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アンドロイド魔王による異世界での理想郷  作者: ノウミ
ニ章 〜種族連合と戒族の遺産〜
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【47話】人工魔心の禁忌

どうも、ノウミと申します。

まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。

沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。


X(旧:Twitter)でも情報更新しています。

↓是非フォローください↓

https://x.com/noumi_20240308?s=21

ーー 時は遡り


「サクラ、少し確認と相談があります」


街の建設を進めていた際に、私はサクラに確かめたい事があったので呼び出していた。

それは、人工魔心やサクラの記憶について。


「はい、なんでしょうマスター・ナディ」


「人工魔心の進捗はいかがでしょうか?」


「すみません、まだまだ成功と呼ぶには…」


「そうですか…では確認なのですが」


私はサクラの記憶がどれほど残っているのかを確認した、それに記憶を司る物は作られているのかなど。

後は、以前に顔を出したもう一つの人格のようなものまで。


「そうですね、創られた時からの記憶は残っていますね、もちろん前マスターの事まで」


「では、その記憶はどこに保存されていますか?」


「保存…ですか?……すみません、分かりません」


そう、人間で言うと脳は、思い出や過去の出来事を保存しておきながら、感情を生み出すものでもある。

それがない以上、感情や記憶の保存は出来ないはず。


私には、記録用の媒体とその付近に、私の核とも言えるAIが備わっている、様々な記録の保存や、インストールはもちろん、考える事も出来ている。


それが無いとなると、サクラはどこに記憶を保存しているのか、それが分かれば人造体(ホムンクルス)の創造に一歩近づきそうな気がする。


「それと、もう一人と私ですが、人工魔心から来ているような気がします」


「人工魔心の意思、みたいなものでしょうか」


「そう言われるとそうかもしれませんね、人工魔心からわきだしてきたものが全身を満たすような感覚でしたから」


それなら人工魔心とは一体、魔心とは?


私が考えていたのは、心臓の役割だと思っていた。人間の心臓では、血液や酸素を身体中に巡らせる為のポンプのような役割をしている、それを魔心が補うことで、魔力を全身に循環させていると。


先日の説明でもあった、魔力を魔心のフィルターを通すことで、属性を付与し術式を発動してると。

なら、そうでない魔力を全身に巡らせることで、生命の活動を可能にしているのではないかと。


「私の仮説ですが、人工魔心に記憶や感情などが保存されているとのではないかと」


「えっ、人工魔心にですか?」


「はい、魔核をベースにと言っていましたよね?」


そう、ベースと言う事はそれ以外に何かの素材が必要となっているはずだ、通常私のようなアンドロイドを動かす際も、動力源、思考回路、記録媒体などがないと成り立たない。


「それでは、動力源を担っているのは理解していましたが、その他必要なものも補っていたと?」


「そうです、その為に必要な素材があれば、人工魔心の完成に近づくのではないかと」


「それって一体……」


「あまり言いたくはありませんが、思考回路…感情や、記憶を司るものとは……」


「まさか、何か…誰かの脳……ですか?」


「はい、恐らくは」


これが量産できなかなった理由だろう、魔物の脳を使って作れば何も問題ないとは思うが、偶然の産物とはいえあれほどの人が、同じ実験を繰り返さずにいるはずがないと思う、となればそれ程の何かの理由が…。


「魔物の脳では、記憶や思考、感情などがともわない可能性が高いと……」


「そうです、そして、その使われた脳の感情などが残留思念として湧き出ていたのではないのかと」


「それってつまりは、私の中に別の何かが?」


あくまでも憶測でしかない、確かめようも出来ない。エルフ族や、身近な人たちを犠牲にするわけにいかないし、死んでしばらく経つと脳も死ぬので、意味を成さないと思う。


つまりは、生きた人間を錬成する可能性。


「それは、考えたくもないですね」


「今は戦争中なので、敵兵からとは思いましたが、それが私たちに牙を向くようなら」


「そうですね、マスター・ナディの思う通り、新たな争いの種を産む事になりますね」


しばらく二人とも沈黙する。そう、これが成功したとしてもその先に待ち受けるは言葉にできない程の悍ましい未来となるだろう。


死んだ人間を永遠に近いほど生き永らえさせる、それは人の道理に反する事だし、やりたくもない。


「人工魔心の実験、これは考えものですね……」


「えぇ、これは()()と言われても過言ではないでしょうから」




「サクラ、とりあえずはこの事は伏せて置いてください、私達だけの秘密として」


「かしこまりました、マスター・ナディ、仰せのままに」


その方がいいだろう、確信もない憶測は混乱を生む、それに死んだ人を生き返らせる方法など、元の世界でも、この世界でも存在してはいけない。


何故か分からないが、私の中に強く刻まれている。


だが、人でない私なら…今まで何度も渡り生きてきた私ならその道理から外れても良いのではないか。

万が一死ぬ事があれば、元の世界と違って、この世界では自身を繋いでいく事が出来ない。


「サクラ、すみません一つだけお願いしても?」


「なんなりとお申し付け下さい」


「私の中には先程話した通り、AIと言う物が存在しています、記録を保管し考える事を司る物です」


「はい、存じています」


「私に万が一の事があれば、これを使って人工魔心の実験を行っていただけませんか」


「それはつまり、私に…ですか?」


「はい、そうです」


私も一つ気になることがある、目の前にいるサクラの人格は果たしてどちらなのだろうか。この実験の先で、ベースとなった魔核から形成されたものなのか、それとも誰かの脳から形成されたものなのか。


これが分かれば、感情や人格というものを読み解いていけるかもしれないと考えたのだ。


私は、一つの探究心を追求したいと考えた。


「かしこまりました、マスター・ナディの赴くままに」


ただ一つ疑問に思うことがある、果たして技術の提供を終えそうな今、私が生きる意味はあるのだろうか。


これは、単なる私のわがままだろうか。


先ほどから、サクラには人の道理に外れるので禁忌だと伝えたものの、私自身では試したいと感じている。

果たしてこれは、私の考えなのだろうか。


それとも、ノイズ?


いや、奴は破壊を考えるプログラム、こんな事は考えつかないだろう。ではなぜこんな事を?


これが成功したら分かるのだろうか。


そんな事を考え、街の建設へと戻る。

この後に襲うものに、気づかないうちに。

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