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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第2章 オールスターゲーム編
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第29話 絵茉の才能はARE(開花)する

ベストナイン大会終了後、絵茉と比奈は琴葉と彩也の家に泊まり、一緒にお風呂に入ったりプロエをしたりして楽しんだ。高校側から2日間の特別休暇をもらったため明日も遊べるが中間試験が控えているため両立が必要になってくる。


絵茉は彩也の部屋で寝た。絵茉は布団に入ると引き込まれるかのようにぐっすりと寝たが彩也や琴葉と出会う前の夢を見た。かなり懐かしい夢であった。



絵茉(以下私)が野球を始めたのは小学4年生の時であったが本格的にやり始めたのは中学に入ってからだ。当時の私は捕手そしていた。しかし、バッテリーを組んだ投手の子から私は嫌われていた。


「ねぇ高梨さん。あんたの配球マジで下手くそなんだけど?どう説明してくれる?」


中学の練習試合で私はアウトコースのボールを要求したりしていたため連続で四球を出してしまい後続の打者にヒットを打たれて失点してまう場面が多かった他、まだ肩が強くなかったため盗塁を阻止することが出来なかった。


「ごめんなさい先輩・・・次から気をつけます・・・」


「あまり後輩にこういうこと言いたくないんだけどどうしてそんなにボール球かストライクの判定が難しい所を要求するのかな?下手くそって言ったのはごめんだけどあれだけは私は疑問なんだよね」


「打者からしてみれば嫌かなと思いまして・・・ダメでしたか?」


「うん。ダメ。単刀直入に言うと練習が足りないね。一度打者目線で見てみたらどう?」


「分かりました・・・」


先輩投手の酷評に萎縮してしまったが私は一度打者目線としてバッターボックスに立ち普段私がどこに投げているのかを確かめることにした。私の代わりの捕手には2年の若月さんがやってくれた。


「じゃあ行くよ。高梨さんがどんな球を要求しているか」


すると先輩投手の山岡さんは私の胸付近であったり、あわや頭部への死球かもしれないコースに投げてきた。私は身の危険を感じバッターボックスから出ていこうとしたが山岡さんは私が今まで要求してきた球をインコース・アウトコースのボールゾーンへと投げ分けた。


「何出ていこうとしてるの?高梨さんはチームに迷惑をかけてるんだよ?なおさらのことだよね?」


「そうですが・・・そろそろ終わりにしませんか?」


「何?私に口答えするん?ただでさえ配球・リード全てがダメなのに?」


私は問い詰められ泣きそうになった。そこに顧問の先生がやって来て提案をした。


「まぁまぁ山岡。高梨はまだ入ったばかりなんだ。あまりキツく言わないでくれ」


「ですが先生!高梨さんの配球やリードなどの全てにおいて私たちは迷惑しています!」


「私たちがか・・・じゃあみんなに聞いてみようか。みんなはどう思う?高梨の捕手としてのリードや配球、サインはどうかな?」


顧問の先生の問いかけにその場にいた18人の部員は私のこれからの伸び代に期待する意見が多かった。


「ということだ山岡。君は高梨に対してイキったな。顧問として見過ごす訳にはいかない。山岡、お前のしばらく練習には参加するな」


「・・・っ!」


山岡先輩な悔しそうな顔をしながら私の方を睨んだ。しかし私はチームに迷惑をかけてきたためそれなりの責任を感じていた。


「先生、ありがとうございます・・・ですが私も責任を感じていますので何か提案があれば私は全て受け入れるつもりです」


「じゃあアレしてみる?」


先生は投球練習をしている投手陣の方を指差した。


「投手ですか?」


「あぁ。高梨はもしかすると捕手が合わなかったのかもしれないな。人には得意不得意があるからな。これからは投手、中継ぎ投手としてやったら化けるかもしれないな・・・」


「分かりました・・・頑張ってみます」


その後私は捕手から投手へとポジションコンバートした。投手転向後はチーム内の投手陣に変化球の握りであったり、腕の振り方などを教えてもらった。その結果、練習を重ねていく内に球速が出てくるようになった。


「良いじゃないか高梨!今度試合でリリーフとして使ってみよう」


「はい!」


それから私は中継ぎ投手として初めて登板した。ストレートのキレも良く、変化球も大分コツを掴めるようになってきたためこの試合では2イニングを投げて1失点1奪三振を記録した。試合後、顧問の先生から投手として、中継ぎエースとして今後起用していくと言ってくれた。


「ありがとうございます!先生!これからも頑張っていきます!」


「おう!頑張れよ高梨?」


「はい!」


その後、練習参加が解禁された山岡先輩は私に失礼な発言に謝罪した。捕手としては自分の適性には合わなかったが投手として成功を収めた私は3年間ひたすら練習し中学を卒業して日東高校に入学後、彩也や琴葉と出合った。


「夢か・・・」


翌日の朝、私は早く目を覚ました。懐かしい夢であった。あの時の先生の助言が無ければ私は今も捕手として苦しんでいたに違いない。投手として私の能力を引き出してくれた先生には非常に感謝している。今度いるかどうか分からないけど会いに行ってみようと思った。


「おはよ~絵茉~」


「おはよう彩也。今日は何する?」


「アレしようか!」


「そう!アレ!」


与えられた休暇を思いっきり遊ぶことにした。また、今日も4人でプロエをすることにした。

ARE出来て良かった。次回9月19日投稿予定

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