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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第1章 ベストナイン大会編
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第1話 姉妹バッテリー、再び

『さぁいよいよ決勝戦5-3のビハインドで迎えた7回表。黒金高校負ければ終わり!最後のバッターボックスには3番中堅手(センター)石原さん。今日は4打数2安打と安定しています!対するのはここまで3失点好投している大野さん!』


完投勝利まであと一人。ここで抑えていくよ・・・妹と一緒に!


「(ここはインコースへのストレートだよお姉ちゃん)」


「(分かった・・・)」


『さぁ投げた!打者の石原さん、高めにフライを打ち上げた!セカンドフライ!試合終了!大野投手、姉妹バッテリーで見事甲子園優勝!』


観客席から大歓声が聞こえる。〈起きな!〉ん?起きな?


「起きなさい!琴葉。今日から学校でしょ?彩也はもう起きてるよ」


「あれ・・・甲子園優勝は?」


「何寝ぼけてるの?早く起きないと遅刻するよ!」


良く出来た夢であった。しかし本当に甲子園で優勝したらどれだけ嬉しいことだろう。いつか味わってみたいな。


「彩也おはよう~高校の制服も似合ってて可愛いよ!」


「ありがとうお姉ちゃん。そうだ、私も野球部に入るね!」


「お!良いね!今うちらの野球部捕手足りないからさ。またバッテリー組めるの楽しみだよ」


高2の琴葉と高1の彩也は小学校時代から姉妹バッテリーを組んでいる。2人の作戦や配球は誰にも負けない自信がある。


また、2人の通う日東中学・高等学校は中高一貫の女子高であり、生徒数は2000人を超しているため中高の校舎は電車で15分程度の距離に高校の校舎が存在する。


「今の野球部って捕手の人とかどうなの?」


「今3年生の阿部さんが強肩強打の持ち主で相手からしたら厄介な捕手だから味方として頼もしいよ」


日東高校3年の阿部加奈子は盗塁阻止率,350と相手走者は盗塁しにくいのである。昨年は肩を痛めたため出場機会は制限されている。


「だから彩也が入ってくれるから嬉しいよ」


「えへへ、てか電車来ちゃうよ!早く行かないと!」


4月の丁度良い風を浴びながら急ぎ足で駅まで行った。電車に乗り日東中学の下車駅を通りすぎ8駅通った。


『まもなく日東高校前。日東高校前でございます。お降りのお客様はお忘れものございませんようご注意ください』


駅到着後、登校時間制限の8時25分の10分前に到着した。クラス分けのプリントを貰い、教室に入った。琴葉は2年3組、彩也は1年6組であった。


「お姉ちゃんの新しいクラスに野球部の部員さんいる?」


「え~と、4人いるね。左翼手の吉田さんと捕手の阿部さんと一塁手の中島さんと右翼手の丸亀さんがいるよ。彩也は1-6か~」


琴葉と同クラスになったのは一塁手の中島雪峯、捕手の阿部加奈子、左翼手の吉田穂香、右翼手の丸亀義美である。


「うん。じゃあまたあとで!」


各教室に入り、野球部員と談笑した。また、始業式の時間までまだあるためHR(ホームルーム)をやった。ちなみに琴葉の教室の担任は監督(顧問)の高原先生だった。先生の担当教科は日本史である。


「皆さんおはようございます。昨年度とあまり変わりませんがよろしくお願いします。担当教科は昨年と変わらず日本史です。野球部の監督をしています。何かありましたら気兼ねく職員室に来てください」


「はーい!」


「それと野球部の部員は今日放課後ミーティングあるから部室に来てね」


「分かりました!それと先生、私の妹が入部希望です」


「OK~!彩也さんの事は岡浦さんから聞いてるよ」


岡浦さんとは日東中学野球部の監督である。


HR(ホームルーム)を終えた後、始業式が行われた。


「この晴れた日に始業式を挙行出来たこと心より感謝申し上げます。そして400人の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。勉強も部活も私生活に励んでいってください。以上です」


立井校長の話が終わり、始業式が終了した。今年の新入生は400人と例年より少し多い。



教室に戻各クラスでは終礼が始まった。琴葉のクラスでは


「始業式お疲れさまでした。明日から通常授業ですので忘れ物しないようにね。後は野球部は放課後部室に集合ね。そんな感じかな。今日はこの辺にしときます。さよなら~」


高1は部活紹介などオリエンテーションがあるが高2では自己紹介ぐらいである。


一方の彩也のクラスでは担任の新本先生の自己紹介やクラスメイトの自己紹介を軽くしていた。意外なことに新本先生は熱血な野球ファンであった。


彩也の自己紹介の番となり黒板の前にたった。


「大野彩也です!好きなことは野球観戦とすることです。入部予定の部活は野球部です!姉が一個上の学年で投手です。よろしくお願いします!」


自己紹介は失敗せずに終わった。その後の自己紹介で野球部に入部予定のクラスメイトは京田さんと高梨さんだった。


自己紹介も終わり少し時間がかかったが終礼を行い帰宅した。彩也は教室に残り京田さんと高梨さんに話しかけた。


「京田さん、高梨さん!野球部入るんだよね。一緒に行かない?」


「良いよ~」「良いね~行こ行こ」


彩也は早速2人と仲良くなった。京田さんはしたの名前が比奈、高梨さんの下の名前が絵茉である。


「へぇ~京田さんのポジションは遊撃手(ショート)で、高梨さんが投手(ピッチャー)か~良いね!」


「比奈で良いよ」「私も絵茉で良いよ~」


「分かった!」


「ところで彩也ちゃんの守備位置は?」


「私は捕手(キャッチャー)だよ」


「お~じゃあ私が登板するときは配球とかよろしくね!」


「OK~」


野球部の部室に行きながら話をした。今日から練習参加は出来ないが練習の見学は可能である。


「ここかな?野球部の部室」


【野球部の部室】とデコレーションされた立て掛けを見つけ中に入った。


「失礼します~」


「お!彩也来たね~その隣はお友達?」


「うん!野球繋がりで仲良くなった比奈ちゃんと絵茉ちゃん!2人は遊撃と中継ぎがメインポジションらしいよ」


「遊撃手の京田比奈です」「投手の高梨絵茉です」


3人は琴葉や3年の部長の小越に守備位置や自己紹介をした。


「ようこそ日東高校野球部へ。3年の部長の小越舞香です。守備位置は中堅手(センター)です。よろしくお願いします」


「「「お願いします!」」」


「今日はまだ練習できないけど見学は出来るから見ていってね。中学と高校との練習量の違いや方法を確認しといてね」


「了解です」


そして部室にてミーティングを開始した。


「皆さん。昨年度は関東大会優勝を目標としていましたが守備の乱れによって大敗を喫してしまいました。そのため今年は打撃力も大事ですが守備に特化した練習を行い最低でもエラーは5個~10個以内とします。良いですか?」


「はい!」


前年度の日東高校女子野球部は地区大会と東京大会はギリギリのところで突破できたものの関東大会の負けたら終わりの第3戦目にて悪送球や内野陣のエラーが多発し、0-8で敗北し、甲子園行きとはならなかった。


「小越部長、質問があります」


「どうぞ、彩也さん」


「私は姉と試合でまたバッテリーは組めますか?」


「もちろんです。ですがスタメンなど決めるのは高原先生と私なので状況に応じて変更になる場合があります。これで大丈夫?」


「大丈夫です」


「それとこれ。入部希望の紙ね」


入部希望の紙を受け取り3人は来週以降正式に野球部に入部する。


「さて、一通りすんだところで、一学期のスケジュール表を渡します」


高原先生は夏休み前までのスケジュール表を配布した。


「今年の活動日は毎週月・水・木・土です。4月29日からの1週間は何かしらのイベントがあるようなのでそこに向けての練習も行っていきます。また、中間テスト前は練習はありません。それ以降は大会に向けての準備を行いたいと思います。よろしいですか?」


「はい!」


今日は土曜であるがミーティングのみであったためこの日の部活は終了した。


「彩也ちゃんまた月曜に~!」


「オーケ~!また月曜~!」


部室を出て、彩也は琴葉と一緒に帰った。


「彩也とのバッテリー機会はいつかなぁ~」


「早めが良いよね」


「それな」


現在の日東高校の野球部には彩也と阿部加奈子と中村柚子の3人が所属している。万が一加奈子が負傷した場合、彩也や柚子がマスクを被る。


「そういえば、去年のお姉ちゃんが投手で出場した時の試合見たけどエラーが無ければ4失点ぐらいだよね?」


「そうそう、結果的には3-9で負けちゃったけどね」


琴葉の去年の成績は防御率(ERA)4.62 11登板4勝7敗であった。投球内容は悪くは無いものの降板後に味方投手が打たれる事が多々ある。


「今年こそは勝ち星が増えると良いね!」


「そうだね」


話ながら歩いていると隣の家の甲子園決勝まで行けた子にであった。名は田中飛鳥。豊岳高校のエースである。彼女は昨年度プロ注目であったものの自分よりも投げ込みによる疲労によりドラフトを辞退した。そのため琴葉と彩也に練習を見てあげたりしている。昨年度の飛鳥の成績は防御率2,10 13登板8勝5敗と好成績を納めていた。


また琴葉と彩也は飛鳥と隣人であることから小学校時代から交友があり、琴葉は中学時代に対戦したことある。


「久しぶりです飛鳥さん!」


「お!久しぶり~琴葉も彩也も元気?」


「はい!元気です!」


琴葉は飛鳥を尊敬している。


「最近はどうなの野球部は」


「順調です。今年は昨年度の課題である守備でのミスを無くしていくことを目標にしていきます」


「へ~確かに守備ひどかったもんね。彩也も琴葉と姉妹バッテリー組むのかな?」


「もちろんです!」


「良いね~今度そっちの練習見に行っても良いかな?」


琴葉は飛鳥にペコペコしていた。


「どうぞどうぞ。是非来てください!」


「分かった~じゃあまたね」


隣人の付き合いであるものの甲子園決勝登板投手には頭が上がらなかった。


「お姉ちゃん、ずっとペコペコしてたね」


「そりゃそうよ、飛鳥さんはすごいピッチャーなんだから」


「そうなんだね~」


「あんたたち帰ってたの?早く入んなさい~」


ごみ出しに出ていた母親が出てきた。


「は~い」


帰宅後、姉とシャワーを浴び、野球ゲーム「プロ野球エース+」をした。


「二人とも今日は部活だったの?」


「そうだよ~。2人友達出来たよ」


「それは良かったわね~。二人が登板する試合は必ず行くね~」


「OK~!」


野球ゲームを操作しながら母親と話した。野球ゲームでプレイしているのはペナントレースモードではなく対戦モードである。二人はゲームによって自分がどこに投げたらバッターは三振するのかだったりどのような配球をすれば良いのかを考えることができるため非常に良い頭脳的な練習である。


「お姉ちゃんと似た球種を持っている投手選んだ方が良いんじゃない?」


「そうかもね。だとするとこれかな?」


琴葉の持ち玉はストレート、カーブ、スライダー、緩めのフォークを持っている。そのため野球ゲームに収録されている現実の女子プロ野球選手では同姓の大野千景を選んだ。


「私これにする~」


「その投手強いよね~」


彩也が選んだのは千田木陰投手を選んだ。彼女は現実ではキレのあるフォークを投げるため怪物フォークと呼ばれている。


《さぁ始まりました先攻チーム対後攻チームの一戦。先攻チームの先発は大野。対する後攻チームの先発は千田。この二人の投げ合いとなります。実況解説は私里村と高橋でお送りします。さて、里村さん、この一戦はどうなると思いますか?》


《そうですね、この試合の鍵を握るのはクリーンナップの出塁による得点が重要となりそうです》


《なるほど~》


このゲームでは解説と実況の音声が付いているためどこに投げたら良いのか分かりやすく解説してくれる。


「へ~クリーンナップが重要か。うーん打線繋がるかな~」


「参考になるよね。あ、始まるよ」


そして2人の操作しているチームは投げて打ち合ってを繰り返し、8-12で彩也の勝ちとなった。琴葉よりも彩也の方が上級者レベルの実力であるためかなり強い。


「また負けた~彩也強すぎ。レベルいくつ?」


「390。無課金だからね?」


「それでもすごいな~。私まだレベル180だよ」


「まだまだだね!」


現実のプロ野球同様月曜以外は1日1試合対戦をするのが日課である。楽しむこともでき、またプロがどのような投球をするのかも研究できて一石二鳥である。


「明日は14時にやるよ」


「分かった!」


「母さんもうレベル400よ?」


猛者がいた。母もプロ野球エース+(プロエ)をやっているのは知っているがレベル400行っているとは思わなかった。


「すごいね」


そしてその後はそれぞれの時間を過ごし、夕食を食べ、就寝した。


毎週日曜日は自主トレの時間である。琴葉は投球フォームの確認、制球練習などの確認をする。また、彩也とスポーツトレーニングジムに午後は行っている。


「お!今日も来たね!さぁまず何する?」


琴葉と彩也はトレーニングジムに行く際、担当のトレーナーがいる。彼女の名は森福早苗。野球選手のトレーニングコーチとして25歳から15年間選手のケアをしていた。


「今日も怪我の無いように。少しでも違和感があったら直ぐに言ってね」


「了解です」


ランニングマシーンであったり、腰や腕を鍛えるトレーニングを行った。負荷のかからないように機器を扱っているため怪我しない肉体が完成されつつある。


「琴葉ちゃん、次試合はいつ?」


「まだ決まってはないですけど近いうちにあるかもです」


「登板日決まったら教えてね。この高2の時期って言うのは一番重要な時期なの。プロに入るための準備期間でもあるからね」


「分かりました」


「彩也ちゃんもそうだよ。捕手として長時間同じ姿勢をとらなければいけないから腰のケアはしっかりとね」


「承知しました」


琴葉と彩也はプロ志望である。そのためプロに通用するための身体作りが重要である。仮にプロに入れたとしてもバッテリーを組むことが出来るかどうかは分からない。なぜなら決めるのはドラフトによって指名する球団が判断するものであるから。


「運動後のプロテインは旨い!」


「本当そうだよね~」


「プロテインは摂取し過ぎると逆効果だから適量にね」


「は~い」


運動した後のプロテインはとても美味である。


「じゃあ今日はこの辺にしときましょうか」


「了解で~す」


トレーニングジムを出て帰宅後、2人は日課のゲームをやってゆっくり休んだ。

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