第20話 The ベストナイン大会 -10戦目 栄京戦-
10戦目の試合に臨んだ日東高校は彩夏の母校であり、指名会議にて選出された遊撃手の筑波朱夏が在籍している。また、琴葉と彩也は9戦目の出来事で強制交代を受けており10戦目には出場可能ではあるが休養も兼ねて今日は帰宅させた。また、9戦目で死球を受けて交代した赤穂は全治1週間程度の怪我を負ったが大事には至っていない。
「残り5試合ですね。しっかりやっていきましょう。それと琴葉と彩也は試合には出れますが疲労なども考慮して今日は家に帰って休ませるように保護者の方にも言いました。2人がいませんが協力してやっていきましょう!それではスタメンを発表します」
高原先生は第10戦目のオーダーを掲示した。
日東高校 スターティングメンバー
1,金子真琴(中堅手)
2,内田七海(遊撃手)
3,秋山凜(右翼手)
4,乃木咲希(DH)
5,中島雪峯(一塁手)
6,山崎七緒(二塁手)
7,阿部加奈子(捕手)
8,村上心愛(三塁手)
9,丸亀義美(左翼手)
P,上原礼子(先発)
一方の栄京のオーダーは以下の通りである。
栄京学院 スターティングメンバー
1,雪森雨音(右翼手)
2,後藤ナナ(一塁手)
3,赤松和佳奈(三塁手)
4,柳ヶ浦優(捕手)
5,榑井心咲(二塁手)
6,筑波朱夏(遊撃手)
7,上澤葵(左翼手)
8,樋廻恵(DH)
9,錦岡京子(中堅手)
P,栗ヶ丘美幸(先発)
試合開始の合図があった。先攻が日東、後攻が栄京の順となった。
一回表、真琴から始まる打席にて彼女はボール球の見極めを行うも五球目のサークルチェンジを空振り、1アウトを取られた。続く七海の打席ではファール、ボール、ファール、ファールで粘っていきライト前に弾き返した。1アウト一塁の場面で凜は左中間スタンドに突き刺さるホームランを放った。今大会3位の5本目のホームランを放ち2-0となった。続く咲希は変化球に惑わされて空振り三振を奪われて2アウト、雪峯に対してはレフト前にヒットを打たれるも七緒をセカンドゴロに打ち取り3アウトチェンジとなった。
「さぁ!抑えていこう!」
一回裏、礼子は雪森に対して四球を与えてしまった。ノーアウト一塁の場面で後藤にレフト前ヒット、赤松に四球を出し無死満塁のピンチを迎えてしまった。満塁ホームランを打たれるまいと思い柳ヶ浦に対して六球目を空振り三振を奪い1アウトを取るが榑井にセンター前にヒットを打たれて1点を失った。2-1となるが筑波をセカンドゴロに打ち取り2アウト。上澤に対しては右翼手・凜のダイビングキャッチでライトフライとし1点に抑えて3アウトチェンジとなった。
「(危なかった・・・次の回は打たれないようにしよう)」
二回表、彩也の代理として出場した加奈子は中堅手・錦岡の後逸の間に三塁打を放った。ノーアウト三塁の場面で心愛はセカンドゴロに打ち取られるが三塁ランナーが生還し3-1となった。続く義美は久しぶりの打席で感覚が鈍っているかもしれないがセンターフライに終わった。一巡目が終了し真琴に再度打席が回ってきた。第二打席目に立った真琴はショートゴロに終わり3アウトチェンジとなった。
コンスタントに試合が進み二回裏に突入した。二回裏、樋廻に対して厳しいインコースを礼子は攻めたが四球を出してしまった。続く錦岡の打席にて樋廻は盗塁を決めようとするが加奈子の強肩により盗塁失敗し1アウト、錦岡が空振り三振で早くも2アウトとなった。しかし、上位打線の雪森にライト前ヒットを打たれ後藤にライト方向への同点ホームランを放った。3-3の同点となり勝ち越しを許さない投球をしようとし赤松から空振りを奪った。
「礼子、今日の調子はどうなのかな?肩の調子が悪いとかない?」
「大丈夫です。三回は自分行けますかね」
「三回は漆に頼もうかと思う。選手を預かる身として怪我をさせてはいけませんからね」
「分かりました」
三回表、同点の場面で七海はレフト前ヒットを放ったが6本目のホームランを狙おうとした凜がライト前ヒットを放ち無死一三塁のチャンスを作った。勝ち越しを決めようとしたが咲希が二打席連続三振を奪われた。1アウト一三塁と依然チャンスではあるが雪峯がファーストフライに打ち取られ七緒があわやホームランの打球を中堅手・錦岡にジャンピングキャッチされ2アウトとなった。チャンスの場面で加奈子も空振りを奪われてしまいこの回は無得点で終了し礼子の勝利は無くなった。
日東高校 投手交代
上原礼子(先発)→澤村漆(中継)
三回裏、7戦目以来となる登板となった漆は柳ヶ浦に初球を打たれて二塁に塁を進められるが榑井をサードフライに打ち取り、漆の幼馴染の筑波をノビのあるストレートで空振りを奪った。2アウト二塁で樋廻の打席では漆のスローカーブに振り遅れて3アウトになった。
「ナイスピッチングだ漆。彩夏~!肩作っておいて」
「了解で~す!」
四回表、勝ち越しを決めたい日東は心愛の代打として青山すみれを出場させライト方向に良い当たりを放つもライトフライに打ち取られた。しかし、義美の打席にて感覚を取り戻したのか義美はフェンス直撃の二塁打を放った。1アウト二塁のチャンスで真琴はしっかりとバントで送り三塁に送った。2アウト三塁の場面で調子の良い七海が四球で出塁し、凜が右中間へのタイムリーヒットで1点を勝ち越した。4-3となりベンチでは歓声が上がったが咲希が三打席連続三振という致命的な不調で3アウトチェンジとなった。
「咲希、今日は不調かな?」
「すみません今日は何かボールに当たらない見たいです」
「なるほどね・・・休息は必要だから明日の2試合は自宅休養ね」
「了解です」
最終回の栄京攻撃直前に日東高校は守備・投手交代を告げた。
日東高校 選手交替
澤村漆(中継)→小林彩夏(抑え)
乃木咲希(DH)→与那国樹里(DH)
丸亀義美(左翼手)→松井埜々香(左翼手2)
最終回、彩夏が登板しチームメイトと対戦する。錦岡の代打として登場し、彩夏と仲の良い日向恵美は彩夏からライトへの二塁打を放った。同点とサヨナラ勝ちを目指そうとするが雪森が空振り三振に取られた。1アウト二塁の場面で後藤に四球を出してしまい一塁二塁のサヨナラのチャンスを作られた。しかし、彩夏のクラスメイトかつ隣同士の赤松から併殺を打たせ3アウトになり4-3で日東高校が勝利し試合終了となった。
試合終了後、彩夏は栄京メンバーと談笑した。球速が上がっただのコントロールが良くなったなどの話をしたようだ。
「試合お疲れ様でした。疲れているメンバーもいると思いますので今日は早めに帰って明日の試合に備えましょう。明日の自宅休養メンバーは彩夏、咲希、七緒はしっかりと休んでください。今日は以上です。解散!」
「はい!」
高原先生は11戦目と12戦目の彩夏と咲希と七緒を休養日として設定した。疲れが出ているメンバーも出てきているため交互で休養日が設けられることになった。
1 2 3 4 計 H E
日東 2 1 0 1 4 8 0
栄京 1 2 0 0 3 5 0
勝利投手 澤村漆 2勝0敗
敗戦投手 栗ヶ丘美幸 1勝2敗
セーブ 小林彩夏 0勝1敗6S
本塁打 秋山凜(1表) 5号2ラン
後藤ナナ(2裏) 3号2ラン
試合時間 1時間26分
全15戦のうち10戦が終了し日東高校は4連勝で7勝3敗と好成績を収めている。11戦目に竜北学館、12戦目に二十六木学院との試合を行う。11戦目から琴葉と彩也が出場するが彩夏らが入れ替わりで休養となる。ここはカバーしていく必要がある。
次回8月14日投稿予定




