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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第1章 ベストナイン大会編
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第9話 The ベストナイン大会 -1戦目 愛東学院戦-

GW一日目、The ベストナイン大会一戦目が始まった。大会の球場は神宮球場と大宮公園野球場と戸田球場で行われる。日東高校は神宮ブロックに入っている。この大会では4イニング制、延長3イニング制となっている。日東高校は午前に愛東学院と試合を行う。また、成績等も反映されるため安打王や本塁打王等もある。


一方、神宮球場を本拠地とする某プロ球団はこの期間中はアウェーで試合が行われる。


「さぁ皆、イベントと言えどもこれは真剣勝負。しっかりやるよ!」


「はい!」


高原先生はスターティングメンバーを発表した。今回の大会ではDH制が導入された。メンバーは以下の通りである。


日東高校

1,金子真琴(中堅手) 2年

2,山崎七緒(二塁手) 2年

3,秋山凜(右翼手)  2年(拓明)

4,中島雪峯(一塁手) 2年

5,吉田穂香(左翼手) 2年

6,大野彩也(捕手)  1年

7,乃木咲希(DH)   2年(駒修)

8,村上心愛(三塁手) 2年

9,内田七海(遊撃手) 3年

P,大野琴葉(投手)  2年


1年生で唯一スタメンなのは彩也のみである。比奈や絵茉は他校のメンバーと一緒に試合をしている。一方、愛東学院のスターティングメンバーは以下の通りである。


愛東学院

1,田中杏子(遊撃手)  2年

2,菊池綾音(二塁手)  1年

3,丸杏菜(中堅手)   3年

4,鈴木せれな(右翼手) 3年

5,松山詩音(三塁手)  2年  

6,韮澤柚葉(一塁手) 1年

7,西川彩羽(左翼手) 2年

8,宮原翼(DH)   1年

9,愛澤夕陽(捕手) 2年(拓明)

P,大瀬良久留美(投手) 2年


愛東学院側のスタメンはバランスが取れている。審判からプレイボールの掛け声で試合はスタートした。先攻は愛東学院、後攻に日東となっている。


打席には田中が入った。彼女の持ち味は卓越したバットコントロールである。塁にあまり出したくない選手である。


「(彩也、ここはどうする?)」


「(ストレートで押し切るかと見せかけてここはチェンジアップで!)」


コクりと琴葉は頷きボールを投げた。琴葉のチェンジアップは田中の振ったバットに命中した。しかし、高く舞い上がった打球は緩やかな軌道で三塁手・心愛のグラブに収まった。先頭打者をサードフライで1アウトとした。


「(初球から振ってくるか・・・次の打席では警戒しなければ!)」


サードフライに終わり、菊池が打席に立った。彼女は打撃力より守備に定評がある。相手側からしたら喉から手が出るほど欲しい選手であることに間違いない。


琴葉の一球目を見逃した菊地は二球目も見逃した。しかし、三球目を遊撃手の深いところにボールを打った。菊池は全速力で走り遊撃への内野安打の判定となり、1アウト一塁にした。今の走塁からして盗塁を仕掛ける可能性が高い。


「(盗塁警戒ね!)」


菊池の次の丸の打席で一塁ランナー・菊池はアクションを起こす。二球目の投球の際に菊池は走り出した。彩也は盗塁阻止のため二塁のすかさず送球した。しかし、二塁手・七緒のグラブを弾き、センター方向にボールが転がって行った。二塁のエラーということになり、1アウト三塁にさせてしまった。しかし、丸に対しては空振り三振に仕留めた。


「(流石に本盗はしないよね?・・・)」


4番打者鈴木に対しては七球も粘られた。しかし、琴葉は八球目にキレのあるフォークを投じバットに当てられるもピッチャーゴロに仕留めた。愛東学院は一打先制の場面で凡退を喫してしまった。一回表終了後彩也は琴葉に言った。


「危なかったけど0点に終わって良かったね。私も盗塁阻止の時はヒヤリとしたけど!」


「そうだね~!向こうは一発はないけど駒かな戦術を使ってくるね」


そして一回裏、先頭には真琴が打席に立った。大瀬良に対して全球ファールとしていたが六球目で空振り三振に倒れた。続く打席には七緒が立った。七緒は大瀬良の四球目の甘く入ったストレートを見逃さずにバットを振った。大きく舞い上がった打球はレフトスタンドに行くものの左翼手・西川に好捕されてしまった。


「(惜しかった~もう少しでホームランだったのに・・・)」


流石プロの野球場と感じながらベンチに戻った。早くも2アウト、ここで新加入の凜が打席に立った。


「(私は与えられた仕事をいかなる環境でもやり遂げる・・・!)」


凜は日東メンバーと顔合わせしてからすぐに仲良くなっていったのである。


「(一球目はフォークか・・・予想通り!)」


凜は高めのフォークを見逃し、ボールとなった。予想通りと感じ、二球目を思いっきり振った。流石拓明のアーチスト。スイングの姿勢からも強打者を感じられる。そして、ライトスタンドに白球を運び、ホームランとなった。2アウトランナー無しからのソロホームランである。これで凜の高校通算本塁打数は30本という数字になった。


「凜ちゃんナイバッチ!」


神宮のダイヤモンドを一周した凜はメンバーとハイタッチした。投手の大瀬良は拓明の実力を思い知った。


「(やはりすごいな拓明は・・・迫力が違う)」


その後雪峯がセンター前へのヒットで出塁するも後続の穂香がファーストゴロに倒れた。しかし凜の1号ソロホームランで0-1のスコアとなった。


2回表、琴葉は松山と対戦した。初球をカーブでストライクを取り、カウントノーボール2ストライクに追い込んだ。ファールで粘られ、ライト前に運ばれた。しかし、二塁へ行けるかと過信したのかランナーの松山はライトゴロにしてしまった。走塁死である。


致命的なミスを犯した松山の次の打席には韮澤が立った。彼女はしまったという顔をしながらベンチに戻る松山を横目に打席に立った。琴葉は韮澤に対して三球三振に仕留めることが出来た。2アウトランナー無しで西川が打席に立った。西川は琴葉の一球目~五球目をファールとボールで粘り、六球目を振りに行くもセンターライナーに倒れた。


2回無失点に切り抜けた琴葉は余裕の表情を見せていた。後は味方打線が2~3点を入れてくれたら安心できる。


「彩也~!ホームラン打とう!」


「(無茶ぶりだよ~お姉ちゃん)」


彩也はこれまで本塁打を打てていない。しかし、中学時代に一度だけフェンスギリギリの打球を飛ばせたもののアウトになった過去がある。


2回裏、彩也が打席に入った。相手投手・大瀬良は彩也の妙な威圧感を感じ取ったのかボール先行のカウントとなった。彩也は3ボール1ストライクのカウントで五球目を振りにいった。彩也の渾身の一振りは一直線にライトスタンドに向かっていった。


「(入るか・・・!?入って!)」


彩也の打球は見事スタンドインとなった。野球をやり始めて彩也は初本塁打を記録した。彩也のホームランに琴葉は大喜びした。


「彩也~!ナイバッチ~!」


彩也の本塁打により後続のバッターが奮起した。DHの咲希が打席に入ると大瀬良は制球が乱れ四球で出塁させた。心愛の打席では一球目のストレートを降りにいくもライトへのファールフライでアウトとなった。一塁ランナー・咲希はヒットと同時に盗塁を決め、二塁を蹴って三塁へ向かいセーフで1アウト一三塁とした。そして一巡目が終わり、真琴の打席が回ってきた。


「(もう一点取りたいね!)」


真琴の打席で大瀬良は五球目のカーブをレフト方向に運ばれたが西川のグラブに収まりレフトフライの判定でアウトとなったが三塁ランナー・咲希はスタートを決めホームイン。3点目を入れ0-3とした。


「皆ナイバッチ~!」


2アウトランナー一塁で打席には七緒が打席に入った。大瀬良の初球を振りにいったがセカンドライナーに倒れ3アウトチェンジになったが2点を追加することに成功した。援護をもらった琴葉は3回表にも登板した。


「(今日のコンディションは絶好調だ!このまま完封で行きたいな!)」


と思ったがDHの宮原に初球から振りに行かれ二塁打を打たれた。しかし、捕手の愛澤が四球目をサードに方向に打ち損じサードゴロでランナーは二塁に留まった。打順が一周し再び田中の打席に回ってきた。琴葉は二塁牽制をし、戻るのが遅れた二塁ランナー・宮原は牽制死でアウトになった。また、田中は琴葉のストレートに力負けし、空振り三振に終わった。


ヒヤリとする場面はあったが無失点で終わった。3回無失点で勝利投手の権利を琴葉は手にした。午後も試合はあるため琴葉はリリーフと交代した。また、彩也も交代となった。


3回裏、日東高校は一部メンバーを交代した。

大野琴葉(先発)→小林彩夏(抑え)


大野彩也(捕手)→中村柚子(捕手)


中島雪峯(一塁手)→上茶谷華奈(一塁手)


吉田穂香(左翼手)→澤田美麗(左翼手)


一方、愛東学院側も選手交替を行った。

大瀬良久留美(先発)→加治屋青葉(中継)


松山詩音(三塁手)→今江東華(三塁手)


宮原翼(DH)→大森日向(DH)


凜が再び打席に入る。しかし、大瀬良から交代した加治屋は安定感のあるピッチングを披露し、空振り三振に倒れた。続く打席には雪峯の代打として華奈が入った。華奈は加治屋の六球目をライトフライとなった。穂香にも代打が出され、美麗が打席に立った。加治屋の投球には目を見張るものがある。美麗は五球粘るもショートゴロで3アウトチェンジとなった。


この回は無得点だったものの逆転されることはまずないだろう。琴葉降板後、彩夏が最終回のマウンドに立った。3点ビハインドで迎えた最終回の攻撃の打席に立ったのは菊池だった。菊池は彩夏の初球を振りに行きセンター前ヒットを記録した。少し慌てたのか丸にカウント2ボール1ストライクから2ランホームランを放ち一点差とした。


「彩夏~!落ち着いて~!」


彩夏は立ち上がりにミスをしたものの後続の今江・韮澤・西川を三者連続三振でゲームセットとなった。日東高校はイベント1戦目を勝利を手にした。


スコアは以下の通りである。

   1 2 3 4 計 H E

愛東 0 0 0 2 2 3 0

日東 1 2 0 0 3 3 1


勝利投手 大野琴葉  1勝0敗

敗戦投手 大瀬良久留美 0勝1敗

セーブ  小林彩夏  0勝0敗1S


本塁打 秋山凜(1裏 ソロ) 1号

    大野彩也(2裏 ソロ) 1号

    丸杏菜(4裏) 1号


試合時間 1時間17分(9時開始)


試合終了後、高原先生はミーティングを開いた。


「午前の試合お疲れさま。午後の次の試合までまだ時間はあるから球場飯でも食べてリラックスしておいで!後、11時からの上東館対名東の試合あるらしい。比奈も出ると思うから応援してあげて!」


「はい!」


その後、神宮などの球場飯を軽く食べ、神宮ブロックの試合を観戦した。上東館対名東の試合では比奈がヒットを打つなど2打数2安打と活躍していた。


「次の試合は15時か。次も頑張ろうね!」


「うん!」


琴葉らは日東高校の15時開始の法央の試合まで待機していた。

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