かう。


落ちた場所は騒然としていた。

それもそうだ、突如として激しい撃音が二回とそれに合わせて妖族の王が空から落ちてきたのだから、クロハの周りには竜族の人たちが集まっていた。


「離れなさい!そいつは敵です!!」


セイの声かけに全員がその場を離れる、クロハは落ちた際に術式で何とか受け身を取っており、そこまでの致命傷とはならなかった。


「くそ…それが例の兵器か……」


「おや、知っていたのですね」


「ここまでとは…聞いてなかったよ、正直」


「なら、そこまで信用されていなかったのでは?」


「ちっ……言うじゃねぇか…感情のない人形風情が」


その言い方はどこか王燐を思い出させる。

人族と繋がっていたのだ、奴とも繋がりがあったのだろう。しかし、奴が毛嫌いする様な相手にも思えるが。


「観念するのじゃ、情報を明け渡すなら情状酌量の余地を考えんでもないからの」


「甘ぇんだよ…お前ら全員な……」


クロハは懐から、どこか魔心と似た雰囲気を感じるルビーのような物を取り出した。


「死なば諸共…俺の生はあの日で終わっていた……今日この時まで、伸ばして貰ったに過ぎない…」


そう言いながら、クロハは手に持つそれを口に運ぶ。


「無駄な抵抗はよせ!」


こちらの言葉に介さず、口の中に入れて飲み込んだ。

胸を握り潰すように抑えてうずくまり始めた。


「あぁーっ……これか…()()()()とやらは…」


「なっ、地獄の力じゃと!?」


「ふはははっははは……これが…」


唸るような笑い声と共に、吹き飛ばしたはずの翼が赤黒く燃え上がり始めた、吹き出した炎は翼を形作り、クロハの背中から勢いよく羽ばたかせた。


「クロハ!お前、一体何に手を染めた!?」


「タルトー…お前とはもう…対等な喧嘩が出来ないかもな……」


「何をっ!?」


タルトーは手に持っていた大槌を大きく振りかぶり、クロハの元に向かって駆け出していく。

振りかざした大槌は、クロハめがけ振り下ろされるが炎の翼を盾のようにしてこれを防ぐ。


翼に触れた部分から大槌が溶けていき、そのまま持ち手だけとなってしまったただの棒が空を切る。


あまりの高温の翼に、大槌の方が溶け無くなった。


「何だこれはっ!?」


「いったろ……対等な喧嘩ではないと…」


炎を吐き出しながら放たれる拳は、タルトーの腹部を撃ち抜く。断末魔と呼べるほどの叫びと共に、後方へと吹き飛ばされた。セイとグロガルが飛び込んできたタルトーを受け止める。


「おい!タルトー!!」

「大丈夫か!?」


口から血を吐き、腹部は焼け爛れていた。

生きてはいるようだが、かなり危ないように見える。


奴に目を向けると吹き出していた炎は落ち着きを取り戻し、私が撃ち抜いた翼は無くなり、新たに六枚の炎の翼を背中から生やしていた。

頬には黒いヒビのようなものも見える。


先程聞こえた、地獄の力。

まさにそれを体現したのだろうか、あのルビーのような物を口にした事によって。


私は、もう一度魔銃・超電磁砲(レールガン)を構え引き金を引く。激しい撃音と共に、クロハの顔を一直線に撃ち込んだ。


またしても炎の翼が立ち塞がる。


打ち抜けたのは二枚のみ、だがそれも炎が穴を埋めるように集まり始めすぐに復活させていた。

これでは、何発撃ち込んでも同じだろうか。


「どうした……私の命は…ここだぞ…」


「すぐに届きますよ、私の弾丸ではなく鋭い刃がね」


その言葉通り、コハクが懐に入り込み左手で鞘を、右手で柄を強く握り抜刀の構えを取る。


「お主、ただでは済まさんぞ」


引き抜かれた居合の一閃。


だが、それも虚しく刀の刀身は半分以上失う事になる。タルトーの大槌と同じく、炎の翼に触れた瞬間から溶け失ったのだ。


「なぬっ!?妾の刀が……」


「届かないぞ……お前の…剣など……」


「まずい、コハク下がって!!」


「これで……二人目…」


やられると思ったその時、コハクとクロハの間に薄い三日月状の風の刃が飛び込んできた。クロハも思わず、殴りかけていた腕を引っ込める。


「コハク、今のうちに下がって体制を」


それを繰り出したのはクベアだった。手荷物小刀より斬り出されたそれは地面を斬り裂きながらもコハクを救う一手となった。


私も少しだけ安心する。


「すまぬな、クベアよ」


「いいですよ、それよりどうしましょうか」


「お主、今のは後何回出せるのじゃ?」


「良くて三回ですね、纏ったら大きいのが一回」


「なるほどの。ナディ、援護頼む!!」


「はいっ!!」


何か作戦でも思いついたのだろうか、


「奴は今の攻撃を避けよった、今まであの炎の翼で受けていたのにも関わらずじゃ」


「わかりました」

「わかった」


私は両の手に拳銃を構える、手数で二人の支援に回る。コハクは纏を発動させ遊撃に当たると、その隙をクベアが突くらしい。


ファーネとグロガルには、動かないタルトーと応急処置中のセイを守ってもらう。


クロハが動く前に、コハクが纏を始める。


《炎ノ纏・焔羅》


明るく優しい炎と、赤黒く禍々しい炎。対照的な二つの炎がぶつかり合う、以前は地獄の炎とやらに対して押し負けていたが、今回はそうはいかない。


奴が本当の地獄の炎でないからなのか、それともコハクの力が上がったからなのかは今は分からない。


それでも関係ない、二人がぶつかりあう後方から銃弾を撃ち込み続けていた、届かずに溶け消えることもあれば、掠めていく事もあった。


まだ安定した力でないように見えていた、炎の揺らぎのように、奴の力にも揺らぎが見え始めていた。

何発か撃ち込む事でそのタイミングを見極めて、的確に銃弾を撃ち込み続けていく。


次第に、クロハの体を捉えるようになり始める。


致命傷とはいかないが、それでも的確に撃ち込んだ銃傷からは血が流れ始めていた。生物のままであるのであれば、少しずつではあるが体力を削れるだろう。


そして、遂に私の銃弾はクロハの膝を撃ち抜く。


片足だが崩れたクロハ。その隙を逃すまいとコハクが渾身の拳を顔面に向かって振り下ろす。

クロハは殴られた勢いでそのまま地面に転がっていく。


殴った瞬間に、コハクの背後から風の刃を放つ。


クベアは嵐を纏い放たれるその一撃は、先ほど放たれたものとは比べ物にならないほど大きく鋭い。


だが、その刃はクロハの前で掻き消えた。


何が起こったのか分からない、確実に放たれた風の刃は横たわっているだけのクロハの手前で何も残す事なく、掻き消えてしまったのだ。


「クベア、何が起きた!!」


「姐さんすいません、何が何だか!」


「おいおい……そんなそよ風が…俺に…届くかよ」


「そよ風って、纏った僕の全力だよ!?」


「さっきの避けたのはもしや…」


「あぁ……弱みを見せたら…迷わず突くよな?」


クロハは何もなかったかのように起き上がる。

足に受けていたはずの傷も、体を掠っていた傷も何処にも見当たらない。


「闘いの鉄則だ….…間違っちゃ…いない」


「やりよってからに」


「そうだ…それは対等位で…ようやく成立する……」


「ば、化け物が」


「俺たちは…対等では……ない」


おそらく体に馴染ませるための準備運動。

その身に宿したばかりの地獄の力を…。

66話ご完読いただきありがとうございます!!


徐々に読者も増えて嬉しい限りです!!

コメント、評価くださった方皆にありがとうを!!

今後も頑張って毎日投稿していきます!^_^


また次話でお会いしましょう!

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