【第61話】内隔壁と外隔壁の狭間
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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今、目の前の彼女は王女の部屋と言ったか。
それに私と言いかけていたが、もしかすると。
「そう、私がこの国の第一王女にしてギルテ=ラザール王の一人娘、【カリナ=ラザール】よ、呼び方はカリナでいいわよ、ラザールって嫌いだし」
まさかあの男に娘がいたとは、そちらの方が驚きだ。
しかし、いきなり王女の部屋に連れてこられる事になるとは思わなかった、この部屋に何があるのだろう?
「ちょっと待っててね〜」
そう言うと、カリナは部屋の中を漁り始めた。ボロボロの布の服から着替え、荷物をいくつかまとめる。
集めた物をリュックにしまい、それを背負う。
「おけ、お待たせ!行こっか」
「次はどこに行きますか?」
「ん?……国の外」
「えっ、私の目的がまだですが?」
「はいこれ」
私に渡してきたのは一冊の本と、古びた地図だった。
「これは何ですか?」
「魔王心の封印について記したものだよ、それに親父の力についても確認できたものは全て記してある」
「これを読み解けば、と言う事ですね」
「うん、それに地図の方には最近決まったこの世界への侵略計画が記されているよ」
なるほど、この二つがあれば私の目的は達せられるわけだ。でもなぜ、こんな物を持っていて私に渡してまで国外に逃げたいのか。それに、この国の王の娘が、牢屋に入れられるほどの事とは?
「ふふっ、色々聞きたそうだね?で〜もっ、それは国を抜けて安全になってからね」
「安全が増えましたが?」
「気のせいだよ、ささっ行こうか」
とりあえず今は、この言葉に乗せられておこうか。カリナの言う事が真実であるのであれば、この手にある物は、今回の目的が叶う代物だ。
それに、残された時間も多くはない。
見張の交代が始まる頃には、この国から遠くの場所まで移動しておきたい。私のこともそうだが、牢屋から姿を消したカリナの事は血眼になって探すだろう。
私たちは、ベランダからゆっくりと飛び降りる。
(凄いねこれ、変な感覚だわ)
(無駄口叩いてないで行きましょう)
(冷たいなーっ)
何故こんなにも余裕があるのか、もしかしたら牢屋から出してもらうための材料として、私を売るつもりではないかと疑ってしまう。現時点では目的も、何があったかも聞かされていないのだから。
もう一度、牢屋のあった部屋へと戻る。
来た道を辿って、外に出る方が確実との事だ。今回通ってきた道は、間違っていなかったようで安心する。
カリナは暗闇で目が効かないので、排水道の入り口にあった松明を手に取り、進んでいく事にする。
この時間は人がいる事もないので、大丈夫らしい。
「いやーっ、順調順調!これなら真っ直ぐと無事に国を出られそうだね〜」
「しっ」
「ん?どうし……」
遠くの方で、ゆらめく灯が見えた。誰かがこちらに向かって歩いてくるようだ。しかし、逃げ道はない。ひたすらに一本道が続いてるだけ迎えるしか無い。
「おい、お前ら!そこで何している!?」
目の前に同じ松明を持った、兵士の姿が見えていた、だが向こうは一人だけだ、やりようはある。
「あ、あなた様は!?何故ここに」
「んー?それはね……」
私は兵士が近づいてくるまで待った。
こちらの、領域に入ったのを確認し。即座に刀の柄を握り、 兵士の首元目掛け神速の気合い抜刀を抜き放つ。牢屋を守っていた兵士と同じく、胴と頭を見事に一刀両断する。
「凄いね、拳銃に日本刀」
今、拳銃と日本刀と言ったか。おかしい、武器を見せるのは二回目だが名前を言った覚えはない。
「それに、こんな敵の現れ方は見事なフラグ回収だったね」
やはりそうか、間違いない。カリナは私や王燐…若しくはシャナンと同じ世界から来た存在。
「あ、ごめんごめん変なこと言ったね、先に進もうか」
あの世界での記憶などが残っているから、今の人族の動きには反対をして牢屋に入れられた?
その可能性は高いな、確かめるのは後でいいだろう。
言われた通りに、排水道を進んでいく。
無事に抜かれたようで、月明かりが迎えてくれた。
だが、まだ油断はできない。ここは内隔壁と外隔壁の狭間だから、まだまだ進んでいかないといけない。
外は暗いままなので、慎重かつ確実に進んでいく。
家と家の間を隠れながら……。
「危ないっ!!」
私は、カリナに押される形で急に倒された。
その拍子に、頭上を何かが通り過ぎる気配がした。
鈍い音がした方を確認すると、家の壁にナイフが突き刺さっていた。これが飛んできたところを、カリナに助けられたようだ。
「すいません、ありがとうございます。助かりました」
「いや、その言葉は後で聞こうか?」
辺りを確認すると屋根の上に四人、通路を挟むように二人の影が確認できた。囲まれたのか。
「兵士…では無い様子ですが…」
「うん、私たちの暗殺部隊【氷牙】だよ」
「それはまた物騒な……」
「気をつけてね、結構危ないよ」
「えぇ、でしょうね」
私は左手に刀を、右手に拳銃を構える。応援を呼ばないあたり、自分達でなんとか出来ると自信を持っている表れだろう。
「ちよっと、刀一本貸して」
「扱えますか?」
「じゃなきゃ言わないよ」
だが、敵は刀を渡す暇さえ与えるつもりは無いらしい、刀を抜こうとした時に頭上から、一人がナイフをこちらに突き立てながら飛び降りてきた。
抜くのをやめて、握っていた刀で受け止める。
お互いに拮抗しているが、足で腹部を蹴り飛ばす。カリナの方を見ると、あちらも数人を相手に立ち回っていた、中々渡せる暇がない。
こちらも数人を立ち回りながら、攻めずにいる。暗殺部隊と言うだけあって、死角からの攻撃が恐ろしく正確だ。一人を相手にしていると、死角から別の敵が迫ってくる。
常に、こちらの意図を潰されているような。
拳銃も初見のはずなのに、見事に躱されている。それに、こちらが撃ちにくくなるように、斜線上にカリナが立つようにも動かれている。
「カリナっ!大丈夫ですか!?」
「これが、大丈夫ならっ、あんたの目は、節穴!!」
せめて何人か仕留めれば、一気に好転するはず。
反重力で浮いて逃げようかと考えてが、追いつかれるかカリナが孤立するのでそれは良くない。
本などは貰ったので、見捨てるという選択肢もあったが、ここまで一緒に逃げてきたのだ。それは無い。
「くそっ」
ずっと言葉を発する事なく、ただただ単純な作業をこなすかのように、こちらを攻め立てる動きはまさに氷のように冷たく牙のように鋭い。
カリナの方を確認すると、かなり危ない。
「カリナっ!!」
カリナの背後からナイフが迫っていた。
私は、手に持っていた刀をそのまま投げ飛ばす、ナイフがカリナに届く前に氷牙の一人に突き刺さった。私は空いた手に、もう一つの拳銃を握る。
二丁の拳銃で、カリナの援護と周辺の敵との距離を空けていく。弾倉を入れ替えながら何度も撃ち続けて、少しずつカリナの近くに寄っていく。
敵に突き刺さった刀を抜き取ると同時に、そのまま斬り伏せて一人を仕留めた。
取り囲まれた敵の中心で、背中を向かい合わせに構える。ようやく一人を仕留めた、後は五人。
「はぁっ、はぁっ、やばいねこりゃ」
「さすがですよ、あと五人です」
「簡単に言うじゃないかい、なんか手は無いの?」
「この拳銃とあなたの刀だけです」
「偵察しにきたのにそれだけ!?」
「あとは…この身体ですかね」
私は電の術式を全身に張り巡らせる、その表紙に少しの音と、電光が出たが仕方ない。
すぐに片付けて、この場から脱出すれば問題ない。
使いたくなかった、ノイズから聞いた戦闘方法。
電を全身に流す事で、リミッターを解除させる。今回はまだ逃げる余力も残さないといけないので、少しだけの解放に留める。そうする事によって、今まで以上に素早い動きを体現させる。
リスクは、やりすぎると四肢が断絶する事ぐらい。
「ははっ、奥の手があんじゃん」
「本当の奥の手、一歩手前出すがね」
それを見た氷牙が、一斉にこちらに向かってくる。
一人殺されたので向こうも、なりふりかまってられないのだろう。先程と動きが違っているように見える。
続く激しい攻防、互いに一歩も譲ることはない。
だが、その均衡は破れ始める事となる。
私が向かってきた一人に対して、カウンターを決めるように頭に弾丸を撃ち込む。
あと四人……。
第61話ご完読ありがとうございます!!
同郷のよしみとして、見捨てないでしょう。
ナディの奮闘を乞うご期待!!
また次話でお会いしましょう(^^)




