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アンドロイド魔王による異世界での理想郷  作者: ノウミ
ニ章 〜種族連合と戒族の遺産〜
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【第42話】サクラと錬金術

どうも、ノウミと申します。

まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。

沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。


X(旧:Twitter)でも情報更新しています。

↓是非フォローください↓

https://x.com/noumi_20240308?s=21

灯りのある広間に飛ばされ、私たちは体勢を整える。光のない空間から、こちらに出てきてようやくその姿をはっきりと見る事ができた。

創られたとは言っていたが、その姿はまさに人だった。美しい女性の姿をしており、私やゴーレムのような見てくれとは全然似ていない。


「もしかして、あれが人造体(ホムンクルス)でしょうか」


「恐らくな、僕も初めて見るよ」


「てことは味方ですかね?」


「話してみないと分からんね」


動きも滑らかで、私たちを投げ飛ばすほどのパワーを持っていた、会話のできる知能も有しているはず。

こちらは三人もいてるのだ、何とか取り押さえて会話を試みたいところだが、まずはもう一度声をかけよう。


「あの、何か誤解があるかと思いますが!」


「誤解…?マスターの敵であると認識しましたが」


「そもそも、ここには今日初め来ました」


私は、少しづつ歩み寄りながら会話を続ける。


「それに、貴女のいた部屋は偶然発見したものです」


「ではマスターはどこに行きましたか?」


「そもそも、マスターが分かりません」


手の届く範囲まで歩み寄る事ができた、少しは警戒を解いてくれたのだろうか、少しでも情報を引き出して、敵か味方か判断をしたい。


「マスターとは私を創ったお方」


「その人とはもしかして、戒族でしょうか?」


「そうです、貴方も見てくれは違いますが、私と同じマスターに創られたのでしょうか?」


「少し長くなりますが、その話しをしたいと考えています、取り敢えず警戒は解いていただいても?」


「……かしこまりました」


ようやく、ちゃんと話しが出来るようになった。それに、戒族に創られたと言っていたが、やはり人工生命体という事なのだろう、この世界の技術も恐ろしい。

だが、一つ気になるのが、残された本には、このような存在は明記されていなかった。ここの洞窟に残されていた事もそうだが。


私は、ここに来た経緯も含めて話していく。いつの間にか、シャランとファーネも側に近づいていた。話しをしていくと、誤解も解けたようでお互いの状況と情報を擦り合わしていく。


「なんと、マスターはこの世にいないと」


「はい、残念ながら」


「それなら私の存在する意味もないでしょう、ありがとうございました、お帰りはお気をつけて」


そう言いながら、深くお辞儀をする。この地で朽ちるまで過ごすつもりなのだろう。それは、駄目だ。


「いえ、私たちと共に来ていただけませんか?」


「私がですか?」


「存在する意味が無くなる事は、とても辛い事だと私は知っています。私もかつて、経験した事がありますから」


「あなたもマスターを?」


「似たようなものですね」


そう、似たようなものだ。私は数々の主人、購入者に裏切られてきた。逃げるようにして今に至る。

彼女は、信じていたマスターが、知らない間に死んでいて、生きる意味を見出せなくなっているのだろう。


もしここで、手を取り合う事ができるのであれば、彼女が作られた今意味を一緒に探せるかもしれない。

私はまだ、本当の意味での生きる意味を知らないが。


「分かりました、私もマスターの敵討ちですね」


「その為に、私たちに力を貸してください」


「はい、新しい私のマスター」


「へっ?私がですか?」


「はい、マスター」


アンドロイドロボットが、マスターになるとは。少し違和感があるが、今はこれで良いだろう。

シャランとファーネも納得しているのか、後ろで頷いているだけだ、せめて何か言って欲しい。


「これから、宜しくお願いします」


「こちらこそ、それでは奥へ案内しますね」


「さっきの光の無い空間ですか?」


「はい、私が眠っていた場所です付いてきてください」


そう言うと彼女は、奥へと歩いて行く。


「行きますよ、マスター」


「シャラン、からかってますね?」


「良いと思うで、マスターって」


「ファーネまで…まぁ、仕方ないですね」


私たちは言われた通りに、後をつけていく。発光石を投げ込んでいたので、多少は明るいがやはりほとんど見えない。彼女はその暗闇を進んでいく、私たちも見える範囲で歩いていく。


彼女は壁の付近で立ち止まり、なんと術式を唱えた。


【 (ファイア) 】


すると、手を翳した場所から火が上がる。その火は松明へと燃え移り、火を灯していく。次々に松明に火を灯し、この空間を明るく照らしていく。

すると、この空間は一つの部屋となっていた。

魔物の素材や鉱石、植物類など様々なものが所狭しと置かれていた。何かの研究室だろうか。


「さて、まずは私について説明をしましょう」


「お願いします」


「私は、マスター唯一にして無二の存在、この身体は【錬金術】によって創り出された人造体(ホムンクルス)となります、名は【サクラ】と言います」


「やはり、人造体やったんやな」


「唯一無二とは一体?」


どうやら、サクラの存在は試行錯誤の末に、偶然の産物によって作り出されたものらしく、過去に何度か同じ方法を試みたが、どちらかというと、製法の違うゴーレムを生み出すだけに留まったらしい。

ここまで自我が芽生え、自由に行動できているのは、サクラだけとの事だった。


「それが、本に残っていなかった理由ですか」


「本…ですか?」


「はい、異世界の知識をこの世界に再現しようとした、実験と研究の成果が記された本です」


サクラは何か思い詰めたように考え始める、すると何かを取りにいくと告げ、離れていく。私たちは、戻ってくるまでの間周囲を物色していく、ここに置かれている素材に関しては、三人とも興味が尽きない。


さきほどは、錬金術と言ってたが、私のデータにもあるものと同じだろうか。

まぁ、かつての世界では実現していない、作られた物語の中だけの技術だが。


戻ってきたサクラの手には、一冊の本が握られていた。それをこちらに差し出して中を読むように言われる。本の中身を三人で読んでいると、同じ感想に辿り着く。


私たちが持っている本と、同じ様な内容だと。


「やはりそうですか、この本を書いたのは私のマスターです」


「「 え!? 」」


「この本を書いた頃には、異端者として戒族の国を追い出されたんです。そして、この場所へと流れ着きました」


この部屋の中に置かれていた素材の数々は、そのマスターとやらが、実験と研究を繰り返していたのだろう。その成果が、この本という事だ。

そして、その技術の結晶がこのサクラというわけか。


「そして、その知識は私の中にも蓄えられています」


「錬金術とやらですか?」


やはり私の予想していた通りだ、鉄クズを金に薬草で薬を生成。そういった技術をまとめて、錬金術と言うらしい。さがに金を作ることは出来ていないらしいが、それでもこの世界でもすごい技術である事は間違いない。


「それでは、その自我や術式も錬金術のおかげで?」


「はい、それには魔核をベースに使っており、人工的な魔心を埋め込んでいます」


「人工的な魔心ですか?」


いくつかの魔核を砕いて混ぜ込み、錬金術を用いて形成。形作った物を胸の中に埋め込んでいるそう。詳しい製法は、サクラに伝える前に眠りについたので、今となっては不明だそうだ。


ただ、もしも再現する事ができたのであれば、サクラのような人工体を量産できる事に繋がる。

そうすれば人族との争いに、大きな貢献となるだろう。是非とも、再現したいものだ。


「こればっかりは、同じく実験と研究だな」


「そう、ですね……ちなみに錬金術は誰でも扱えるものなのでしょうか?」


「はい、あくまで技術の一つなので問題ないかと」


それならと私は、錬金術を学ぶ事にする。この部屋には、いくつかの教材のようなものが揃っていたので、端から読ましてもらう事にする。

シャランとファーネは、一旦家に帰るとの事。

気づけば、外はもう夜になっているそうだ、この洞窟中にいてると、余計に時間の感覚がなくなる。


「じゃあ、また明日来るよ」


「バイバイ、ナディ、また来るわ」


そうして、ゴーレムを連れて来た道を戻っていく。

ここでアンドロイドロボットである利点が最大限に生かされる、眠る必要がないのだ。エネルギーに関しては、去り際に満充電にして貰っている。

前回のように急に倒れる事もないだろう。


そうして、サクラのサポートもあってか、部屋の中にある教材を全て読み尽くしていく。後は実戦あるのみ、幸いな事に素材はいくつか残っているので、これらを使わせていただき、練習していく。


ここもサクラに教わりながら進めていく。錬金術の考え方としては素材の理解を深め、それらの特徴を抽出、完成品を思い描きながら精製。

精製の際には、【精製台】と呼ばれる特殊な設備が必要となり、使う素材を台の上に置き、中央に描かれた魔法さんのようなものに精製させるらしい。


だが、私がやる分には反応がない。


壊れているのかと、サクラが試すが問題なく作動している、原因があるとすれば魔核だろうか。

サクラには人工的な魔心が存在している。私にはそれがないので、エネルギーの供給が出来ていないのではと、二人で考えた結論だ。


まさに、八方手詰まり。無いものを求めたってどうしようもない、私は創りたいものがあれば、サクラに精製の依頼をする事にした。


何か解決策があれば良いが…。

第42話ご完読ありがとうございました!


毎日やることが多い…、小説を執筆は勿論、過去の改稿を行ったり、思い浮かんだネタのプロットを作ったり、他の人の小説を読んで勉強したり。


凄く楽しいんでよしとしましょう!(^ν^)



また次話でお会いしましょう(^^)

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