【第90話】ナディVS王燐
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
作戦通りに空へと放った弾丸に吸い込まれるように、周囲から兵士や、氷牙などが集まってきた。
「皆さんすみません、ハズレくじを引かしました」
「マスター・ナディの背中は任せてください」
「私も貴重なアンドロイドを、みすみすと壊されるわけにはいかないからね」
「カリナ様のいる場所が私のいる場所です」
「ありがとうございます、来ますよ」
私たちは取り囲まれた敵の中心で迎え撃つ、迎い来る敵をサクラと共に刀で切り伏せ、カリナとメイシャンは魔銃で遠くの敵や、出来る限り近づけないように撃ち倒していく。
順調に死体の山を築いて行く事にはなったのだが、向かってくる手かなあ違和感を覚え始める。確かに一人一人はかなり手強く一筋縄ではいかない事もあるが、声を発する事はおろか、表情に感情がないように思える。まるで、私と同じ機械のように。
「なんだか、様子が変ですね……」
「もしかしたら、人工獄心石のせいかもしれませんね」
それにしてはクロハの時とは様子が違いすぎる、クロハは地獄の炎を操りながら普通に戦っているように見受けられたのだが、目の前の人族は様子が違う。
半分は減らせた頃だろうか、様々な場所から大きな戦闘音が響くようになり、兵士の数も散り散りになっていった。それでも迫り来る兵士は止むことはない、隙間を縫うように入り込み死角からナイフを突き出される事もあったが、お互いが助け合いながら、この場を凌ぐ。
「もう少し敵を引きつけねば……」
その時、突如として攻撃の手が止んだのだ。敵が全員、距離を空けるように後退りをした。私たちは警戒をしながら武器を構える。
目の前の人たちが避けるように道を開け、その奥から見覚えのある人物がこちらに向かって歩いてくる。
「王燐……きましたか」
「よお、クズ人形」
お互いが見合い、時間が止まったかのような静寂さが流れる。
「いきなり出てくるとは、こちらはハズレでしたね」
「どう言う意味だ?」
「ラザールを…ボスを先に倒すのは定石でしょう」
すると、王燐が大きな笑い声を上げる。
「ははははははっ、あいつがか!?」
「何がおかしいのですか」
「はははっ…はぁーっ………[ひれ伏せ]」
その言葉に答えるように、その場にいた敵兵全員が片膝をつきながら頭を下げる。その光景が、この後の言葉を決定づける事となっていた。
「今は俺こそがこの国の王であり、いずれこの世界を手中に収めるものだ」
「なっ、ラザールは一体……まさか?」
「あぁっ、俺が殺したよ」
「仲間撃ちですか」
「違う、仲間じゃ無かったよ…最初っから」
王を殺された、殺したからといってすぐに王に成り変わり、ここまで全員が従うものだろうか。弱肉強食とはいえ、この状況は気味が悪すぎる。
「お前はやはり、この世界に不要な存在だ。この私が、責任を持って殺してやろう」
「口調を変えてやる気か?…こいよ、俺の目的はお前だ…その次に後ろの奴らを蹂躙してやる」
私は地面を蹴り、王燐の元へと走り出す。その勢いのまま刀を構えて喉元めがけて振り切る。奴も剣を持っていたのか、寸前で止められた。
「おぉっ、怖い怖い」
「もう喋らなくていい、お前を殺してこの戦争を終わらせる」
私は、王燐を1人抑え込む為にそのまま力押しでその場を離れていく。サクラたちはその場に残す形にはなったが、あの状況であれば問題ないだろう。どの道、こいつを殺せばこの戦争を終わらせれる。
「いいのか、兵士だけじゃないぞ?」
「言ったろ、喋るなと」
先ほどから自然と溢れでる口調が変わっている事に気が付いてはいたが、それよりも体を動かす方が先決だった。奥は奥へと押し込み、距離を離していく。
ある程度離したところで、腹に蹴りを入れ飛ばす。
「出し惜しみは無しだ、安心しろ…楽に殺してやる」
「ほざくなよクズ人形が、忘れたようだがら思い出させてやるよ!!俺を誰だと思ってやがる!!!」
私は全身から青い雷光を、王燐は体から白い炎を噴き出させていた。あの日みた白い炎だった、意識が失われている様子もなく安定している、この短時間でコントロール出来るようになったのだろう。
それでも結果は変わらない、俺が奴を……
左手には刀を握り、右手には魔銃・電鷲を構える。溢れ出ていた青い雷光の電をそれぞれの武器に纏わせていく。
やつも同じく、手に握った剣に白い炎を纏わせる。
私が魔弾を数発撃ち込む。が、魔弾は避けられるか手に持った剣で弾かれる。
すかさず王燐が、手のひらをこちらにかざしてきた。
私は嫌な予感がしたので、身を翻すようにした体を逸らす。その予感は的中したのか、白い光線が手のひらの延長線上に放たれてきた。後ろの家屋は燃え上がり、丸い形にくり抜かれたように消え去っていた。
「ちっ、あいつと同じで避けんなよな」
「白い熱光線…といったところか」
「せめてあいつよりは楽しませてくれよな」
それから数回同じような熱光線を放たれ続ける、手のひらの向きさえ注目していればある程度の予測はできる、隙を狙って魔弾を撃ち込んでいるが、こちらも同じく当たる事は無い。
私は電鷲を仕舞い込み、両方の手に刀を握った、ここからは接近戦に持ち込むつもりだ。
絶え間なく続く白い熱光線を躱しながら、徐々に距離を詰めようとするが簡単には近付けさせてくれない。
近づいたと思えば、[白炎光子]とやらで光子のようなものを周囲に発言させ、それらで灼き尽くそうとしてくる。
「出しますか…」
私は以前に使っていた、飛行ユニットリフレクターを射出すら用意を始める、次に熱光線を放ってきた時がチャンスだ。
そうして、距離を離そうとその場から跳び下がった瞬間、王燐がこちらに手のひらをかざし構える。
放たれる寸前に、リフレクターを射出し私の前に盾のような形で飛行させる。放たれた熱光線は私の目論見通り、反射して王燐の足元目掛けて照射された。
その衝撃にバランスを崩した隙を狙って、一気に間隔を詰める。振りかざした二刀は、苦しくも王燐の剣によって阻まれてしまうが、これで接近戦に持ち込む事は出来た。
「んなのありかよ」
「ありだよ」
そこから私の猛攻が始まる、縦横無尽に王燐目掛けて剣を振り回していく。全ていなされてはいるが、それもいつまで持つか。
ここを離す訳にはいかない。攻撃の手を緩める事なく、何度も何度も乱撃を浴びせていく。
[白炎神盾]
その言葉と同時に、突如目の前に巨大な白く燃え上がる盾のようなものが出現した。振りかざしていた刀は止める事が出来ず、その盾に直撃し防がれる。
「なっ、硬いなこれ」
押し込もうと力を込めるがびくともしない、もう一度斬りつけてみるが、傷一つとして付かなかった。
次の瞬間、盾が消えたと思えば王燐が両手を近づけ、その間に白い炎の玉のようなものを作っていた。
[白炎破爆]
その手からは閃光のような光を放ち、気がついた瞬間には爆炎に包まれていた。大きな音衝撃により、私はかなり遠くにあった家屋まで吹き飛ばされてしまう。
「かっ、、、」
激しく家屋に打ち付けられながら吹き飛び、倒壊に巻き込まれ瓦礫に襲われる。
「どうしたグズ人形、さっきまでの威勢はよぉっ!」
体の損傷状況を確認するが、大したものでは無かった。まだまだ動かすこともできれば、負担を掛ける事も問題がない。
私は瓦礫の山を掻き分けるようにして、這い出る。
「生きてんじゃねぇかよ……」
瓦礫の山の上に立ち、私は前を見据えた。
手に持った刀を鞘に納めて、流れを整える。
「なんだ、諦めたか?」
「お前はこれでは殺せないらしいな…」
体の中を駆け巡る、龍魔心核から流れ込む力をゆっくり整えていき、緩やかな流れへと変えていく。
その流れを背中の部分にまで伸ばしていき、今回の戦争に向けて新たに作り出して兵器の起動を始める。
「起きろ、【蒼雷龍】。龍種の名前を冠する私の兵器、お披露目といこうか」
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)