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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第1章 ベストナイン大会編
16/46

第16話 The ベストナイン大会 -7戦目 早應戦-

4日目、ベストナイン大会は折り返しを迎えた。7戦目は早應(そうおう)戦である。高原先生は疲労を考慮して一部のメンバーをベンチにした。


「7戦目の相手は強敵です。主力メンバーはベンチですが頑張っていきましょう」


「はい!」


前日、サヨナラホームランを被弾した彩夏は気を引き締めていた。二度とあのような投球をしないよう駒修戦後に数時間先生と共に居残り練習をした。


「彩夏、昨日の悔しさをバネに頑張っていこう!それではスタメンを発表します!」


高原先生はスタメンを発表した。以下が7戦目のスタメンである。


日東高校 スターティングメンバー

1,金子真琴(中堅手)

2,相馬葵(二塁手)

3,秋山凜(右翼手)

4,村上心愛(三塁手)

5,阿部加奈子(捕手)

6,中島雪峯(一塁手)

7,土井美岬(遊撃手)

8,大野彩也(DH)

9,松井埜々香(左翼手)

P,粟津若葉(先発)


今日は中継ぎを先発にするオープナー制度を取った。一方の早應学園のスターティングメンバーは以下の通りである。


早應学園 スターティングメンバー

1,長野真鈴(DH)

2,山田さくら(一塁手)

3,吉田美輪(中堅手)

4,岡本檸檬(三塁手)

5,梶谷理子(右翼手)

6,森本由希(捕手)

7,新庄亜香里(左翼手)

8,牧原刹那(二塁手)

9,柳田真香(遊撃手)

P,菅野美鈴(先発)


の打線である。先攻は早應学園、後攻が日東高校である。試合がスタートし、日東高校先発の若葉がマウンドに上がった。2回までを目標に投げていく。


「(相手打線は非常に強力。きっちり締めていきたい)」


先頭打者の長野が打席に立った。彼女は若葉の投球に対して球数を稼がせた。長野は八球目のカーブを上手く捉えた。捉えた打球はレフト前に落ちた。続く打席には山田が打席に入った。山田は初球から打っていきライトへのヒットで連続出塁を決めた。得点圏の場面で3番の吉田が三塁手・心愛のエラーの間に出塁した。ノーアウトランナー満塁で4番の岡本は若葉の甘く入ったストレートを完璧に捉えたかと思われたがギリギリスタンドには入らなかったが走者一掃のタイムリーツーベースで3点を先制した。続く梶谷の打席ではライトフライに倒れてしまったが二塁ランナー・岡本は三塁へタッチアップした。


「(ヤバい・・・先発に慣れてなくて失点してしまった・・・立て直さないと)」


1アウトの場面で森本の打席ではフォアボールで出塁した。1アウト一三塁の状況で若葉は新庄をサードフライに打ち取った。2アウトを取るも牧原にセンター前へヒットを打って4-0、9番の柳田に対しては四球でランナーを出塁させ、再び1番打者の長野に周り、彼女は若葉のアウトコース低めのストレートをジャストミートさせた。長野の打球は右中間スタンドに入り満塁ホームランで8-0とした。2番の山田は気を緩めてしまい見逃し三振、3アウトチェンジとなった。


初回8失点を喫した若葉は降板後に肩の痛みを訴えて2回の登板は回避することになった。また、今大会のコールド制度は10点差試合終了である。初回8失点により残り2点で強制的に試合が終了する。


日東高校 投手交代

粟津若葉(先発)→大野琴葉(中継)


一回表が終了しその裏に突入した。何とか追い付きたい日東の先頭の真琴は初球から打っていきセンターへのヒットを放った。ノーアウト一塁の場面で葵はバントによって真琴を二塁に送らせた。1アウト二塁のチャンスで凜は何度も対戦したことある先発の菅野から左中間へのホームランを放った。スコアを8-2とし6点差になった。


「凜ナイス~!みんな続いていこう!」


彩也はベンチでチームを鼓舞した。続く心愛の打席では釣り球を空振ってしまい2アウトになってしまった。5番の加奈子は菅野の二球目を狙っていきソロホームランを放った。8-3の5点差となるも雪峯が空振り三振に倒れた。


8-3の5点差に迫られる中、2回表に突入した。2回表から琴葉が登板する。この回では琴葉は安定したピッチングを見せ、吉田・岡本・梶谷を三者連続見逃し三振に仕留め、失点を防いだ。


「ナイスだよ琴葉~!」


2回裏、イベント初出場となる美岬からスタートした。美岬は菅野のスライダーを三球で仕留められてしまい1アウトとなった。捕手出場ではなくDH出場の彩也はイベント4本目のホームランを期待されたがライトへのフェンス直撃のツーベースを放った。続く埜々香も美岬同様初出場である。埜々香は冷静に配球を見極めセカンド後方に抜け、内野安打を記録した。2アウト一二塁のチャンスで真琴に打順が戻ってきた。真琴は菅野から四球を取らせランナー満塁の大チャンスを作った。一発出れば一点差の場面で葵はセンターへのヒットでで1点を追加し、4-8と差を詰めた。


「凜~!ホームランもう一回!」


「(任された!)」


2アウトランナー満塁の場面で菅野を得意投手としている凜はチームのために四球目のチェンジアップを「待ってました!」と言わんばかりに狙い打った。大きく高く舞い上った打球は右中間スタンドに突き刺さった。凜の2打席連発となる同点満塁ホームランで8-8と試合を振り出しに戻した。


「やった~!」


凜は2打席連発に笑顔を見せた。さらに突き放すため心愛が打席に立つも右翼手・梶谷に好捕され3アウトでチェンジとなった。この回先発の若葉を助ける同点劇を見せた日東高校は3回表に突入した。


3回表、琴葉は森本に対してど真ん中への失投を投げてしまった。森本は失投を見逃さずスタンド方向に放ちソロホームランを放った。9-8と勝ち越しを決めた早應は新庄に代打を出した。代打には指名会議にて獲得した秋広杏子を打席に立たせた。秋広は琴葉からセンター前へヒットを放ちガッツポーズを見せるも牧原をダブルプレーで2アウトにした。2アウトで柳田の打席では再びライトへヒットを放つも長野がセカンドゴロに打ち取られた。3アウトチェンジで3回表は終了した。菅野は2回8失点で勝利投手の権利を得て降板した。


早應学園 投手交代

菅野美鈴(先発)→大河原杏菜(中継)


「逆転するよ~!おー!」


しかし、1点を追っていく展開で加奈子はレフトへのヒットを放つも続く雪峯がバントで二塁へ送り、美岬が緊張が解れたのか内野安打を放ち、1アウト一三塁と一打逆転のチャンスを作ったが彩也がショートへのダブルプレーという失態で3アウトとなった。


「(チャンスを潰してしまった・・・次は気をつけなきゃ・・・)」


4回表に突入し、琴葉はマウンドを降りた。琴葉に代わってマウンドに上がったのは澤村漆がマウンドに上がった。彼女も今大会初出場である。漆は山田に対してレフト前へのヒットを許したが吉田を空振り三振に打ち取り、岡本に対してはライトフライに打ち取った。しかし、梶谷・森本に連続ヒットで満塁のピンチとなった。しかし、新庄の代打として登場した秋広をサードゴロに仕留め、ピンチを凌いだ。


「さぁ!この回サヨナラを決めるよ!」


しかし、今大会4セーブを挙げている大河原に対して粘った。埜々香は三球連続で振ってしまい1アウト。続く真琴は右中間を破るツーベースヒットを放つも葵が見逃し三振に倒れて2アウトになった。そして2ホーマーを放った凜は再びホームランを狙った。


「(ここで打てば・・・ここで打たないと・・・!)」


ベンチを見るとサヨナラ勝ちを期待するメンバーが手を合わせて祈っていた。一方の早應ベンチでも負けたくないという姿勢が見えた。凜は大河原の投球を見極めた。そして2アウト3ボール2ストライクと追い込まれた。


「(次で打つ!)」


そして凜は大河原の六球目を完璧に捉えた。放物線を描いていく打球の行方を両チームベンチは見守った。


「(越えて・・!頼む・・・!)」


「(行くな・・・越えるな・・・!)」


凜の放った打球はライトスタンドに突き刺さるサヨナラ2ランホームランとなった。数秒の静寂のうち、日東ベンチから歓声が上がった。初回8失点して降板した若葉を涙を流した。ダイヤモンドを駆け回りホームベースを踏んだ。9-10で日東高校が奇跡の逆転サヨナラ勝利をおさめた。


「凜~!マジでありがとう~!」


日東メンバーはサヨナラ勝ちに大いに喜んだ。前日のサヨナラ負けから今日のサヨナラ勝ち、1試合3ホーマーという記録を作った。


   1 2 3 4  計 H  E

早應 8 0 1 0  9 11  0

日東 3 5 0 2× 10 10  1


勝利投手 澤村漆 1勝0敗

敗戦投手 大河原杏菜 0勝1敗4S


本塁打 長野真鈴(1裏)  2号満塁

    秋山凛(1裏)   2号

    阿部加奈子(1裏) 1号

    秋山凛(2裏)   3号満塁

    秋山凛(4裏)   4号2ラン


試合時間 1時間52分


7戦目が終了した日東高校は18時から始まる大東国との試合に臨む。3ホーマーを放った凜は疲労を考慮してベンチスタートとなった。

次回7月29日投稿予定

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