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アンドロイド魔王による異世界での理想郷  作者: ノウミ
ニ章 〜種族連合と戒族の遺産〜
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【第23話】 - 【地龍】 ゴルマイガ -

どうも、ノウミと申します。

まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。

沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。


X(旧:Twitter)でも情報更新しています。

↓是非フォローください↓

https://x.com/noumi_20240308?s=21

突如として現れた、地龍ゴルマイガ、災いにして災厄、私たちにとって、運に見放された瞬間だった。


「全員、気を緩めるなよ…常に張り詰めておけ」


私たちには、戦うしか選択肢がなかった。

逃げる道は無く、残された道にはゴルマイガが、立ち塞がっているのだから。


恐怖で身が動かなくならないよう、全身に力を込め、手に持つ武器を強く握り締める。


先に動いたのはゴルマイガだった。

四足で立っていた、前足を大きく振りかぶる。

金雲母の鱗と、鋭い爪を見せつけるように。


振り下ろされた先が裂ける。

その勢いに乗せ、地面が爪の筋で裂き割れる。

辛うじて全員が身を避け、かわしていく。


「はっ、腕を振り下ろすだけでこれかの」


「どう攻めたらいいのかもわからんな!」


「鱗も硬いでしょ、あれ…」


「やばいやんこれ」


「妾とファーネは前に出て攻めに転じる!クベアは遊撃としてサポートしながら動き回れ、タルトーは後方から援護を頼む!万が一の時はファーネと変われ!」


コハクは即座に作戦を組み立て、指示を出す。

各々が言われた通りに散り、動き始める。


火力のある二人が攻め続ける、その周りを駆け回りながら隙を探していく。

魔道具と術式を用いて後方からの援護、火力もあるのでファーネの限界がきたら交代という事らしい。

作戦としてはいいが、相手が相手だ。

上手くいくといいが。


私はデータを集め、行動を分析していく。

何かのタイミングで力になれるように。

その時が来たら、すぐに伝えれるように。


「がはははっ!これでも食らわんか!」


タルトーが先に仕掛けた。

ハンマーを回転させながら、柄を地面に刺す。


《 水ノ魔弾(ウォーター・バレット) 》


空気中に水の塊が集められ、それを圧縮。

硬度を保ったまま放たれる。

木などを貫通する威力だが効かない。

地龍の鱗に当たると弾かれ、何も影響はない。


「かってぇのぉ…」


《 水ノ拘束(ウォーター・バインド) 》


続けて術式を唱える。

四肢を螺旋状に登る水が絡みついていく。

腕を突き出し、手を握りしめる。

その動きに合わせて、水も固まり留まる。


「せめて動きは封じさせてもらうからの」


それを見越してコハクとファーネが、走り始めていた。


「ファーネ!斬るぞ!」


二人が分かれ、側面へと回り込む。

地面を蹴り、横腹目掛け飛び込んでいく。

コハクとファーネは剣を両手で握り、力を込める。


「「うあぁぁぁぁぁああああっ!」」


振り放たれた()は、硬い金属音にぶつかる音を上げ、傷をつける事なく阻まれてしまう。


「なんと、無傷かの」


「かってぇなこの鱗、なにで出来てんねん」


クベアも隙を見い出す、目を狙って刀を構える。


《 風ノ刃(ウィンド・ブレイド) 》


振り切った刀から放たれる、風の刃。

見事に目に直撃するが、ここも無傷。

瞬時に瞼を閉じ、防がれたのだ。


「駄目っすか…」


全員が一通りの攻撃を与えたが、分かったのは圧倒的な防御力と、先ほどの腕を振るっただけの威力。

勝てそうにない事を、再認識させられる。


タルトーの腕が震え始める。

拘束を抜けようとしているが、なんとか抑える。

が、長くは持たなかった。


ゴルマイガが大きく手足を振り解き、動く。

またしても咆哮を放ってくる。

まるで、『無駄だ』と言わんばかりに。


振り下ろされた足で、壁や地面は裂き割れていく。

ただただ足を振るだけなのに、誰もが絶する威力。


「どこかに活路があるはずじゃ!諦めるな!」


コハクはその猛攻を掻い潜り、体の至る所を斬り続ける、それに合わせるようにファーネとクベアも隙を見つけながら斬りつけていく。


どこかに弱点はあるはずだと。


生物である以上、どこかに。


タルトーが懐から丸いガラス玉を取り出す。

それをゴルマイガ目掛け投げつける。

当たって割れたガラスの中から、大量の水が溢れ出し全身を覆っていく。


「もう一丁!《 水ノ拘束(ウォーター・バインド) 》」


両腕を突き出し、拳を握り固める。

先程までとは違い、全身を固め抑えつける。


クベアのそばにコハクが駆け寄り、二人は集中する。


ファーネは、全身を覆っている水に手を当てる。

《 電ノ流撃(エレクト・フロウィ) 》

激しい音が鳴り、電流が全身を駆け巡る。

水は電気を通す、このまま焼き焦がさんとする。


少しは影響を与えたのか。

呻き声を上げながら、暴れ始める。

拘束は解け、ファーネが吹き飛ばされる。


上手く受け身を取り、離れされる。


コハクとクベアは術式を練り込んでいた。

拘束が解けたその瞬間を狙い放つ。


《《 火風ノ魔弾(ファインド・バレット) 》》


風で火力を上げ、風の速さで放たれる。

その火は勢いを増しながら、直撃する。

激しい爆発音と共に、ゴルマイガが怯む。


怯んだだけだ、体には傷らしい傷が見当たらない。


「これでもダメかの…」


「姐さん纏って総攻撃しかけますか」


「まだ待て、今はまだ焼石に水じゃ」


消耗も激しく、一度発動したら暫く使えなくなる。

削れきれなかった時を懸念しているのだ。


あの硬さと巨躰から放たれる斬撃、それだけでもかなりの脅威なのだが、何かが引っかかる。

まだ何かを隠しているような、そんな気が。


すると、不安の一端が顔を見せ始める。


頬を膨らませ、口を閉じこらえ始めたのだ。


コハクもそれを見て異変に気づく。


「警戒せよ!何か来るぞ!」


こらえた口を一気に解き放つ。

口の中からは、無数の岩石が飛び出してくる。

まるで崖崩れのように、勢いづけながら。


《 風ノ渦ウィンド・ヴォルテックス 》

《 水ノ渦ウォーター・ヴォルテックス 》

《 火ノ渦ファイア・ヴォルテックス 》


それぞれが渦状の盾を形成し、これを防ぎきる。

防いだとはいえ、かなり危なかった。


「はぁー、はぁー…危ないの…」


「土龍とは聞いておったがまさか…」


「そのまさかですよね」


そう、土の術式に似た何かを使い始めたのだ。

様子見を終えたのか、本気を出してくる。

これで皆が迂闊に近づけなくなった。


攻めあぐねていると、また動き出す。

巨躰を大きく持ち上げ、前足を地面に叩きつける。

ゴルマイガを中心に、地面が波のように唸る。

その衝撃で天井も剥がれ落ちてくる。


波に押されながら、上から落ちる岩盤を避けていく。

それそれが壁際まで追いやられた。

一気に距離を離せられる。


ファーネだけがさらに孤立していた。

合流しようとするが、地面に足を取られ、立つことさえ難しくなっていた。


「ファーネ!無事かの!」


「はい、なんとか!足をやられやしたが!」


「足を負傷したか…まずいの…」


「コハク!何か来るぞ!」


地面に足をつけた鱗が逆立ち、隙間から光が漏れる。


「一体これ以上、何を仕掛けるのじゃ…」


鱗が閉じると、金属が擦り合う嫌な音が耳に刺さる。

途端に、至る所の地面が隆起し始める。


「皆さん!下から来ます!」


その場所からは六角形の柱が無数に飛び出してくる。


上からの落盤、下からの柱、揺れる地面。

抗うことが出来なくなってくる。

辛うじて致命傷とはならないものの、それぞれが傷を負っていた。


飛び出した柱は天井にぶつかると止まった。

幸いな事に、そのおかげか落盤が落ち着く。

しばらくすると、揺れも収まり動けるようになる。


「これほどまでとはの…」


「まさに厄災じゃな」


「もう限界っすよ…」


「諦めて死ぬか、抗って死ぬかやな」


いつのまにか、ファーネも合流出来ていた。

足を引き摺るように歩いている。

全員揃って固まるが、何も案が浮かばない。


私にできることは、考えることだけ…


「みなさん、少しいいですか!手短に!」


「なんじゃ話せ!どうせ妾たちには何もない!」


そう言われると、私の作戦を伝える。

博打のような作戦だが、これしか思いつかない。

四人も同じ考えになる。


「やるしかないの…」


「はい、かなり分は悪いですが」


「がはははっ!任せとけ!なんとかなる!」


「それではお願いします、皆さん」


再び、ゴルマイガに立ち向かう。

一か八かの大博打、やらやきゃ殺られるだけだ。


ファーネ以外が纏を発動させる。

私を守るのと、まだ纏を発動できないからだ。


《 炎ノ纏(ホノオノマトイ)焔羅(ホムラ) 》

《 氷ノ纏(コオリノマトイ)凍潔(トウケツ) 》

《 嵐ノ纏(アラシノマトイ)天鱗(テンリン) 》


猛る炎、冷潔な氷、荒れる天をそれぞれ纏う。

これで駄目ならどの道終わりだ、ここで出し切る。


ゴルマイガが、再びこちらを睨みつける。

まだ油断しているようだ、あわよくばそのまま…。



「やるぞ、お主ら」


「おう、任せろ!」


「はい、僕もやれます!」



まずはタルトーが仕掛ける。


《 纏ノ式(マトイノシキ) 氷海潔壁(ヒョウカイケッペキ) 》

「儂の氷はの、純水純潔じゃ、何ものも通さず、全てを凍りつかせてしまうからの」


タルトーの足先から地面が凍っていく。

滑る事を少しだけ期待したが、体は微動だにしない。

そのまま、ゴルマイガの足先を凍らしていく。

勢いは止まることなく壁を凍らし、抑え込むように氷の壁が出現する。


「ふぅーーー……はぁー……」


白い息を吐きながら深呼吸をする。

かなりいい環境が出来上がった。

後は…


「はぁぁぁああああ!!」


「コハク、頼んだぞ」


「任せておけ!」


刀を後ろに振りかぶり、構えを取る。

その身には炎の羽織は纏っていない。

今回は力技でいくので、狐月流は必要ないらしい。


これで、この戦いに終止符としたい。



《 纏ノ式(マトイノシキ) 鳳炎覇凰ホウエンハオウ 》



纏っていた炎が剣先に集中する。

熱に耐える剣が欲しいと言っていたが、これが。

普通の剣なら溶けて無くなっているからだろう。

それだの熱量を抑えながら、腕を振り切る。


全てを溶かし尽くすかの業炎が放たれる。

それは、一直線にゴルマイガへと向かって。


タルトーの氷で冷え切った洞内、そこへとてつもない熱量をぶつけることで発生する“水蒸気爆発”。


このエネルギー量だ、想像を絶する威力となる。


この崩落から逃げれるか、爆発に巻き込まれないか。

その事が博打だったのだ。


生存の可能性を上げるのがクベアの存在。

嵐のような風を操り、全員を包み込んで守る。

爆発の衝撃を流し、飛んでくる岩石を弾く。

嵐の中心は、音が聞こえないぐらい静かだった。


そのまま風で全員を持ち上げ、出口へ駆け抜ける。

崩れる洞窟をものともせず、薄く射し込む光の方へ。


この粉塵と衝撃でセンサーは反応していないが、あの巨躰が壁に打ち付けられていたのは確認できた。

あの爆発と衝撃だ、良くて死、そうでなくても一泡吹かせる事ぐらいは出来ただろう。


そうしていると、光が次第に大きくなる。

洞窟を抜ける事ができたのだ。

全員が無事に出る事ができた。

飛び出したと同時に、その場を転げる。


鳴り響く爆発音と共に、粉塵が巻き起こる。

洞窟の内部が崩れ、出口が埋まってしまった。


「生きてるの…無事か?」


「がははははっ!生きてるな!」


「はぁー、はぁー…しんどっ……」


「凄いやん!お前ら!」


「なんとか生き残れましたね、ありがとう」


「なんの、ナディの作戦のおかげじゃ」


「皆様の力あってこそでしたよ」


なんとか生き残る事ができた。

死を覚悟したが、生きているのだ。

それだけで今はよしとしよう。

あんな奴、存在するだけで反則だから。



取り敢えず全員が、その場に座り込む。

緊張の糸が切れたのか、崩れ落ちるように。


「ようやったのクベア」


「ふぅーーーっ…ギリギリでしたよ……」


「儂の鍛え方が良かったのだな!」


「もう立てへんよ、しばらく休も」


皆が束の間の休息を取る。

無理もない、圧倒的な存在を前に勝ったのだから。

大きな怪我もなく、この先も進める。

ここで体力を回復してから、再開する方が効率的。

そう考えて、見守る事にする。



その時、地響きが激しくなり、全体が揺れる。

音と振動は洞窟から発している。


「まさかの…」


洞窟の出口だった場所から、金雲母色の鱗が生えた鋭い爪とその足が飛び出す。

見たくもない。

その目はこちらを捉えて離さない。


また、あの目だ……

第23話ご完読ありがとうございます!


ちょっと文字数が多いかなと思います。

でも、これで祝10万文字となりました!

こんなに書いていたとは…

これも、読んでいただける方がいらっしゃるからこそ、活力となっていました!!


よろしければ、ブックマークやgoodなどお願いします!


また次話でもお会いしましょう(^^)

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