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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第3章 東東京大会編
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第44話 東東京大会 1回戦 東京成武高校戦 part1

期末試験終了後、東東京大会が開幕した。日東高校はベストナイン大会全勝の東京成武高校と江戸川球場で対戦する。試合開始1時間前に高原先生は部員全員を集めて試合前ミーティングを行いオーダーの発表を行った。


「皆さんおはようございます。今日から東東京大会が始まります。50年ぶりの甲子園優勝に向けて頑張っていきましょう。それではオーダーを発表したいと思います」


「はい!」


ミーティング室にて日東高校野球部の東東京大会のオーダーが発表された。以下が初戦のスターティングオーダーである。また今大会ではDH制が導入されているため琴葉が投手として打席にたつことはない。


日東高校 スターティングラインナップ

1,与那国樹里(中)

2,生方赤穂(遊)

3,中島雪峯(一)

4,小越舞香(DH)

5,吉田穂香(左)

6,大野彩也(捕)

7,山崎七緒(二)

8,丸亀義美(右)

9,村上心愛(三)

P,大野琴葉(先)


一方の東京成武高校のスタメンは以下の通りである。


東京成武高校 スターティングラインナップ

1,亀井愛唯(左)

2,坂本真矢(三)

3,吉川二葉(二)

4,岡本真由美(一)

5,加登脇波留(遊)

6,柳田汐里(DH)

7,吉田真美(右)

8,高橋伊織(捕)

9,神宮寺侑李(中)

P,山本愛葉(先)


という面々である。先攻が東京成武高校、後攻が日東高校となった。マウンドに向かう途中琴葉は彩也に話しかけられた。


「お姉ちゃん、今日も頑張っていこ?勝ち負けはあるけど今はそんなこと気にせずにさ」


「分かった彩也。今日も最高の配給を期待してるよ!」


「うん!さぁ行こう!」


試合開始の合図があり負ければ終わりの東東京大会1回戦の試合が開始した。一回表、琴葉がマウンドに上がり東京成武高校の1番打者・亀井と対戦する。


「(強打者のオーラを感じる・・・慎重に攻めていかないと・・・)」


琴葉は亀井に対して慎重に攻めていった。一球目は様子見でストレートを投げ入れた。一球目のストレートに亀井は初球から大きく振りに行くが当たらず1ストライクを取ったがフルスイングを見せつけられた。


「(今のスイング凄かった・・・一番から怖すぎる・・・)」


弱気になってはいけないと思いつつも警戒しながら二球目を投じた。二球目はフォークであったが亀井は当てていくもファールであった。ノーボール2ストライクに追い込んだ琴葉は三球目で強ストレート、四球目をチェンジアップで内野ゴロに仕留めて1アウトを取った。


「(日東高校の大野琴葉・・・良い球を投げるね・・・次は絶対に打つ!)」


凡退した亀井は琴葉に対して闘志むき出しであった。


続く2番の坂本に対して琴葉は苦戦を強いられた。一球目の緩めのカーブを打つもファールゾーンに落ち、二球目のスライダーに対しては見逃して2ストライクと追い込むが三球目・四球目・五球目と厳しいコースを攻めていくがすべてボールとなってしまい3ボール2ストライクのフルカウントからの六球目にレフトへのヒットを放たれ塁に出してしまった。


そして3番の吉川に対しては一球目のスライダーを見極めてボール、二球目・三球目のカーブとフォークも見極めてボールとされ3ボールと四球によるピンチを作るが四球目のチェンジアップでタイミングを遅らせてセカンド正面へのゲッツーコースを作り吉川を併殺に仕留めて一回表のピンチを凌いだ。


「良い球だったよお姉ちゃん。次も頑張っていこう!」


「おー!」


一回裏、先頭の樹里は相手先発・山本の一球目と三球目と六球目のストレート・チェンジアップ・スプリットで空振り三振を奪われてしまうが後続の赤穂が山本の二球目のスライダーをショート後方に放ち内野安打で出塁した。


「ナイバッチ~!どんどん行こう~!」


攻撃の間は琴葉は声かけでチームを鼓舞する。しかし、中軸の雪峯がセンターへのツーベースを放つが4番の舞香が七球粘るが空振り三振、二死一三塁のチャンスを作るが5番の穂香がピッチャーフライに倒れて先制点を放つことは出来なかった。


「あちゃ~惜しかった~次は頑張ろう!」


「うん!」


二回表、ホームランバッターとして知られる岡本と琴葉は対戦する。しかし、高原先生は長打警戒のため岡本に申告敬遠を行い歩かせた。岡本への申告敬遠に球場からはブーイングが巻き起こるが琴葉は動揺せず後続の加登脇に八球粘られる打撃を見せられるが九球目のカーブで空振りに仕留めた。


「(大丈夫・・・抑えられるよ・・・)」


1アウト一塁の場面で6番の柳田を抑えるため一球目にスライダーを投げるが初球からセンター前へヒットを放たれてしまい一二塁へと進まれた。そして7番の吉田に四球連続ボールで満塁となってしまいこの試合一番の転換期(ターニングポイント)となった。すると彩也が審判にタイムをかけて内野陣と共にマウンドに集まった。


「お姉ちゃん、少し球に勢いがなくて打たれちゃってるから気をつけて」


「分かった!」


「それと慌てずに焦らずゆっくりとね」


「うん」


一死満塁の場面で琴葉は高橋と対戦した。高橋に対して落ち着いて投球していき1ボール2ストライクと追い込むがライトへのヒットを放たれてしまい1点を失ったが神宮寺をファーストフライに抑えて最小失点に抑えた。


「琴葉、1失点は上々だから次の回は気を付けなよ?」


「はい先生!」


二回裏、彩也の打席となり山本と対戦した。彩也は山本のスライダーを高く打ち上げてしまいライトフライに倒れてしまうが右翼手・吉田が落球してしまいエラーが記録され一塁へ進塁した。しかし後続の七緒が山本の六球目のチェンジアップを引っかけてしまいダブルプレーに仕留められてしまい2アウトとなってしまった。


「(ダブルプレーは痛いなぁ)」


二死走者無しの場面で義美は起死回生のスリーベースヒットを放つが心愛が山本の五球目のストレートを狙い打ちするは飛距離が足りずセンターフライとなってしまい同点することは出来なかった。


「(惜しかった・・・パワーがもう少しあれば・・・)」


三回表、ここまで最小失点の1に抑えている琴葉は亀井と二度目の対戦をした。琴葉の攻略法を掴んだと思われる亀井は四球目の高めのストレートを打つも上がりすぎてしまいインフィールドフライで1アウトとなってしまった。しかし、2番の坂本に六球目の甘く入ったストレートを完璧に捉えられてしまいソロホームランを放たれてしまった。


「まだソロだから落ち着いて」


「分かった」


苦しい展開なのは分かっている。それでも抑えなければいけない場面で吉川をサードゴロに仕留め、第1打席で申告敬遠で対戦を避けた岡本をフルカウントからの空振り三振に仕留めて会場からは歓声が上がった。イニング終了後、琴葉は小さくガッツポーズを見せて感情をわずかに露にした。


三回裏、樹里は山本に対して初球打ちをしていきレフトへのヒットを放つが二塁へと行けるかと思ったのか塁を飛び出してしまい走塁死とされ痛いミスで1アウトとなった。この場面で高原先生は試合に勝ったとしても走塁練習を厳しくしていくことを決めた。


「(今のプレーはもったいないミス。走塁練習を徹底していかなければ)」


というように考えていた。続く赤穂は前の打席同様に内野安打を放ち出塁するが雪峯がピッチャーフライ、舞香がセンターライナーでアウトとなりまたしても得点を奪うことは出来なかった。


残り4イニングとなり相手打者からは攻略の的となってくる。警戒しなければ厳しい試合展開となるだろう。


四回表へ続く・・・

次回11月23日投稿予定

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