第21話 The ベストナイン大会 -11戦目 竜北学館戦-
11戦目、日東高校は竜北学館と対戦する。残り4試合を残している両校は日東が7勝3敗、対する竜北学館は8勝2敗と良い勝負をしている。また、11,12戦目は彩夏と咲希と七緒が休養のため欠場する。その代わり、琴葉と彩也が復帰する。
「今日の対戦相手は竜北学館です。手強い相手ですが全員野球で戦っていきましょう!それでは11戦目のスタメンを発表します」
日東高校 スターティングメンバー
1,与那国樹里(中堅手)
2,小越舞香(左翼手)
3,大野彩也(捕手)
4,大野琴葉(三塁手)
5,中島雪峯(一塁手)
6,秋山凜(DH)
7,内田七海(遊撃手)
8,松井埜々香(右翼手)
9,相馬葵(二塁手)
P,戸郷鶴美(先発)
姉妹によるクリーンナップが完成した。また、死球を受け負傷交代した赤穂と休養に入った七緒の代わりとして相馬葵がスタメンに名を連ねた。
一方の竜北学館のスタメンは以下の通りである。
竜北学館 スターティングメンバー
1,中野なこ(二塁手)
2,前川海未(右翼手)
3,大山果林(一塁手)
4,鳥谷結衣(遊撃手)
5,糸原咲来(DH)
6,佐藤若葉(三塁手)
7,森下涼羽(左翼手)
8,小野寺遥奈(中堅手)
9,城島由美子(捕手)
P,青柳有紗(先発)
となっている。先攻が竜北学館、後攻が日東高校である。試合開始の合図があり、11戦目の試合が開始された。
一回表、先発の鶴美は先頭打者の中野に対していきなり四球を出してしまった。前回の登板でも失点しまったためピシャリと抑えることが重要である。しかし、前川をサードゴロに打ち取るが三塁・琴葉の送球が一塁・雪峯のグラブからそれてしまい悪送球で無死一二塁のピンチを作った。続く大山に対しては三球で三振を取り1アウトとし、4番の鳥谷をカウント3ボール2ストライクから六球目を打ち上げセカンドフライ、続く糸原にレフトへのヒットを打たれ1点を失ったが糸原の次の佐藤をライトフライで3アウトを取った。
「鶴美、今日の投球は前回よりも改善されている。このまま頼むね」
「はい!」
一回裏、樹里は竜北学館先発の青柳からいきなり初球先頭打者本塁打を放った。今大会3本目となるホームランとなった。続く舞香は全球見逃すが四球で出塁した。無死一塁の場面で彩也は致命的な併殺を放ってしまった。ランナーなしとなり先ほどエラーを記録した琴葉はファーストゴロに打ち取られ3アウトでチェンジとなった。
「彩也~あの球はボール球だよ~」
「気をつける~」
二回表、森下は鶴美からライナー性の打球を放つも右翼手・埜々香のダイビングキャッチで1アウトを取った。1アウトランナーなしで小野寺はセンター前に痛烈なヒットを放ち、続く城島の連続ヒットで1アウト一二塁とし、1番の中野に戻ってきて中野が右中間へのタイムリーツーベースを放ち1-2と逆転のヒットを放った。逆転となりムードが上がった場面で前川は空振り三振を取られた。2アウトとなるが大山が今大会第5号となるソロ本塁打を放った。1-3とするが鳥谷がショートゴロに打ち取られた。
「つる、点を取られるのは仕方ない。だけど立ち直りが重要だから気をつけて」
「分かった。彩也」
二回裏、1-3と2点ビハインドの場面で雪峯は相手投手・青柳の甘めのチェンジアップを完璧に捉えて今大会4号ソロ本塁打を放ち2-3の1点差とした。一点差となるが凜はレフト前ヒットを放つが七海と埜々香の連続三球三振で2アウト、葵のセンター前のヒットで上位打線に繋ぐことが出来た。同点に追い付こうと樹里はヒットかホームランを放とうとするがライトへのファールフライに倒れた。
「鶴美、今日は三回まで行けそう?」
「はい!行けそうです!」
三回表、鶴美は糸原と佐藤に連続ヒットで無死一二塁のピンチを再び作られるが森下のバットを振らせ、空振り三振を奪い1アウトを取った。続く小野寺にセンター前ヒットを打たれてしまい満塁となったため鶴美を高原先生は三回途中3失点で降板させた。
「鶴美、良いピッチングだったけど途中から乱れてしまったね。今後気をつけるように」
「分かりました。迷惑かけてすみません」
日東高校 投手交代
戸郷鶴美(先発)→澤村漆(中継)
中継ぎとして登板した漆は1アウト満塁のピンチの場面も動じず鋼の強心臓で後続の城島をキャッチャーフライに打ち取り、中野の代打として登場した木南伊呂波をセンターフライに打ち取りは無得点に抑えた。
「よし!彩也のサイン上手いね」
「ありがと漆」
満塁のピンチを凌ぎ逆転の機会を作るため三回裏は高原先生は長打を狙わせた。三回裏、舞香のツーベースヒットでチャンスを作り、彩也が8戦目以来の5号2ランホームランを放ち4-3と逆転した。続く琴葉もセカンドの頭上を越えるヒットを放つが雪峯と凜が空振り三振と見逃し三振でチェンジとなったが彩也の逆転ホームランで試合をひっくり返した。
「ナイバッチ彩也!」
「お姉ちゃんももっと打ってよ?」
「私は本職投手だよ~?」
5-3の状況で高原先生は投手交代を告げた。
日東高校 投手交代
澤村漆(中継)→粟津若葉(抑え)
最終回の表の攻撃にて前川の代打として登場した福田結香は一点差に迫る2号ホームランを放った。4-4となり大山と鳥谷を四球で出塁させてしまうが糸原をピッチャーフライに仕留め、佐藤を空振り三振に抑えるが2アウト一二塁から森下にセンター前ヒットを打たれ小野寺に逆転となるスリーベースヒットを打たれてしまい一気に逆転されてしまった。4-7となり城島はセンターフライに打ち取られ、最終回の攻撃は終了した。
「若葉、今日のボールに球威がなかった。改善が必要だね」
「分かりました」
「よし!みんな逆転していくよ!」
竜北学館 投手交代
青柳有紗(先発)→岩崎望愛(抑え)
最終回の裏の攻撃に入り、七海がレフト前にヒットを放つが埜々香が今日二度目となる併殺を放ってしまい2アウトとなった。葵はライトへのツーベースで打線を繋げるが樹里が岩崎のツーシームやフォークに惑わされてしまい空振り三振となってしまい試合終了となった。4-7で敗れた日東高校は7勝4敗という成績となった。
試合後、高原先生はミーティングを行い12戦目に向けて戦っていくことを誓った。
「今日の試合は相手打線の実力の差が分かりました。ですが良い収穫もあります。この試合の負けの敗因をしっかりと見極めて切り替えていきましょう。以上です。次の試合は17時からですので一度家に帰るのもよし、周辺をぶらぶらするのもよし、練習や他校の試合を見るのもよし、自由にしてください」
「はい!」
1 2 3 4 計 H E
竜北 1 2 0 4 7 11 0
日東 1 1 2 0 4 9 1
勝利投手 青柳有紗 3勝1敗
敗戦投手 粟津若葉 1勝1敗
セーブ 岩崎望愛 2勝0敗6S
本塁打 与那国樹里(1裏) 3号
大山果林(2表) 5号
中島雪峯(2裏) 4号
大野彩也(3裏) 5号
試合時間 1時間34分
7勝4敗となってしまった日東高校は12戦目に二十六木学院と対戦する。対戦相手の二十六木学院はここまで3勝8敗と苦戦しているため4勝目を譲るわけには行かない。また、今日ホームランを放った樹里は浮かない表情をしていた。
次回8月18日投稿予定




