【第99話】ナディVS※※※※※
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
王燐との戦闘後、皆を探すためにその場を離れたが思ったより早くに合流する事が出来た。誰も欠ける事なくそれぞれが八獄衆も倒しており、聞く限りではこの戦争は終わりを告げたように思える。
「皆さんお疲れ様でした…取り敢えず一安心ですね」
「そうじゃの、無事に魔王心も取り戻す事が出来たのでな、目的は達せられたよ。ありが……」
皆が安堵していたその瞬間、大きな地響きが起きる。
激しい地響きに足をとられながら収まるのを待つしかない、その場に座り込むようにして動けずにいた。
地響きが収まったかと思えば、突如として地面から黒い腕のようなものが溢れ出していた。何度も見たラザールが発言させていたあの腕だった、それらは私たちを掴もうと襲いかかってくるが、各々が対処し捌いていく。
「そんな…終わったはずでは?」
確かに王燐はこの手で倒した、だがラザールは?死体を見たわけでも倒した現場を見たわけではない。王燐がその手で倒したと聞いただけだった、この戦争はまだ終わってない…まだ生き残っていた可能性がある。
「みなさん、無事ですか!?」
大丈夫だと返答はあった、しばらくすると腕は全て地面の中へと帰っていき辺りは静まり返る。
「これが逃げ帰ったのであればいいですが…」
「そうはいかぬじゃろうな……」
そうして構えていると先ほど王燐と戦っていた方角から誰かが歩いてくる、遠くからではあるがそれが王燐だと気づいた時には[雷砲撃]を撃ち込んでいた。
見事に直撃して爆ぜたように見えた…見えたが。
「皆さんっ!備えてください!」
その姿は人と言うにはあまりにも遠い、言葉に言い表せないほどの異形の姿がそこにはあった。全身は赤黒くひび割れていて、所々から溶岩のようなものが滴り落ちていた。背中らしい場所から黒く、赤い巨大な翼のような物を広げ、口からも溶岩のような赤い液体を垂らしている。
その顔は、どこか龍を連想させる。
「なんじゃあれは、気持ち悪いの……」
「すみません、私にもわかりません」
「ウ゛ロ゛ァァァァォァァァア゛ッ!!」
吐き出した咆哮で私たちは体が硬直する、遠くて気づかなかったがその体は私たちよりもはるかに大きい。
その存在が腕を振るった瞬間地面が裂け、その裂け目から激しく溶岩が噴き出し私たちに襲いかかる。なんとか逃げ回るが、逃げた先では吐き出された溶岩が弾丸のように飛んできていた。
「クベア、ジャスティスッ!!!」
重傷を負っていたクベアやジャスティスなどが、溶岩の弾丸に巻き込まれていた。私はその他の動ける者を指揮し、二人を現場から離脱させる。
あいつに立ち向かっていけそうなのは私とコハク、アレクの三人だけだった。それぞれが、武器を構えて戦闘に備える。
「おそらくですが、王燐が取り込んだ龍の鱗と地獄の力とやらがよくない方向に作用しているようです」
「そりゃ、考えたくないの……」
「ははっ、まさに死ぬか生きるか……」
「妾が先に出る…付いて参れ」
「えっ?」
コハクは一歩踏み出し、胸に手を当てる。その直後に髪の毛や尻尾が逆立ち始める。
「見ておれナディ、これが魔顕じゃ。我らの最終手段にして絶対の力」
そう言ったコハクの全身から金色の毛が生え始める、それは前線を覆いながら広がっていき、手足の形状も変わっていく。
「獣の魔王心よ、我が身を解放し獣の力たるその所以を顕現したまえ!!」
そうしてコハクは巨大な狐へと姿を変えた、口には刀を咥えて四足歩行で構える。尻尾も九本生えており、元の世界で言うところの九尾の狐といったところだろうか。違うところがあるとすれば、その身の周りを金色の炎が優しくゆらめきながら包んでいる。
纏に似た力を感じる。
「どうじゃ、美しかろう?」
「ええっ、とっても」
「この姿も長くはもたんでな、行くぞ」
そうして構えた隣でアレクもいつの間にか姿を変えていた、全身は蒼い鱗で覆われており顔もサメのように大きな口を開けていた。鋭く研ぎ澄まされたヒレのようなものを背中と腕に生やし、身の周りをサメの形をした水が泳ぐように浮かんでいる。
「俺も、準備できたぜ?」
驚いてる暇はない、目の前をどうにかしなければ私たちに未来はやってこない。こいつを野放しにすれば、いずれスタンドレスにも行きかねない。
先の宣言通りコハクが走り出す、その姿で走る筋には金色の炎が後を追いかけるように残る、地面から伸びる赤黒い腕をかわしながら距離を詰めていく。
すると、目の前の怪物は口を大きく開け空を向く。その瞬間に口から吐き出された溶岩の塊が空へと昇り、私たちの元へと降り注ぐ。地面からは赤黒い腕が、空からは溶岩の塊がとまさに地獄のような光景だった。
それでもコハクは速度を落とすことなく、隙間を縫うようにして走り続けて怪物の眼前に迫る。
私たちも遅れないようにと盾を構えながら突き進み、アレクは周囲のサメで空からの溶岩を防ぎながら進んでいく。
「(くらえっ)、[炎狐斬断]!」
口に咥えた刀を金色に燃える炎を乗せながら、その体目掛けて振り切る。が、その体には傷一つついていなかった、さらに追撃をしようと振り切るがその刀めがけて拳が放たれて、刀だけを弾き飛ばされてしまう。
「ちっ、そのなりで速いのか」
その後ろから私は[雷砲撃]を撃ち込みながら距離を詰めていく、それでもダメージを与えているようには見えない。とりあえずはその巨体を崩そうと、足元へと刃を向けるがその硬さに阻まれて刃が通らない。
「いけっ、お前らぁっー!!」
その号令と共にサメの軍団が放たれる、体表はかなりの熱を帯びているのか蒸発するように消えていく。
「溶岩より熱いのかよっ!」
確かに先の溶岩を防いでいたにも関わらず、体表にぶつかった瞬間に蒸発して消えたように見えた。もしかしたら、この熱で硬度を保っているのだろうか、そんなもの聞いた事もないが、ここは異世界。私の常識が通用しないことは痛感してきた。
「なんとか、熱を下げれませんかね?」
「簡単にはいかねぇだろうなっ、この腕や溶岩を掻い潜るのだけでもやっとだからよぉっ!」
「ならお主はそちらに専念しておれ、妾とナディで周囲はなんとかしよう」
「あぁっ!?そんな事できんのかよ!」
「のぉ?ナディ」
これはやらねばならないやつだ、だがその無茶振りを出来なければ勝機は見えないのもまた事実。
やるしかない。
「もちろんです、やりましょう」
「ほれ、任せておかんか」
「わかったよ…頼んだぜ??」
そう言いアレクは攻撃が届く範囲外まで退がる、この場に残った私たちに攻撃は集中し始めていた。先ほどから言葉を発していないところを見るに、考えるほどの頭脳は残っていないのだろう。
目の前の敵を倒す事にしか、動けない。
「コハク、死なないでください」
「大丈夫じゃ。妾の命は半分お主に、もう半分はあいつが持っていったからの」
「そうでしたね…」
そうして私たちは攻撃を集中させるために、怪物の周りを走り回りながら攻撃を続けていく。思った通りで遠くに離れていったアレクの事は気にまとめていないようだった。
溶岩や赤黒い腕が私たちに集中し始め、それらを捌いていく。
後はアレクに任せるしかー。
ご完読、誠にありがとうございます。
画像の載せ方が未だにわからず、X(旧:Twitter)を覗いていただけましたら幸いです。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)