【第95話】戦場はスタンドレスにも
今回の話しは途中で場面が変わります。
宜しくお願いします٩( 'ω' )و
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
王燐との戦闘を終えてサクラたちの元へと走っていく。闘いの余波で周囲は焦土と化していた、無事に巻き込まれることなく生き残っていてくれればいいが。
心配をよそに敵兵と氷牙の戦闘は続いていた、ここまで被害が及んでいなかったようで安心する。
私は右手を構えてサクラたちの周囲に向かって雷砲撃を撃ち込む。激しい爆発音と雷撃と共に敵兵と氷牙を一網打尽にしていく。
「マスター・ナディ、ご無事でしたか」
「おぉ、ありがとう!」
「皆さんご無事で何よりです、大丈夫でしたか?」
「それはこっちのセリフよ、物凄い戦闘だったみたいだけど大丈夫?」
「はい、おかげさまでなんとか…」
「マスター・ナディ、終わったのですか?」
「はい、後は皆さんと合流しましょう」
「そついえばシャナン、氷牙の様子何か変じゃなかった?」
「えぇ、意識をなくした人形のように感じました」
私も途中から王燐に集中していたのでよく見ていないが、門の兵士も含めて異質な雰囲気を纏っているようにも感じた。
それにこの場には兵士に氷牙と、この国の元々の戦力しか揃っていないようにもお前る。八獄衆や地獄から喚び出された戦力とやらはどこにいるのだろうか。
コハクたちが戦っている可能性もあるが、それにしても私の見える範囲では戦力が少ない気がする。
「まさかっ、スタンドレスに送り込まれた?」
「ん、どうかした?」
「ここの戦力があまりにも少ない気がして……」
「確かに、でもあの街は鉄壁だから大丈夫でしょう?」
「そう…ですね、大丈夫ですね」
更なる不安を抱えながらも皆の元へと向かう事にする、そこら中から聞こえていた戦闘音は落ち着きを取り戻したようにも思える、状況を確認するためにも無線機が使えない以上、合流する事が先決。
「皆さん、いきましょう」
ー スタンドレスにて。
「門を開けろーっ!竜族が来たぞ!!」
怪我人を抱えながらも龍族と海族たちは、大峰魔山に沿うように歩いて行き、魔王ナディの作ったスタンドレスを眼前に控えていた。
戦争が始まっている中で途中で襲われる事を恐れながらも、ゆっくりと最速の行軍で到着したのだ。
着いて早々は跳ね橋が上がり門が開かれる、中に入っていくと怪我人を治療所に運んでいき、セイが今回の部隊長として、その場に残っていたセーレンとガスールに事の経緯と、今起こっている事を話していく。
状況を飲み込んだ二人は、即座に全員に命令を下す。
「皆の者、戦争が始まりました!ここに敵が進行してくる可能性は大いにあります、警戒を怠らずに準備を整えてください!!」
その号令の元、それぞれが準備を始めていく。到着してすぐのセイたちも、休憩を挟んで防衛に加わる。
戦争という状況、今まで一方的に虐殺されてきた歴史がある彼らにとって、この緊張かは耐え難いものがあった。いくら魔王ナディの助力があるとはいえ、深く刻まれた恐怖は簡単に拭えない。
誰もが言葉を失い、祈るように警戒を続ける。
「敵襲!敵襲!天族の住んでいた方角から、大軍勢がこちらに向かって進行中!!」
心臓を締め付けるような号令が街中に響き渡る、願ってもいない事が起こってしまった。泣こうが喚こうが、今から戦争が始まる。誰しもが手に持つ武器に力を入るが、俯いたまま最初の一歩を踏み出せないでいた。
「皆の者、聞けいっ!!」
セーレンが叫び声を上げる。それと同時に俯いていた顔が自然と上がり、全員が同じ方向を見つめる。
「私たちは今日この日まで生きてきた、私たちエルフ族は何もできない無力さに嘆きながら、竜族、天族、海族、も虐げられ、追われて逃げ回ってきた!」
そのまま皆を鼓舞するかのように、話を続ける。
「だがそれも今日この日までだ!これからは、やりたいようにどこへだって自由に生きようではないか、魔王ナディが作りたまう理想郷を、この地を守るために武器を掲げ、足を踏み出せ!!」
いつしか、その場にいた全員の表情は変わっていた。だれもが今までの恐怖を振り払うかのように、武器を掲げていく。その場で足踏みをし、気合を入れ互いが、互いを昂らせていく。
「私たちはここで終わりはしない、誰もが自由と理想を求めて戦うのだ!それを見せつけてやろうぞ!!」
「「「「うぉぉぉおおおおおおっ!!!!!」」」」
全員の歓声が上がる、誰しもがその表情に恐怖は残していなかった、今やるべき事をこれからの未来に求める事を、その手に掴むために立ち上がる。
「各自、持ち場につけ!見せつけてやろうかっ!!」
「「「「「はいっ!!!」」」」」
セーレン、ガスール、セイと三つの部隊に分ける。セーレンは城壁の上から大砲やバリスタなどの狙撃を指示、ガスールは空の部隊を指揮し遠距離攻撃を軸に動き回る、セイはそれ以外の陸上部隊をまとめて城門の前で待機をする。
「敵の戦力はどうだ!?」
空を飛んでいるガスールが敵の軍勢を視認することが出来たようで、全体に告げる。
「人型の赤黒い生き物が所狭しと並んでおるわ、その前を人が一人歩いておった。あれがボスだろうな」
「数は?」
「正直、数えきれんよ…一万はくだらんだろうな」
「……一万、もしくはそれ以上」
「出来る限り、遠距離にて敵の戦力を減らしていき、溢れてきた的は俺たちが地上で仕留めていく」
「それしかないだろうな、そうして最終兵器として、風の龍の防壁を発動させるが……攻め手が無くなる」
「やるしかない、どのみち逃げる事も出来なければ、このまま蹂躙されるのを待つなんて無理だ!」
その事に全員が同じ気持ちになる、彼らの戦う背中には守るべき者たちが恐れを抱きながら、身を寄せ合っているのだから。
「よしっ、やるぞ!!」
「開戦じゃあっ!!」
その一言で動き始める、ついにここでも戦争が始まる。遠く人族の国では魔王ナディたちが今もなお戦闘を繰り広げている。
ここを失えば変える場所もなくなり、理想郷どころではなくなる。変える場所を守り、皆を待ち望む。
その為に、ここで敵軍を退ける。
見せてやろうか、今までの多種族連合とは訳が違う。今は魔王ナディのもたらした兵器や、技術の数々が守りを固めている。
敵も一筋縄ではいかないだろう。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)