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アンドロイド魔王による異世界での理想郷  作者: ノウミ
ニ章 〜種族連合と戒族の遺産〜
32/111

【第27話】八獄衆 - ゼンエン -

どうも、ノウミと申します。

まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。

沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。


X(旧:Twitter)でも情報更新しています。

↓是非フォローください↓

https://x.com/noumi_20240308?s=21

『焦熱の殺し合いだぁあああ!!!』


「いかれておるの…」


突然の状況に困惑はしている。

だが、殺されるわけにはいかない。



『さぁさぁ!まずは自己紹介だろうが!』


「はっ?」


『これから殺り合うんだからよ!相手の事は知っておきたいだろうが!』


「いや、さっき……」


『うるせぇ!俺はな!八獄衆が一人、【ゼンエン】と言う、覚えたか?』


「おい、ゼンエンとやら、八獄衆とはなんじゃ」


私も。聞き慣れない言葉に疑問を覚える。

まともに答えてくれるとは思えないが。


『知ってるぜ?“コハク”』


「人が悪いの…妾は知っておるとは…。おい、何が目的じゃ!八獄衆ってなんじゃと聞いておる」


『これから殺されるんだ、関係ねぇよ!俺の名だけその胸に焼き付けて…死んでいきなぁ!』


また、火の玉がこちらに降りかかる。

コハクはそれを避け、前に出る。

続けてタルトーとクベアも後を追う。


ファーネは私を守るために残ってくれた。

また足手まといになってしまったのだ。

戦闘となると、今の私は無力だ。



次々と放たれる火の玉を避け続ける。

そこらじゅうで、爆発と衝撃が響き渡る。


「はっ、威勢だけじゃな…当たりゃせん」


『ははははぁーっ!まだまだぁ!!』


次は両の腕をあげ、頭上に今までより、かなり大きい火の塊を作り出す。


全員が、その場に足を止める。

火の塊はタルトーとクベアを目掛け放たれる。


『お前らなら当たるだろうよー!』


「おい、頭を下げておけ!!」


そう伝えると、二人は頭を下げる。

コハクは刀を両手で握り、飛び上がる。


[ 狐月流(コゲツリュウ) 一ノ太刀(イチノタチ) 円月斬華(エンゲツザンカ) ]


地面を蹴り上げる際に体を捻る。

その反動を利用し、廻天。

見事に火の塊を斬り裂いたのだ。


「やはりこの刀はすごいの」


「ありがとうございます!」


「まだまだじゃ、やつも本気じゃない」


『いいねぇ…そうこなくっちゃ…せっかくこっちに来たんだ、()()で味わえない熱を感じたいよな』


何やら呟いているが、こちらまで聞こえない。

唐牛でじごく?という言葉だけが届く。

どこかで聞き覚えのある言葉だ。


「おい、タルトー…()()をやれ!」


「がはははっ…よしきた!」


タルトーは懐から魔道具を取り出す。

洞窟で使った、あのガラス玉だ。


それを頭上に投げ、ハンマーで叩き割る。


「クベア!合わせよ!!」


「はい!」


二人の術式が混ざり合う。

折り重なる術式は膨れ上がって姿を見せる。

これは大災害といえるだろう。


大量の水を、風が取り込んでいく。

形作られるはまさに、水の竜巻。

ここが海の上なら、渦巻となるだろう。

それを地上で作り上げたのだ。


《《 風水ノ竜渦(ウィンター・リュウズ) 》》


「出し惜しみなしじゃ!この後に予定があるでな!」


それは周りを巻き込み、ゼンエンへと襲いかかる。

暴れる水は自由を奪い駆け巡る風で切り裂く。


収まる頃には、地面が抉れていた。

あの、ゴルマイガを怯ませるほどの威力だ。

無事では済まさないだろう。


言葉の通り、全身を切り刻まれ倒れていた。


近くに寄るが、息はあるようだ。

なんとか耐えたといった感じだ。


後は、目的を聞き出し息の根を止める。


「おい、生きておるじゃろ」


『がはっ…くそ、くそが……』


「あまり妾たちを舐めるなよ、目的を話せ」


『けっ、誰が…話す…もんか…』


「そっか、なら口を割ってやろうかの」


コハクは刀を体に突き刺す。


『ぐぁあ!…て、てめぇ…』


《 火ノ流撃(ファイア・フロウィ) 》


コハクが術式を唱えると、刀を伝い火が流れる。

内部まで伝って焼き尽くしていくようだ。


「早く答えよ、妾も気が長い方ではない」


『くっ……』


「お主の目的は何じゃ」


『くはははっはは……』


「何がおかしい、焼かれておかしくなったか?」


ゼンエンは刀を握り、体から抜き取る。

腕で勢いをつけ飛び上がった。

コハクは後ろに反りながら、刀を握る。


再び起き上がったゼンエンに警戒を強める。

先程までは瀕死の状態だったのに、起き上がった。

コハクの刀を抜き返すほどに。


『ありがとよ、ぬるい火だったな、お前』


「気持ち悪いのお主、何者じゃ」


『言ったろ?炎獄衆が一人ゼンエン、地獄の底より這い出し、獄炎を扱う者。お前の火はぬるいって』


「なに、地獄じゃと?もしや、人族の差金か」


『ぴんぽーん、正解。お前たちの首が目的だ』


どこかで聞いたと思えばラザール王だ。

奴の技には、全て地獄が関係していた。


「なら、なおのこと死ぬわけにはいかぬな」


『ばーか、お前のせいで俺は動けたんだぜ、俺を殺せやしねぇーよ!はははははっ!!!』


「タルトー、クベアすまぬ、妾のミスじゃ」


「大丈夫です、姐さん」


「おうよ、まだまだ優位じゃろうて安心せい」


『内から湧き出る炎を吐き出せ、獄炎を生み……』


ゼンエンが何かを唱えだす。

術式とも、纏とも違う。

何が起ころうとしてるのか分からない。


『熱く燃えろ、獄炎を以てその身を焦がせ…』


突如、口から炎を吐き出して体を包む。

自分の体を焼き焦がしているようにも感じる。


タルトーが(ウォーター)を撃ち込むが、届かない。

寸前で蒸発して霧散していく。


「あっついの…儂の水が届かん」


「こっちまで熱気が伝わりますね」



炎が消え、その姿を現す。

私とコハクは見覚えがある。

ラザール王の出していた腕と似ている。


赤黒く焼き焦がれた身を宿し。

いたる所にひび割れが出来ている。


あの、抵抗できなかった腕のように。


『その身よ焼き焦がれろ、獄炎に焼かれて』


腕を振り、炎の波を飛ばしてくる。

私たちを飲み込む大きさの波は、逃げ場をなくす。


タルトーが懐からガラス玉を取り出し投げる。

割れた玉から出た水に合わせて、クベアが《風ノ渦ウィンド・ヴォルテックス》をぶつける。

先程とは違い、力づくで風と水の盾を形成。


激しい音を立てながら、炎の波とぶつかる。


勢いよく蒸気を発生させ、視界が奪われる。

相殺はできたのか、蒸気だけがその場に残る。


だが、奴はその隙に動いていた。


「みなさん!前方より来てます!」


蒸気を纏いながら、クベア目掛け腕を振りかぶる。


「なっ!!」


かなりの熱を帯びていそうな腕を、振り下ろす。



瞬時に、コハクが間に割って入り、刀をぶつける。

やはり斬る事はできないようだ。

腕を止めたが、斬り込んではいない。


「やはり硬いの、この刀でも駄目か…」


『止めても無駄だ、その身を焼き焦がしてやる』


止めたはずの腕から炎が漏れ出す。

ひび割れた隙間から噴き出すようだ。


「コハク!逃げよ!」


遅かった、ゼンエンの炎がコハクを襲う。

その身を包むほどの勢いで。


「ぐぁあっ!」


「コハク!っくそ!離れろぉ!」


タルトーが水を纏ったハンマーを振りかぶり、ゼンエンを吹き飛ばす。

だが、吹き飛ばされたゼンエンはすぐに立ち上がる。


「あ゛っづい゛な…あやつめ…」


「姐さん、大丈夫ですか!」


「すまんの、大丈夫じゃ……」


ゼンエンの猛攻は止まらない。


『お前たちにお返しだ、受け取れ』


両腕をこちらに向けて、手を開く。

また放たれるその炎はコハク達へ、竜巻状に迫る。


逃げようがなかった、反応することも出来ずに。

なすすべもなく炎の竜巻に巻き込まれた。


「みなさん!!」


「うわぁぁぁああああ!」


『他愛もない、終わりだ』


炎が過ぎ去ると、皆が全身を焼かれていた。

私も見ているしかできない。

ファーネも大剣を握る手が震えていた。


「がっはーっ…はーっ…はーっ…」


『まだ息があるか、地獄のような苦しみだろう』


「はーっ…はーっ…大丈夫か…ぁーっ」


タルトーとクベアの返事がない。

炎の竜巻に巻き込まれる際、コハクの盾になった。

守るために、その身を犠牲しにして。


『苦しみながら、焼き死んで逝け』



すると、ファーネが飛び出す。

震える体に鞭を打ちながら、無理やり動かした。


「あぁぁぁぁああああ!離れろぁぁあ!!」


大剣を振りかぶり、斬りつける…が。

虚しくも、片腕に止められる。


『弱い…』


「うるさい!!」


何度も何度も大剣を振るが、ゼンエンに届かない。

全ての剣撃を片腕で弾き落とされていく。


『弱さは罪だ…』


大剣を弾き飛ばし、首を掴む。


「か、がはっ……がっ…」


『選ぶが良い、このまま苦しむか、獄炎に焼かれて苦しまずに死んでいくか』


「だ…っ、だれ…がはっ、が、…死ぬか…」


私も助ける為に動く。

駆け出した足を、顔面目掛けて蹴り上げる。

それでも動じない、反応すらしない。

とるにたらないと思われているのか。

何度も蹴るが、見向きもされない。


「くそっ…」


「がはっは、は……」


『逝くがいい』


頼む、誰か助けてくれ。

第27話ご完読ありがとうございます。


ようやく、八獄衆の一人を出せました。

後から考えていたわけじゃない!

ちゃんと考えていました!


ちょっと戦闘パート続きだなと思いますが。

良い展開だとは思っておりますので、次からも楽しみに投稿をお待ちください。


また次話でもお会いしましょう(^^)

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