表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第3章 東東京大会編
46/46

第46話 東東京大会 1回戦 東京成武高校戦 part3

六回表、東京成武高校は柳田・吉田・高橋の下位打線から始まる回となった。漆は本塁打やヒットを浴びないように慎重に投げ分けた。


漆は柳田に対して一球目をストレート、二球目をカーブ、三球目をフォークとするが2ボール1ストライクとボール先行であった。長打警戒であるため四球目は低めにスライダーを投げ入れた。柳田は漆の四球目のスライダーをバットに当てるが前に飛ばずにピッチャーゴロで1アウトとなった。


吉田の打席では初球からバットを振って狙っていくがライトフライに倒れてしまった。しかし、後続の高橋に対してインコースとアウトコースを投げ分けていく投球を見せていくが漆の変化球に惑わされてしまい空振り三振となり3アウトチェンジとなった。


「漆、ナイスピッチング!今日の登板はここまでだからゆっくり休んでね」


「はい!」


そして2点を追う場面の六回裏、義美・心愛・樹理の打席から始まった。ここまで2失点に抑えている相手投手の山本は完投勝利を目指している。義美は山本に対して一球目のチェンジアップを見逃し、二球目と三球目をフォークをファールとボールで粘り、四球目の少し甘く入ってしまったカーブを高く打ち上げるが球威に圧されてしまいショートフライに倒れてしまい1アウト。


「(球威がすごいな~残り2得点・・・行けるかな・・・)」


と考えながら心愛に代打が出され、青山すみれがバッターボックスに入った。すみれは山本に対して全球見逃すがボール先行で四球となり一塁へ進塁した。


「よし!出塁した!ここからどんどんランナー溜めてこ~」


先頭バッターの樹理の打席となったが彼女にも代打が出された。樹理の代打には金子真琴がバッターボックスに入った。真琴は山本に対して投げるたびにバットに当てていきファールで粘っていった。


「まこちゃん~落ち着いて打っていって~」


真琴は集中力を更にあげて山本の投球を見極めた。そしてフルカウントの場面からツーベースヒットを放ちチャンスを拡大した。


「ナイバッチ~!逆転してくよ~!」


1アウトランナー二塁三塁のチャンスの場面で打席には赤穂が立った。山本は赤穂に対して1ボール2ストライクのカウントとしていくが赤穂は緩めのフォークを見逃さずバットを大きく振っていきセンターへのタイムリーヒットを放ち3-4と1点差に迫った。


「1点差だよ~!がんばっていこう!」


一点差に迫り、雪峯の一発に期待した。山本はホームランを放たれないよう警戒しながら投げ分けた。最強と言われている成武高校が負けるはずがない。そう唱えながら雪峯に六球目を投じた。


「(見えた・・・!ここで打てば逆転だ!)


雪峯は六球目のチェンジアップを見逃さずに右中間方向へ思いっきり打球を放った。雪峯の大飛球は外野手の頭を越えていきスタンドへ突き刺さった。ホームランである。雪峯の起死回生の2ランホームランで5-4と遂に逆転に成功した。


「雪~ナイスホームラン~!どんどん続いていこう!」


山本は雪峯に2ランホームランを放たれてしまい悲壮感漂う表情をしていた。しかしまだ残り1イニング残っている。最強打線を信じるしかない。


雪峯の後続をしっかり抑えるため舞香と対戦した。舞香に対しては順調に投げ分けていきストレートの空振り三振を奪い、少しでも多くの失点を防ぎ最終回の攻防に突入した。


日東高校 投手交代

澤村漆(中継ぎ)→高梨絵茉(抑え)


最終回となる七回表、絵茉は神宮寺・亀井・坂本と対戦した。1回戦突破に向けてこの回で抑えていきたいところである。


「(しっかりと抑えていこう・・・)」


神宮寺のバッターボックスでは一球目を特大ファールとされ冷や汗をかいたが二球目・三球目を自信の得意球のスライダーとチェンジアップで空振り三振を奪った。


「(残り2人・・・!)


先頭の亀井に対しては緊張からか制球が乱れてしまい四球となってしまった。しかし、何とか立ち直り坂本と対戦した。ダブルプレーが理想的である。


「絵茉!落ち着いて!私たちが後ろ守ってるから!」


コクりと頷き、坂本に投げ入れる。坂本は絵茉の鋭く曲がるスライダーをバットに当てていくが打球が延びずにショート正面ゲッツーコースとなった。遊撃手・赤穂は緊張しながら二塁・一塁へと送球しダブルプレーを成立させてゲームセットとなった。あの超強豪に勝ったことにより琴葉や彩也はベンチで勝利のグータッチを見せ喜びを露にした。


まさかの逆転敗けで1回戦敗退となった東京成武高校。試合終了後には日東高校のベンチへと向かい頭を下げてスポーツマンシップを象徴とするシーンを見せた。琴葉らもお辞儀をして両チームの熱戦を称えあった。


「「ありがとうございました!」」


試合終了後、琴葉と彩也は成武高校の主将・岡本に声をかけられる。


「すごい試合だったよ。ありがとう。二人のバッテリーには深い絆があると実感したよ。2回戦も頑張って!」


「はい!」


そして全体ミーティングの部屋へと行き、1回戦の総括と2回戦の対戦相手が発表された。2回戦に日東高校が対する相手は明洋学院高校であった。明洋学院高校は6年前に東東京大会で対戦したことがあったがほとんどの部員が入れ替わっているためあてにすることはできない。実力と運が勝利をもたらすことになる。ミーティング終了後、3日後に迫る2回戦に向けて準備を整えることにした。


解散後、赤穂は布団に吸い込まれるかのごとく眠りについたが彼女はある夢を見ていた。

次回赤穂編です。よろしくお願いします。(12月1日投稿予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ