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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第1章 ベストナイン大会編
10/46

第10話 The ベストナイン大会 -2戦目 法央戦- 

1日2試合行われるThe ベストナイン大会の2戦目となる法央戦の試合開始まで30分前、琴葉らはベンチ裏でミーティングとスターティングメンバーを発表した。


「この試合では琴葉と彩也は休養です。連続で試合に出ても良い結果は残せないです。明日の2戦目から出てもらいます」


「はい!」


「では今日のスタメンを発表します!」


高原先生は法央戦のスタメンを発表した。スタメンは以下の通りである。


日東高校

1,与那国樹里(中堅手) 2年

2,生方赤穂(遊撃手) 3年

3,秋山凜(右翼手)   2年(拓明)

4,中島雪峯(一塁手)  2年

5,吉田穂香(左翼手)  2年

6,山崎七緒(二塁手)  2年

7,乃木咲希(DH)    2年(駒修)

8,青山すみれ(三塁手) 3年

9,阿部加奈子(捕手)  2年

P,上原礼子(投手) 2年(上東館)


という打順になった。主力の疲労を考慮してベンチメンバー主体のスタメンである。一方の法央のスタメンは以下の通りである。


法央大学付属高校

1,大谷愛佳(DH) 2年

2,近藤星香(左翼手) 1年

3,筒香青羽(一塁手) 2年

4,佐藤梨華(三塁手) 2年

5,高村和美(遊撃手) 2年

6,肥後奈子(中堅手) 1年

7,甲斐海(捕手)   3年

8,武田琴梨(右翼手) 2年

9,仁井田三葉(二塁手)2年

P,千賀奈瑞菜(投手) 2年


である。法央は指名会では一人も選手を取らなかった。スタメンから見るに打者は4番級のバッター揃っているようだ。そして最も警戒すべき打者は1番の大谷愛佳さんと3番の筒香青羽さんである。この二人はホームランバッターであり、一戦目の上東館戦では二人で4ホーマーを放っている。


試合開始の合図が出され、試合がスタートした。先攻は日東、後攻が法央である。一回の表、打席には樹里が打席に立った。久しぶりの打席である樹里は緊張していた。


「(千賀さんはキレのあるフォークが武器。ストレートは狙わずフォーク一本狙い!)」


相手先発・千賀奈瑞菜はフォークを武器とする。これを打つため樹里はフォークが来るのを待った。一球目、二球目をストレートで2ストライクに追い込んだ。千賀はフォークで空振りを取ろうとしたが樹里の狙い球であったため樹里はセンター方向に打ち返した。バットの当たりは良かったものの中堅・肥後の守備範囲内であったためアウトとなった。


「ドンマイドンマイ!樹里、次打とう!」


琴葉と彩也はベンチで声出し応援をしていた。


樹里の打席には赤穂が立った。赤穂は千賀の一球目と二球目を見逃して1ボール1ストライクとし、三球目を打ち損じてピッチャーゴロで2アウト。千賀のストレートに力負けした。


「樹里、赤穂。彼女の投球を見てどう思った?」


高原先生はベンチで樹里と赤穂に問いかけた。赤穂は


「正直自分の練習不足でした。同年代でこんなにも差が開いているのかと実感しました」


「私もです。試合に出れないのは私が悪いのですがあの投球を見て練習すればあそこまで行けるのかということを感じました」


「良い発見ね。久しぶりで緊張するかもしれないけど頑張ってね」


「はい!」


樹里と赤穂は打席に入る凜を応援した。凜の第1打席ではファールで粘った末、四球を選んだ。続く雪峯の打席ではストレート・フォーク・チェンジアップを見極め、二者連続四球で2アウトランナー一二塁とした。雪峯の次の打席の穂香は先制点を期待されたが変化のあるフォークに対応できず空振り三振に倒れた。


「(このフォーク打てなくない?樹里は良く当てたな・・・)」


2アウト一二塁の先制点を献上するピンチを切り抜けた千賀は味方の援護を待った。一回裏、礼子は大谷愛佳、近藤星香を二者連続三振に仕留めた。流石上東館の投手である。続く筒香青羽に対しては四球を出すも崩れること無く4番・佐藤梨華をセンターフライに仕留めた。


「上原さんナイピー!」


礼子はベンチにグッーと指で返事した。


二回表、日東の攻撃は七緒が打席に立った。ここまで両チームノーヒットの投手戦が続いている。チームに先制点を献上できるかどうかのところであったが千賀さんのスライダーを当てに行くもキャッチャーフライに倒れた。


「(相手投手の千賀さん・・・これは厄介な投手だな・・・ノーヒットノーランだけは与えたくないところだけどそれもあり得るからね。頼んだよ咲希)」


「(任せなさいたら任せなさい!私がホームランを打ちます!)」


咲希はホームランを狙おうとしていたが詰まりながらのレフトへのヒットでこの試合初ヒットを記録した。しかし、受験勉強に勤しんでいたすみれは1アウトランナー一塁から残念なダブルプレーを披露した。彼女は1年や2年の時も得点圏打率は1割台とチャンスにめっぽう弱かった。


「すみれ、練習できなかったのは仕方ないとして去年一昨年と引き続きチャンスに弱いよ。すみれの課題はそこかもしれないね」


「了解です」


一発出れば先制のところでダブルプレーとなり、3アウトチェンジ。0-0で二回裏の攻防に入った。この回5番・高村、6番・肥後に際どいところを投げるもボール先行で二者連続四球でノーアウトランナー一二塁のピンチを作った。ここで7番の甲斐がバントの姿勢を取った。上原は甲斐にバント失敗をさせるため難しいコースを攻めた。そして甲斐は送りバントを失敗し1アウトランナー変わらず。


「(次の武田さんはインコースが得意なのか・・・一回どれだけ得意かやってみよ)」


その気の緩みが失点に繋がる。礼子は武田に対してインコースのストレートを投じた。武田は得意のインコースに来たボールをいとも簡単に打ち返した。武田の打った白球はレフトスタンド方向に飛んでいった。上原は入らないことを祈った。


「(行くな!行くな!越えるな!)」


残念ながら越えてしまった。上原の気の緩みという致命的なミスによって武田の今イベント2本目となる3ランホームランを打たれ0-3。かなり厳しい展開となった。ここで高原先生は礼子を降板させた。


日東高校 投手交代

上原礼子(先発)→伊勢眞由美(中継)


上原降板後、伊勢眞由美が二番手でマウンドに上がった。眞由美は仁井田三葉と対戦した。仁井田は眞由美の六球目を打つもセカンドフライ。2アウトで再び大谷愛佳に打席が回ってきた。しかし、この打席ではライトフライに打ち取られた。


上原がホームランを打たれ、ズルズルいくかと思ったが眞由美がピシャリと後続を打ち取ることに成功した。しかし、0-3のビハインドの状況で逆転できるかどうかが試される。


3回表、加奈子が打席に入った。何とか相手投手の千賀さんを攻略したいと思い、2ボール1ストライクからレフトへのツーベースヒットで出塁した。


「加奈子!ナイバッチ!後も続いていこう!」


樹里に再び打席が回ってきた。一打席目はセンターフライに打ち取られたため今度こそ打ちたいと五球目のストレートを振った。樹里の打ったボールは左中間を抜ける連続ヒットで1点を返した。1-3、ノーアウトランナー二塁で赤穂が打席に立った。赤穂はバント体制に入り、上手くバントを決めた。


「(よし!バント成功!)」


1アウトランナー三塁の場面で凜がバットを構えた。良い流れが来ているものの疲れなのか振り遅れが目立ち、内野ゴロになったがその間の三塁ランナーがホームに生還し2-3、1点差に迫った。続く打席には雪峯が入った。しかし、千賀のフォークに惑わされ空振り三振に倒れた3アウトになった。しかしこの回2-3と一点差に迫ることが出来た。


「この回しっかり抑えよう!」


三回裏、高原先生は守備交代を告げた。


日東高校守備交代

秋山凜(右翼手)→梶谷雪穂(右翼手2)


中島雪峯(一塁手)→小西玲奈(一塁手2)


吉田穂香(左翼手)→福川丸美(左翼手2)


クリーンナップを入れ換える采配に出た。


この回、伊勢は近藤星香をショートゴロに出来るかと思ったが遊撃・赤穂のエラーでランナーを出してしまった。ノーアウトランナー一塁の場面で筒香青羽が粘りを見せ、四球で一二塁とチャンスを作った。悪い流れを絶ちきりたいと思ったが三球目に佐藤梨華に3ランホームランを浴びた。2イニング連続で3ランを浴びてしまった。これで2-6と再び突き放され、高原先生は投手交代を告げた。


日東高校 投手交代

伊勢眞由美(中継1)→宇田川彩弓(中継2)


眞由美の次に彩弓がマウンドに上がった。五番・高村にセンター前ヒット、六番・肥後をファーストフライで1アウトランナー一塁の場面で甲斐が打席に立ち空振り三振に仕留めて2アウト。続く武田に右中間へのツーベースで二塁三塁のピンチを作るも仁井田をサードフライに打ち取った。


「(危なかった・・・)」


しかしこの回また3ランを浴びて4点ビハインドの最終回の攻撃には穂香の交代で出場した丸美が打席に入った。丸美は千賀の変化のあるフォークで空振り三振を取られた。しかし、ワイルドピッチで運良く出塁した。続く打席には七緒が打席に入った。すると二球目のストレートを振りにいって右中間を破るスリーベースヒットで3-6とチャンスを広げた。七緒に続こうと咲希は千賀の甘く入ったチェンジアップを見逃さず2ランホームランで一点差に迫った。しかし、千賀は降板しなかった。一発出れば同点もしくは逆転もあり得たが青山すみれは良い打球を放つもセンターフライに打ち取られて3アウト。


「(負けたか・・・)」


最終回の攻撃で1点差に迫るも惜しくも法央に5-6で敗れた。高原先生は試合終了後ミーティングにて


「今日は私含めて多くの課題が見つかった。負けるのは仕方ないがその負けを明日も持ってくのは良くない。明日も試合はあるから今日はゆっくり休んでください。以上です!」


この試合、とにかく四球やエラーからの失点が目立っていた。登板していない投手、出場していない野手全員が見直すべき課題でもある。


イベント1日目が終了した。日東高校は1勝1敗の3位となった。以下が法央戦のスコアボードである。


   1 2 3 4 計 H E

日東 0 0 2 3 5 5 1

法央 0 3 3 × 6 4 0


勝利投手 千賀奈瑞菜 1勝0敗

敗戦投手 伊勢眞由美 0勝1敗


本塁打 武田琴梨(2回裏 3ラン) 2号

    佐藤梨華(3回裏 3ラン) 1号

    乃木咲希(4回表 2ラン) 1号


試合時間 15時開始 1時間40分


神宮ブロック順位表

1位 法央大付属高校  2勝  0敗 0分

2位 拓明高校     1勝   0敗 1分

3位 日東高校     1勝   1敗 0分

4位 甲陽学園     0勝  1敗 1分

5位 愛東学院     0勝 2敗 0分


夜はプロの試合があるため試合はないが2日目の甲陽学園戦に備えて主力メンバーはしっかりと休むことにした。

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