【第94話】ナディVS王燐 第二幕
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
「起きろ、【蒼雷龍】。龍種の名前を冠する私の兵器、お披露目といこうか」
空にそびえる雲を背景に、青白い雷を四方に散らしながら兵器を起動させていく、背中から折りたたんでいた二枚の板を射出させそれぞれ左右の腕のそばで浮遊させる。装甲はまるで龍の鱗のように光を反射し、鋭利な牙を彷彿とさせる力強さを感じさせる。
青いエネルギーが脈動している。その姿は、まさに天を舞う龍のごとく、威圧的かつ美しい。
右手には防御も兼ねた破壊の一撃を見舞う砲撃を。左手の刃からは青い電光が走り、敵を一撃で断絶させる力を秘め、まさに龍の力を体現させていた。
この戦に準備してきた二つの兵器は、龍魔心装によって稼働を可能にしている。
「大袈裟だな、見てくれだけで終わらせるなよ」
「お前が理解できればな」
右腕の砲撃を構えて、即座に強烈な一撃を見舞う。
龍の咆哮のような激しい音と共に雷砲撃を放つ。王燐はまたあの盾を出現させて防ごうとしたが、それを一撃で消し去る。
その衝撃で王燐を吹き飛ばせたのか、後方の家屋に激突していた。
「言ったろ、理解できればなと」
「くそっ、人形ごときがぁぁぁあっ!」
「遅いぞ」
先に放った一撃と同時に飛び出していた、あの盾であれば撃ち砕くと確信していたからだ。砕いた爆煙に紛れながら接近し、左手の刃を振りかぶる。
龍が爪を振りかざしたように空を裂き地面を割る、寸前で躱されてしまったが追撃の一撃を振り切る。
「なめるなぁっ!!!」
剣をかざし私の一撃を防ごうとするも、その剣と腕を一刀両断する。
切断した剣が地面に突き刺さり、王燐の腕が地面に転がっていく。激しく吹き出す血潮を抑えながら叫び声を上げていた。
「ぐぁあああああああっ!!!」
「寸前で避けたか……」
「ぐっ………ちいぃっ[白炎光線]!!!」
左手から勢いよく白い炎を光線のように放ってきた、私は右腕の盾を構えてそれを防ぐ。かなり強烈な一撃だったが、私の盾を破壊するほどの威力はなかった。
気づけばかなり遠くまで後退し白い炎で自身の傷口を焼いている。
「がぁあああぁああああっ!!!」
「無駄だ、お前の攻撃が通らなければ、こちらの攻撃も防げない」
「はぁーっ、はぁーっ。まだだ、まだ終わってねぇよ」
懐から見覚えのある物を取り出していた。
「そ、それは火の龍の爪か!?」
「見せてやるよ……」
火の龍の爪をを天に向かって掲げ、何かを唱え始めている。そして、その爪を自身の胸に向かって激しく突き立てる。その瞬間、王燐の周りで円を描くように白炎が走り始め、その白炎は次第に勢いをつけていき激しく燃え上がり始めていく。
私はその燃え上がる白炎に向かって雷砲撃を放つ。が、その白炎に阻まれるかのように、吹き飛ばすことなく爆散して消え去る。
依然として、白炎は勢いをつけていきながら燃え上がっていきその炎は形を変えながら、見覚えのある形を成していく。
「龍、の力……なのか」
白い炎の龍がこちらに向かって吠えてくる、その咆哮はかつての龍を彷彿とさせるような迫力を持っていた、思わず身がたじろぎそうになる。
「俺の……力、これから…見せてやる………」
白い炎の龍は霧散し、その場に王燐だけが残る。
私はすかさず雷砲撃を撃ち込む、王燐はそれらを咆哮だけで打ち消した。そのまま腕を振ると爪の形状を模した斬撃が飛んでくる、それらをなんとか盾で防ぐが、先程の攻撃と比べてかなり重い。
「まだまだ、こんなものではないぞ[龍の白炎]」
口から放たれるその白炎は、先ほどとは違う威力と火力で襲いかかる。盾の方も限界を迎えそうな所で炎は止んだ。
「まだ耐えるか、グズ人形が」
「光の力に地獄の力、さらには龍の力か。」
「もう敵はいないだろう、お前を殺してこの世界を俺の手に」
「ここでお前は、私が殺す」
[限界突破]
私はさらに全身に龍の力と、電の原素を流し込んでいき、激流のように全身を駆け巡らせ一気に全身が熱を帯びていった。この状態は長く保たないだろうが、この戦争の元凶が目の前にいているのだ、私の全身が壊れようとも構わない。
地面を蹴り駆け出すと、地面が大きく爆発したような衝撃が発生する。
一歩一歩踏み込む度に大きく地面が割れ、粉塵が巻き上がっていく。
距離を一気に詰めて接近戦に持ち込む、奴の剣は先程使えなくしたのでこの刃を防ぐすべは持ち合わせていないはず。遠距離よりも私のほうが有利だ。
「近距離のほうが有利かと思ったか??」
「なっ!?」
私の刃を防いだのは地面から飛び出した禍々しい刀だった。それを王燐が手に取り、私の刃に合わせてくる。ぶつかり合う刃と刀は激しく衝撃を生み、周囲の家屋は消し飛んでいった。
「見るが良い、【地獄刀・龍閻魔】。お前を斬り伏せる刀の名だ」
その刀身は黒く禍々しい存在感を放ち、持ち手には龍の鱗のようなものが敷き詰められていた。奇しくも互いの武器や力は龍から来ているものだった、それに加え光と地獄の力。私には元の世界の技術力しか無い。
互いにあの日見た龍が荒れ狂って戦い合うように、刃と刀を交え続ける。辺りの家屋は白い炎によって燃え上がり、天には雷鳴が轟いていた。まさにこの世の地獄のような状況だった。
だからこそ一歩も引くわけには行かない。この世界を皆を守り、理想郷を創り出すために。
「ふははははっはははまさに地獄だな!!」
「だまれ」
「みろよ!この光景を!!全てを破壊出来る力が今この手にあるんだぜ」
「だからこそ、これ以上好き勝手させるわけにはいかない」
「震えるだろこの力ぁ!もっと試したいと、もっと引き出したいと!!!」
「恐ろしいよ、この力は」
「臆病者がぁ!!だからてめぇは俺にこうやって負けるんだよ!!!」
その瞬間、私の刃を弾く。
空いた隙を狙って刀が飛び込んできた。
避けること叶わず、刀は私の左目を貫いていく。
幸いなことに私に痛覚はない、視界が悪くはなるがこのまま戦うことに問題はない。
「はははははっ、この前の借りを返し………」
私は刺さったままの刀を左手で掴み、右腕に装備した砲身を向ける。
[雷砲撃]
至近距離からの砲撃。まさに肉を切らさて骨を断った、はげしい雷撃により王燐を吹き飛ばす。周囲に家屋は残っていなかったので、そのまま地面を転がり続けながら、受け身を取って立ち上がる。
「おあいこだ」
王燐は血を吐きながら答える。
「ぺっ、おあいこじゃねえよグズ人形が」
刀を地面に突き刺しながら立ち上がる。
「これでおあいこだ」
手を話したかと思えば空に向かって掲げだす、吹き出す白い炎がまた龍の姿を成していく。掲げた手のひらに白い炎が収束していきその腕は開いた龍の口となった。
私も迎撃体制を取る、右腕の装甲を形態変化させ大きな砲身を出現させる。そこに全身のエネルギーを集めていき力を込める。
開いた龍の口で、収束した白い炎を飲み込みこちらに向ける。
私も砲口を王燐に向ける。足からは衝撃に備えてアンカーのようなものを射出して固定させる。
[炎龍王の獄滅]
[雷龍王の超電磁砲]
王燐の作り出した龍の口は開くと同時に、全てを破滅させるかのような一撃を放つ。地面も溶かしながらむけられ、それに対し私も以前に作っていた魔銃・超電磁砲とは比べ物にならない破壊の一撃を撃ち込む。
射出したアンカーのお陰でなんとか耐えれてはいるが、ギリギリだった。
衝突した瞬間に辺りは光に包まれて静寂を迎える、遅れて爆音と天にまで昇るほどの衝撃で雲は消し飛んでいた。白い炎と青い雷が周囲を埋め尽くしもはや街の原型は留めていなかった。内隔壁も外隔壁も崩れ去り、荒れた荒野と化していた。
だが、奴はまだ生きている。
その証拠にレーザーのような攻撃を狙い撃って来たのだ。それは盾で防ぐことが出来たので距離を詰めていき眼前へと迫る。
「なんでまだ生きてやがんだよ!!」
「それはこちらのセリフだ」
互いに刃と刀をぶつけて膠着した状態となる。
「ひけ、お前の負けだ。その証拠に先程までの勢いは見られないぞ」
その言葉に意味深な笑みを浮かべる。
「ふはっ、本当にお気楽なやつだな」
「何が言いたい??」
「俺が負けるわけねぇだろうが」
「ならその命、散らしてやろう」
今度は私が刀を弾き上げる。
刃を振り切りこれで終わったと思った。だが、王燐の表情は変わらず笑っていた。
気にはなったがもう止めることは出来ない、そのまま振り切り胴体を切断する。
切り飛ばした上半身は地面に転がっていき、下半身はその場に倒れ込む。
「おわった……これで、終わった」
最後の笑顔が引っかかるが、この状態でどうにも出来ないだろう。終わったのだ、これで私たちの戦争は終わりを迎えることが出来たのだ。
後は他の仲間達がどうなっているかだけだ。
私は急いで無線機を取り出し話しかけるが返事がない、先の衝撃で電波障害になったのか壊れたのだろうと考え急いでその場を後にする。まずはサクラたちのもとに応援に行き、それから他の仲間と合流するのが先決だ。
そうして私は、一抹の不安を抱えながらも走り出していく。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)