【第30話】森の中での騒動
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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私たちは森の中を進んでいる。
周りには、エルフ人が囲うようにして。
夜の森の中だ、魔物を警戒してとのことらしいが。
私も念の為警戒をする、こちらの手の内は明かしてないのだから。
山の方角にはそれながら、歩いていく。
道中、魔物に遭遇することはあったが、エルフ人が手際よく仕留めていた。
主に弓を使った戦闘方法らしい。
ただ、誰一人として矢筒を持っていない。
その弓から放たれるは、火や風が矢を形どった物。
詳しく聞こうとするが、はぐらかされる。
向こうも全ての手の内は明かしたくないらしい。
仕方ない、まだ味方と決まったわけではない。
お互いに隠し事をしながら森を進んでいく。
しばらく進んだ頃、森の中に村が現れる。
ツリーハウスのように、木の上に家がある。
その家々を繋ぐ蜘蛛の巣のように、橋が張り巡らされている。
「ほぉ、すごいのこれは…」
「でしょう?意外と住みやすいんですよ」
「すご技術だの…気になる」
先ほどからタルトーは目的が変わっているよう。
弓にしろ、この家にしろその目は技術者の目だ。
完全に警戒は無くなったのだろうか。
コハクは、少し呆れた表情を浮かべている。
ファーネも同じような目になろうとするが、コハク表情を見て引っ込めていた。
「早速で悪いですが、王にお会いいただきます」
「うむ、こちらこそよろしくする」
「では、ご案内します」
私たちは、広場に案内される。
大きな丸いテーブルがあり、数人が座っている。
辺りは篝火が焚かれているので明るい。
ただ、表情までは見づらい。
わざとだろうか。
「皆様、こちらへお座りください」
椅子を引かれながら、席につく。
周囲にはエルフ人が待機している。
これは、上からも見られているな。
ここで襲われたら、ひとたまりもないだろう。
全員の面持ちは緊張していた。
未だ味方の確証が取れない、集団のど真ん中。
覚悟はしておかないといけない。
サルーンが一番奥に座る人物の後ろに立つ。
「皆様、急なお招きに応じていただきありがとうございます。こちらに座られますが、エルフ人の王であります、【セーレン】様でございます」
「本日はお招き頂きありがとうございます、獣族の王を名乗りますコハクと言います」
その流れで、私たちの紹介を続けてくれる。
エルフ人セーレン王の周りにいるのは、この村のお偉い方が揃っているそうだ。
お互いに簡単な挨拶だけを済ませる。
夜も遅い、早速本題に入るために。
「セーレン王よ、妾達はそちらのサルーンに案内されてここにいるわけであるが、ご用向きはいかがか」
「ふふっ、そちの待つ鱗と爪…私たちエルフ人に譲っては貰えぬだろうか?」
「それは聞けぬ相談じゃな」
「ほう、私たちにとってその鱗と爪は祀られるべくしてある物だと思ってな…神にも等しいものだ」
「言ったじゃろ?聞けぬと」
一触即発の空気が流れる。
お互いに牽制し合っているようだ。
「望むものはなんでも用意しようぞ?衣・食・住、技術の提供や、人員までも……なんでも」
「考えは変わらぬ」
「おまんら、戦争を始めようとしてるやろ?戦力が欲しくないのか?鱗と爪以上の数の戦力でさえも」
「だとしても、無駄じゃ、これは妾たちがゴルマイガとサラカントから譲り受けた、託された大事なものじゃ、何を積まれようが渡せぬよ」
周囲がざわ始める。
表情が見えないので、向こうの感情が分からない。
「呼び捨てとな……私たちの神を…」
周囲のざわつきが大きくなる。
戦闘になるかもしれない、この不利な状況で。
セーレン王が手を上げる。
周囲にいたエルフ人全員が山を構える。
鉉はすでに引かれ、矢が準備されている。
私たちも席を立ち上がり、武器を構える。
「鱗と爪を穏便に渡さぬどころか、私たちの神をあまつさえ呼び捨てとは…その命惜しくないのか?」
「はっ、誰がお前らなんぞに!妾たちは名を呼ぶ事を許された、この鱗と爪を与えられた、それらに泥を塗るような事は一切せぬわ!」
「それで死ぬとしてもか?」
「無論、いただき過ぎた恩義を守り通す」
さらに矢を引く音が聞こえる。
[探索/検索]で確認できるだけでも、数十人…奥にもまだまだいるだろう。
どうやってこの包囲網から逃げ出そうか。
「い゛ぃぃい゛っ!だずげでぇ゛ーーー!!!」
突如、森の奥から女性の悲鳴が聞こえる。
木々が薙ぎ倒され、何かがぶつかる音が。
全員がその方角を見る。
私たちがそれに合わせて逃げようとした時。
それは姿を現した。
体長5mは超えそうな巨大なイノシシが走ってくる。
その前を、エルフ人の女性が必死に走る。
女性がイノシシに追いかけられているらしい。
「矢を放て!!」」
セーレン王の号令と共にイノシシ目掛け、一斉に矢が放たられる。
まるで、虹のように綺麗な矢が、軌跡を描きながらイノシシに命中していく。
瞬く間に、イノシシは足を止めて動かなくなる。
矢が終わった後、地響きを唸りながら倒れる。
逃げていた女性は、そのままセーレン王に飛びつく。
「お゛がぁ゛ざん゛ー!ごわ゛がっだよー!」
「この…」
「ごわ゛いよぉお゛…」
「大馬鹿娘がぁ!!」
セーレン王が娘らしき女性を殴る。
殴られた勢いで、テーブルの上に吹き飛ばされる。
先程までとは違う変わりように、何も言えずにいた。
「ひどい!殴るなんて!痛いよ!」
「当たり前じゃこの馬鹿娘!!何度言ったらわかる!どうせ”フォレストボア”の上で眠りこけとったんやろがい!」
「うっ!……それは…その、あいつが悪いと言い…」
「もいっぺん殴ってやるからこっち来い!!」
「ひぃ!ごめんなさい、ごめんなさい!!」
たまらずに土下座をし、頭を上下に振る。
赤べこみたいだな…
この隙に逃げ出そうとコハクが全員にサインを送る。
見つからないように、ゆっくりと暗闇に身を潜める。
「セーレン王!落ち着いてください!ほら!彼ら逃げようとしてますよ!」
「あ、ちょ、待って!ごめん!色々待って!」
なんとも間の抜けた呼びかけだろうか。
先ほどの威圧感はどこへいったのか。
思わず、足を止めてしまう。
「なんじゃ!返事は変わらぬぞ!では!」
「違う!そうじゃなくて、試しただけ!ごめん!」
この場の情報が多すぎる。
セーレン王が鱗と爪を欲している、渡さないと殺すとまで脅されて、挙句にはそれを試しただけと。
それに、娘らしき女性は依然として土下座したまま。
フォレストボア?も横たわったまま。
騒然とした、なんとも言えないこの空気。
一旦仕切り直しをさせて欲しいとの事で、警戒しながらも再び席に着く事にする。
土下座は、見せしめも含めてそのままらしい。
なんともシュールな光景が広がっている。
篝火も増やされ、表情も見えるようになった。
やはり、わざと隠れるように配置していたようだ。
話しが再び再開される。
「先ほどは、娘共々大変失礼をした、すまぬ」
「理由はお聞かせ願えるかなの?」
「はい、もちろんです」
私たちが持っている鱗と爪が、あまりにも状態が良いので、直接賜った物だと感じていたと。
それを、一時の欲で他の人に渡すようなもんなら、受け取り手として相応しくないと思ったらしい。
それで、私たちを試していたと。
「なるほどの…それで、明かす前にあのフォレストボアと娘さんが乱入してきたと」
「う、すみせんでしたー!この体勢もきついのでそろそろ許してたもー!」
セーレン王が大きなため息をつく。
頭を抱えながら、私たちに謝罪をしろと伝える。
娘は土下座のまま振り向く。
「大変申し訳ありませんでした!!!」
「う、うむ…仕方ない、母の言いつけは守るよう」
「かたじけない!ありがとう!」
そう言いながら顔を上げる。
コハクの顔を見た途端、驚きの表情を浮かべる。
何かを言いたそうにするが、何も言わない。
コハクは何も知らないような表情だ。
口を噛み締め、飛び起き、どこかへ消えていった。
周りは呆気にとられていた。
「重ね重ね本当にすまない」
「いや、かまわぬ元気な証拠じゃ」
「元気なだけであればいいのですが…」
話しをするような空気では無くなったので、明日に仕切り直しをする事に。
一緒に案内され、ツリーハウスではなく、普通の地面の上にある一軒家に案内をされる。
下に住みたい住人用に作っているものらしい。
たまたま空いていたので、借りることにする。
コハク達は、野宿じゃ無くなったことに歓喜した。
警戒することも無ければ、柔らかい布団の上で熟睡できるからだ。
疲れ切った今日を癒すには、十分だった。
皆は話す元気もなかったのか、死んだように眠る。
それは、家に入ってからすぐに倒れるようにして。
私は、念の為警戒をする事にした。
完全に信用した訳では無いからだ。
この世界、何が起こるか分からない…。
皆が寝静まった頃、センサーに反応が出る。
数は一人だけだが、動きが速い。
扉の前まで一気に迫って来た。
私が起こそうと、立ち上がるが遅かった。
扉を勢いよく蹴り開けるかと思えば、優しくドアの鍵を開け、ゆっくりと入ってくる。
「みなさん、敵です!起きてください!」
全員が目を開けて扉の方を見る。
ゆっくりと扉は開かれる。
第30話ご完読ありがとうございます!
エルフといえば弓ですよね〜
ありきたりではありすが、イメージしやすいかと。
さて、扉を開けた正体は誰なのでしょうか。
なぜ、しんやにしのびこんできたのか!?
また次話でお会いしましょう(^^)




