【第63話】カリナとメイシャンを連れて
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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今のは聞き間違いだっただろうか、カリナが私たちの街スタンドレスに行きたいと言っていたが。
街の住人達にとっては宿敵の人族を、その人族であるカリナが来ると言ったのか。
「お嬢様、いけません帰りますよ」
「何で?ほら、歓迎してくれてるし、あの国に私の居場所はもうないよ」
「いや、私たちの街は人族と敵対してるんですよ?かなり恨むぐらいに」
「なら捕虜としてで構わないわよ」
「いや、しかし……」
メイシャンの顔を見ると、彼女もどうやら反対らしい。そりゃそうだ、今はまさに戦争の真っ只中、そんな敵地に単身で乗り込もうとしてるのだから。
だが、カリナのいく場所がなくなると言うのも理解ができる、国の王女が牢屋に幽閉され、あまつさえ暗殺部隊氷牙に殺されかけたのだから。
戻れば殺されるか、良くても生涯牢屋の中。
しかし、それはこちらも似たようなもんだ。
「良いのですか、私たちの街に来れば無事に生きていられる保証もなければ、この戦争で負けるかもしれないのですよ」
「あら、負けるおつもりで?」
「そんな事はさせません」
「なら大丈夫じゃない。それに、私の身の保証に関しては、あなたが何とかしてくれそうな気がするわ」
確かにカリナは悪い人ではない。それに、人族の現状を変えようと動いた人物なのだから、事情を説明すれば理解したくれると思う。
「分かりました、私もお嬢様に同行し何かあれば、この身に変えても必ずお守りします」
スカートの端を持ち上げながら、綺麗にお辞儀をする。とても上品で美しい所作だと感じた。
「えぇ、ここに来たのだから嫌でも連れていくわよ」
「とんでもないです。お嬢様のいる場所が、私のいるべき場所ですから」
ここまでくれば断れる雰囲気でもない、私も諦めるしかないようだ。
「わかりました、では夜が明けたら向かいましょう」
「やった!よろしくね?」
「お嬢様の身に何かあれば、私があなたを斬り崩しますのでご理解ください」
最後に物騒な言葉が聞こえたが、無視しよう。
明日に備えて眠りにつきたいとの事で、洞窟のさらに奥へと案内される、そこには必要最低限の机と椅子、ベットが並べられていた。
メイシャンが全てを整え終えると、カリナはベットに飛び込んですぐに眠りについた。ベットが一つしかないのは仕方がないと言いながら、メイシャンも流れるように同じベットに入って行った。
私は寝る必要がないので、装備の点検をする為に椅子に腰掛け、二人が目覚めるのを待つ事にする。
ベットの方から深い深呼吸と、荒い鼻息の様なものが聞こえていたが、よっぽど疲れていたのだろうか。
ずっと牢屋で一人だったのたがら、仕方のない事だろう、今はゆっくりと休ませておこう。
(メイシャンではないでしょうね?)
いや、考えるのはよそう。
そうして、しばらくの時間が流れた。
先に目覚めたのはメイシャンの方だった、妙に顔に生気を帯びたような元気そうな顔をしていた。ゆっくりと休めたようで何よりだ。
「メイシャン、おはようございます」
「……」
相変わらず嫌われているらしい。
何をしたっていうわけでもないのに。
メイシャンは無言のまま、洞窟の出口の方向へ向かって歩いて行った。
そこからしばらくして、カリナも目を覚ます?
「んんーっ、はぁーっ、おはよ〜」
「カリナおはようございます、ゆっくり休めましたか?」
「うん、ありがとうね……えぇーっと、そういえば名前聞いてなかったね」
「申し遅れました、ナディと申します」
「ナディ…よろしくね、ぐっすりと寝れたよ」
「それはよかったです」
すると、手に何かを抱えたメイシャンが、走りながら戻ってきた。
「お嬢様、おはようございます。こいつに何かされていませんか?」
「こいつ、じゃなくてナディね」
「こい…「ナ・ディ・ね・?」
「はい、ナディですね」
メイシャンの事はカリナに任せておこう。私ではどうする事も、会話する事も難しいらしい。
「あ、お嬢様こちらを。周囲の偵察と合わせて、朝食をお持ちいたしました」
そうしてりんごに似た、赤くて丸い果実の様な物を差し出した。カリナは嬉しそうにそれを手に取り、食べ始める。食べている間に周囲の報告をしていく。
「周囲には特に異常はありませんでした、何かがこの近くまで来た形跡も何もありません」
「そう、なら今のうちに出るしかないわね」
「それがよろしいかと」
私たち三人は洞窟を後にし、再び森の中へと入る。ここからは人族の国を挟んだ向こう側に行かないといけない、真っ直ぐに行くわけにはいかないので、森の中を大回りしながら進んでいく。
「妙ね」
「ええ、朝も周辺を偵察していましたが、やはりそうですか」
私も感じていた異変だ、森の中から魔物が消えている。見当たらないわけではない、気配の一つも感じないどころか、魔物がいた痕跡すら見当たらない。
「恐らくですが…」
「えぇ、そうでしょうね」
「何か心当たりが?」
「あ、ごめんね。おそらくだけどあの異世界から来たと言う光の力を持つ者のせいね」
「王燐……ですね」
「そうそう、そんな名前だったわね」
話を聞いていると、光の力の解放にはかなりの数の魔核が必要となるらしい。それを直接体内に取り込む事によって、体内で魔核の力を光の力へと変換させ、体外に放出させる事が可能になると。
「それでこの辺りは狩り尽くされてしまったと」
「えぇ、そしてそれは光の力をかなり開放している事の証明にもなる」
ここ何日か何も動きがなかったのは、光の力の解放に注力していたからだとしたら。その魔物が一匹残さずこの森から姿を消すほどに狩られているとしたら。
「急ぎましょう」
「えぇ、そうね」
私たちは森の中を進み続け、大峰魔山の麓までやってきた。後はここを越えて街に戻るだけだ。
来る時もそうだったが、前回の人族の侵攻ルートを探りたく、人族の野営地や、残された足跡と戦闘痕などを探りながら進んできた道を使って、戻る事にする。
奴らは山を越えずに、山の周りを進んでいたのだ。
「え?この向こうに行くのなら山は越えないの?」
「大丈夫です、ここからは付いてきてください」
そう、元来は毒の沼地が広がっていたと聞いていた場所が様変わりしていたのだ。
そこらには何もなく、ただただ乾いた地面が広がっているだけだった。おそらくは人族、若しくは八獄衆の仕業だろう。
少しでも早く街に戻りたかったので、ありがたく使わせてもらう事にする。
「前に一度だけ興味本位で来た事があるけど、すごい事になっているわね」
「はい、お嬢様。私も訓練の為にここに足を運んでいましたが、こんな事になっているとは」
二人も知らなかった事らしい。
だが、確かに山を越える事を考えれば、このルートを確立した事は正しいと言えるだろう。現に街と人族の国との行き来が、かなり時間短縮されていた。
つまりは、攻めやすくなっていると同時に、前回のように攻められやすくなっているという事。
ここも街に戻れば報告が必要だ。
そうして、この地を抜けてまた森の中へと入る。
ここを抜ければスタンドレスが見えてくる。
森を抜け ー
「これはこれは立派なもんね」
「えぇお嬢様、正直想像以上でした」
「ありがとうございます」
思っている以上に、早く戻って来れた。外から見る限りは、異常がないように思える。
私は門へと近づき、上にいたエルフ達に手を振る。
こちらを見るや慌てた様子で、奥に消えていった。
暫く待っていると、はね橋が降り門が開かれる。
私は、二人を連れて街の中に入っていく。
早速出迎えてくれたのは、サクラとシャナン、そしてコハクだった。他の人たちも後で合流するらしい。
労いの言葉と、よく戻ってくれたと皆が抱きしめてくれた。
しかし、喜びのムードも束の間。私の後ろの二人を見た全員が戦闘状態に入る、すぐに人族の者だと見抜いたらしい。
「どういうつもりじゃ、ナディ」
「後ろの二人は人族よね?」
私は皆に武器を下ろすように伝えて、事情を説明していく。私たちに味方する者だと、そして有益な情報をもたらしてくれたと。
それを聞いたいたコハクが刀を抜き、カリナに飛びかかって喉元に刃を突きつける。間に入っろうとしたメイシャンをカリナは手で制止させる。
「一つお主に問う、隠してる事は無いかの?」
「ない」
「ナディが言っておった、本と地図が全てか?」
「はい」
「この場所と、敵状視察に来たと思われぬと?」
「思われるでしょうね、お土産を持って仲間ですって言われたところで信用されないでしょうし」
「正直じゃの」
「だってあの国にいても死ぬのを待つだけ、ここに来たって死ぬ可能性は高い。それなら私は、私の望む方に自分の命を賭ける」
「………」
「さっきも言った通り、手の内は全て明かした。ここで殺されても、そちらに得はあっても損はない」
そこから互いに黙り込む。
動いたのはコハクだった。突きつけていた刀を鞘にしまい、場の緊張は少しだけ解ける。
「信用したと思うなよ、常に見張っておる」
コハクは振り返りながら、シャナンたちの元へと戻っていった、とりあえずはこの街に留まることを認められたらしい、私も一安心する。
「大丈夫ですか、お嬢様」
「うん、大丈夫…ちょっと怖かったけどね」
「あやつめ…私のお嬢様になんて事を…」
「やめなさい、仕方のない事よ」
あれはかなり我慢してるな、手が震えている。
「それにあのコハクって人、ももが見たら発狂するでしょうね」
「ももとは、前の世界の?」
「ええ、本当につまらない友人よ」
そう告げる彼女の目は、少しだけ潤んでいた。
元の世界で仲の良かった友人が何かだろうか、すこしだけもの寂しそうな表情を浮かべていた。
「コハクーっかっこよかったよー!、お礼に尻尾触ってあげる!!」
「ばかっ、後にせんか!」
「後なら良いの?」
「良くない!行くぞ!」
「えぇーっ、コハクの尻尾補給不足に陥っています!」
「……後での」
「やったー!!コハク大好き!」
「君の悪い笑みをするのはやめんか!」
またいつも通りのやり取りが繰り広げられていた、それを見て帰ってきたなと感じるぐらいには、ここが自分の場所だと思えるようにはなっているらしい。
「お嬢様っ!?」
メイシャンの叫び声に、思わず振り返る。すると、私のすぐ横をカリナが駆け抜けていった、向かっている先はコハクと、シャナンらしい。
「カリナ!?何を!!」
その勢いのまま、シャナンへと飛び込んだ。
コハクは瞬間的に鞘を握り、刀を抜こうとする。後ろからは、メイシャンが飛び出そうと地面を蹴り出していた。
やはり、二人を連れてきたのは間違いだったか。
「もも!?あなた、ももなの!?」
「えっ?誰?」
「私よ!!かりなよ!!」
ん?様子がおかしい。
どうやら襲いかかったようでは無さそうだが。
第63話ご完読頂きありがとうございます!!
二人の関係は次回に持ち越しです!
次回も楽しみに読んでください。
次話でもお会いしましょう(^ ^)




