【第93話】ジャスティスVSゴープ
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
私たちは空を生きる種族、こんな城壁簡単に飛び越える。同じく志共にする同族たちと共に、無線機から入った合図と共に森の中から一斉に飛び立つ。
自分から望んで得たこの力、この力に相応しい戦果を挙げられるように今日この日まで腕を磨いてきた。
「行きましょう、破砕槍。今日はその力を全力で解放させていただきます」
手に持った槍を強く握りしめて城壁の上を飛び越えていく、遠くの方では爆発音などが響いていた、どうやら既に戦闘は始まっているらしい。
街の中へと降り立ち、静かに移動を開始する。
取り敢えず一際大きな城を目指す事にしよう、あそこにいるラザール王とやらを倒す事が出来たのなら、この力を授かった意味があるというものだ。
建物の間を進んでいくと、妙な気配を感じた。
全員をその場に止めて目を凝らして辺りを警戒する、すると薄らではあるが糸のようなものが周囲に張り巡らされているのが確認できた。
「これは……」
以前にも見たことがあるし聞いていた、八獄衆の一人ゴープとやらが糸や縄のようなものを使って戦うと言っていた。明らかに人為的に張り巡らされているこの糸は間違い無いだろう、こちらの居場所を探る為か、糸にかかった者を捉える為なのか。
「みなさん、触れないように移動しましょう……」
優しく羽を動かし地面から足を離す、糸の届かない建物の屋根の上に移動して進む事にする。多少目立ちやすくはなるが、下を進むよりかは大丈夫だろう。
「ぐあっ」
「うっ」
屋根の上に降り立った瞬間、後ろの方で仲間の声が聞こえたので振り返ると、糸のような物に巻かれて拘束されていた。
「なっ、すぐに助けます!」
助け出そうと身を翻すと、四方八方からこちらに向かって人影が飛び出してきた、それぞれは暗殺者のような出で立ちをしており、手に持つナイフを振り翳しながら襲いかかってくる。
飛び出してきたこいつらのせいで、他の仲間たちも同じく襲われてたおり、捕らわれた仲間を助けに行けずに抑えられていた。
「くそっ邪魔だな…」
「ぐあぁぁぁあっ!!!」
捕えられた糸に締め付けられたのか、叫び声を上げていた。焦る気持ちを抑えながら、確実に周囲の敵を薙ぎ払っていき槍の届かない距離まで空けさせる。
「穿て、破砕槍。[土龍閃]!!」
槍を振り切り土の刃を飛ばす、切断力はないが破壊力はあるのであれぐらいの細い糸であれば簡単に引きちぎれる。
解放された仲間たちも体制を整えて、襲いかかる暗殺者どもに反撃を始める。こいつらは話に聞いていただけだが、氷牙と呼ばれる組織だろう。
そして、このどこかに八獄衆が潜んでいる……。
身体中に粘り着く様な不気味な視線を感じ、黒いローブをまとって身を隠した人物に向かって槍の先から衝撃を突き飛ばす。
身をかわしながら、そのローブの中から黒い縄ようなものが勢いよく飛び出してくる。槍を振り回してその縄を切り落とそうとするが、弾き返される。
「かった……」
「神の名の元、裁きを与えます…悔い改めよ」
フードを脱ぎその姿を表した、なんとも薄暗そうな雰囲気を出しながら祈るように手を握り合っていた。
さらに黒い縄が激しさを増し、鞭のようにしならせらながら私を取り囲むように襲いかかってくる、聞こえるのは空を切る音のみで、広報を確認する余裕もない。仲間たちはどうなったのだろうか、目の前に迫る黒い縄を弾いていくだけで精一杯だった。
槍を振り回しながら体を捻り、力を込める。
[牙龍突]!!!
捻り戻した体から放たれる衝撃は迫り来る縄を全て貫いていき、敵の腹部へと直撃する。縄のせいで威力を減衰されたのか、そこまでのダメージは与えれなかった。
今度は縄が編み込まれるように蠢き、拳の形を成していく。
「こ、これは……」
男の後ろからは数十本の拳が向けられていた、それらがゆらめきながら一気に襲いかかってくる。先程と同じく槍で弾き返そうとするが、この拳は重く縄よりも硬いので数発弾いただけで限界が来る。
「ぐっはぁぅ」
初めの一撃を腹部に貰ってしまう。
「汝、腹を殴ったら腹を殴られよ」
そこからは息つく暇もなく殴られ続ける、逃げたり弾き返そうと思っていたが、意識が飛びそうになり力が入らなくなってくる。
「がぁっ、が、がっ」
一撃一撃が重く全身に響き渡る、このまま殴られ続ければ意識が飛ぶ。
ふと周りを見てみると、仲間たちがまだまだ戦っていた。こちらに影響が出ないように氷牙をそれぞれが抑えながら戦っていく。
私が意識を飛ばせば、全滅は免れない。
「ぐぁあああぁぁぁぁあっ!!!」
迫り来る数発を、何とか弾き返していく。
「お前たち!もう少しだけ堪えてくれ!!」
[混ノ纏・金剛]!!!
金属のようなものがスライム状に体の周りを這うように動き回り、鎧の形を成していく。肩や胸の部分などが龍のような形状へと変化していき、龍装一体と言ったところだろうか、翼にも金属の部品が装備されて全身を覆っていた。
「龍槍、龍鎧、龍翼……これで、ぶちのめしてやる」
「見せかけのまやかしなど、通じぬ」
[千手縄拳]
今度はさらに多くの黒い縄の拳が現れた、まさに千本はありそうな。
だか、負ける気はしない。
体に流れている竜の力が、以前とは比べ物にならないほど力強くも優しく包み込むようになっていた。
「いける、これなら…」
「死ぬがいい、神の裁きを受け止めよ」
空を覆うほどのその拳群は、一気に私の元へと降り注がれる。全て向かい撃つ為に槍を再び強く握り、集中して龍の気を全身に駆け巡らせる。
「ふぅーっ……[龍槍群]!!」
槍を素早く突き出し、引き返す。それを何度も何度も繰り返し、まさに流星群が如く激しく猛々しい猛攻でそれらを受け止めていく。
「うぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁっっっ!!!」
押し返す事しか出来なかったが、次第に拳を一つまた一つと砕き散らしていく。あたり一面を砕けた縄が散らされて、空を覆うほどの大量の拳は跡形もなく全てを消し去った。
「そんな…バカな」
私は、勢いよく地面を蹴り上げて翼をはためかせ、開けた空に向かって一直線に飛び上がっていく。今まで以上に疾く空へと駆け上がって行けた、これも龍の力の成せる速度だろう。
ある程度の高度まで到着すると、身を翻して静止する。
「神以外が見下すなぁぁ!!」
「神神神神神って、つまらないね」
「神こそ絶対かつ至高の存在、それを証明してあげましょう!!」
男の周りに黒い縄が集まり始め、丸い鉄柱のようなものへと編み込まれていく。拳よりも大きく圧縮され硬度も挙げられているような気がする。
私も力を込めて槍へと伝えていく、金属をさらに覆いながら、口を閉じた龍の顔のようになっていく、口の先はさらに鋭く尖り、龍槍の名にふさわしい形へと整えていく。
「神を侮辱したこと、これで悔い改めなさい、[獄炎神の鉄槌!!」
「分からないものは知らないよ」
編み込まれていた縄の鉄柱が激しく燃え上がっていく、それを勢いよくこちらに向かって飛ばしその様子はまるで隕石のようだった。
槍を片手で持ち替え、大きく体を捻る。
「くらえ、[空槍龍撃]」
先ほどよりもさらに力をこめて、体を捻りながら溜め込んでいた。それを一気に解き放ち迫り来る鉄槌に向かって勢いよく振り投げる。
私の手元から放たれたその槍は、輝く筋を残しながら鉄槌を貫通し最も簡単に砕いて勢いは落ちることなく男に向かって一直線に伸びていく。
地面にぶつかった衝撃で爆発のようなものが起こり、あたり一体の建物は吹き飛んでいた。土煙を上げながら周囲の建物が崩れる音がする。
「土煙で見えませんね」
龍槍の回収と生存を確認するためにゆっくりと降りていく,
投げた槍の中心あたり一面は建物がなくなり、土煙が立ち込めていた。
そのまま警戒を続けながらあたりを確認すると、槍を見つけたることが出来た。そして、その男は見事に槍に貫かれて絶命していた。
「ふぅーっ、中々の強敵でしたね」
纏を解除し通常の姿に戻る。
「皆は大丈夫だっただろうか!?」
慌てて飛び向かっていくと、先程の衝撃で巻き込まれていたようだが、危険に察知し上空に逃げ込んでいたと。巻き込まれた氷牙たちはそこらじゅうで眠るように倒れ込んでいた。
「まだ終わっていません、加勢に行きます!」
「「「 はいっ!!! 」」」
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)