妖怪夜行
連載書かずに短編。就職活動・・・2次面接手応え無かったなぁ・・・。ちょっとかなり少し焦っています。
誤字脱字はご愛嬌
他は「お化け屋敷シリーズ」の小説検索でいけるはず、何故か1つだけしか検索されない。
主要登場人物
主人公――小馬家屋・指揮
クトゥルフ使い――丸々・罰
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「やぁ、来たね」
まだ夜は寒いこの時期、街の中に建つビルとしては高い部類に入るこの場所に僕は呼び出されていた。
見せたいものがあるんだよ〜。
ただそれだけの理由なのだが、彼――丸々・罰――が言うからには、それは見ておいたほうがいいものだと僕は思った。丸々さんは僕の知らない数多くの神秘を知り、怪異を知る。その知識の一部は是非にでも知りたいことであった。
見た目は青年、実年齢も青年と言えるこの人のどこにそれだけの知識を得た過去があるのだろうか。
丸々さんはいつも通りの黒いコートを身に纏い、ビルの屋上の端に座っていた。その側には魔道書が入っているだろうアタッシュケースが1つ。そして、布で包まれた中身が分からないものが1つ。
「ここに座りなよん。い〜や〜、糸鶴がいるとこういう情報も入ってくるんだねん。実は〜僕も生でみるのは初めてなんだよ〜」
丸々さんは嬉しそうな顔だった。
そういえば、丸々さんお隣には糸鶴が居ない。夜出かける際はいつも一緒なのに・・・。
丸々・糸鶴
丸々さんの彼女であり、雪女。
今から約1ヶ月半前の4月、不運にも僕の概念に引き寄せられ、雪山から離れてしまった雪女である。そして、無くなりかけた妖力を得るため僕を襲い、丸々さんに倒され、唇を奪われ、クトゥグアの一部に取り憑かれ、僕の彼女である恋と殴り合いをし、丸々さんの恋人となった。
なんだ、まとめてみるとすごく意味不明な内容である。
とりあえず彼女はどこか訊ねてみた。
「う〜ん、糸鶴ならあそこに居るよ」
丸々さんが指す方向、俯瞰して見える街風景の1つ。その大通りだ。
僕は丸々さんの隣へと移動する。
僕はその先へ目を移したところで驚いた。
そこには異様な光景があったのだ。
「おっと、気を付けてね〜、落ちたら死ぬよん」
その注意がなければ、僕はよろけて落ちていたかもしれない。
虚を突かれた。
気を取り直して、もう一度見る。確認。見間違いではなさそうである。
僕は妖怪を目にしていた。しかも複数だ。
家一戸建て相当の大きさを持つ妖怪も居れば、小学生くらいの大きさの妖怪も居た。
また、昔話で聞く妖怪。
遊火
一目入道
狐
河童
うぶめ
牛頭馬頭
一本足
朧車
などなど・・・
メジャーな妖怪。マイナーな妖怪。
数えるのが嫌なほど無数の妖怪たちが街の大通りを列を成して行進していた。
時折、わき道から新しい妖怪が出てきてはその列に加わっている。
そして、その列の行き先をゆっくりと辿ってみると、山へと続いていた。
これはいわゆる百鬼夜行、というものだろうか。
「百の鬼がいるわけじゃな〜いから、百鬼妖怪夜行?いや、鳥獣妖怪夜行かな」
僕の呟きを拾ったのだろうか、丸々さんは答えた。
その言葉は確かに的確だ。
何故ならば、鳥や獣も参列しているのだから。
だが、二足歩行で歩いたり、頭が二つあったりと、ただの鳥獣でないことは確かである。
そこで僕は見つけた。
丸々・糸鶴である。
白い着物を纏っているが、陽のある間差しているゴスロリ傘は流石に持っていなかった。
彼女は隣にいる女性と話している。
残念ながら僕の視力は眼鏡が要らない程度であるため、この夜では細かく確認することはできなが、どうもその女性の頭には耳が生えているように見えた。
察するに猫娘か狼娘であろうか。
因みに、何故僕が糸鶴を確認できたかというと、彼女の白い着物にあった。
さすが暗い時間とは言え、わずかな光でもあれば反射はする。ただそれだけのことだ。
「こ〜れが見せたいものだった〜んだよ。どうも彼たちは宴会をするらしいねん。糸鶴が言うには〜、不定期ながらしょっちゅうこ〜んな宴会開いているらしいよん。どうも誰かがしよ〜って言ったら始まるらしいね〜」
丸々さんが言うには、一羽の鳥が来たことから始まったらしい。
その鳥は言った。
『産千川の小豆洗いが酒を呑みたいそうだよ』
鳥が喋る事に今更つっこみは無しだ。
そして、その鳥が来て半刻、次は一匹の河童が来たそうだ。
『一本松に住むからかさ小僧が宴会を開く予定だよ』
また半刻した後、次は最初来たときとは違う鳥が来た。
『恩煮切山の烏天狗が場所を提供するそうだ』
そしてまた半刻・・・と、あれよあれよと、宴会の予定が進み今にいたるわけだ。
「つ〜まり、小豆洗いの一言が宴会に繋がった〜んだよん。僕も知らない妖怪情報網ってのがあるみたいだね〜」
因みに、小豆洗いの言葉が発せられたのは今日の昼らしい。
なんというネットワーク。
そして決断の早さとそれに乗る妖怪たちの暇さ加減に僕は少し目が眩んだ。
「とこ〜ろで指揮君。恩煮切山は覚えているよね?―――ほら、あの吸血鬼と戦ったところだよ」
それは去年の話だ。
僕の友達である1人の女の子についての話。
陸奥・品図という女の子。
不死の女王である彼女は死を望んだ。
そしてその望みを叶える為、僕の彼女である一途二・恋、そして丸々さんと死闘を演じた。
その場所こそが恩煮切山であった。
「指揮君、彼女を救うた〜めに頑張ったのは、僕と恋ちゃんと――君だよん。わざと除外し〜たでしょ〜」
僕の回想の途中に割って入らないでもらいたいものである。
・・・さて、結果、陸奥・品図は一途二・恋により『逝きる事』を与えられ、今も生きているわけだが、今後彼女の人生がどうなるかわわからない。
―――本当にわからない。
「恩煮切山には僕たちが作ってしまった山の禿があ〜るでしょ?あそこが丁度い〜感じに広場になるから、そこが宴会場になったらしいよん」
丸々さんのその言葉に、僕はあ〜と唸った。
かの死闘により山の山間部は木が無くなり、土は焦げ、綺麗な場所となったのだ。
この後、恩煮切山の山神様に怒られ、2ヶ月の間、山のゴミ拾いというボランティアをを行うことになったのは、また別の話。
この行列が向かう先の山は恩煮切山であったか。
確かに、あの場所は多くの者が集り、わいわいとやるにはよき場所なのかもしれない。
ところで、吸血鬼である陸奥であるが、僕はしっかりと見てしまった。
あの行列の中でしっかりと、だ。
何食わぬ顔で参加していやがった。
金髪であり、夜の中でも輝く紅い目は見つけるのに十分だということがここで証明された。
なんという因果だろうか、かくしも自分が死闘を演じた場所で宴会をしようというのか、あいつは!!
精神が太いのだろうか。
うらやましいものだ。僕にもわけろよ。
「き〜みも十分太いほうだと思うよん?正直、今まで妖怪を見たり、怪異にあったりと発狂してない君は素晴らしいものだと―――」
何故、この人は僕の思考に入ってこれるのだろうか?
前に恋からは顔に出ていると言われたが・・・。
だが、丸々さんは僕の悩みをよそに言葉を発する。
「そ〜れにしても、やはりこの街は妖怪たちがお〜い〜ねん。この大多数は君の『お化け屋敷』に魅かれた者だろうけど、これは爽快だ〜」
やはり、丸々さんはこれを見て嬉しそうだった。
僕としてはあまり嬉しくない結果だ。
それはこれだけの妖怪たちとトラブルがあるかもしれないと云う意味でもあるのだから。
まぁ、落ち込むことはないよん、と丸々さんは言う。
「僕としては嬉しいねん。事件を探さな〜いでも此処では事件が寄ってくる。救い甲斐があるねん」
丸々さんが何故この街にいるのか。
その訳は今の言葉からもわかる。
多くの怪異があつまるこの街は、一つの混沌であり、混沌は更なる怪異を喚び寄せる。
此処では待つことなく、人を救う機会が来る。
彼は人を救う事を目的としているのだ。
僕は彼の過去のことを詮索しない。できない。
でも、彼もいろいろと背負っているのだろう。
人殺し―――丸々・罰
過去に会った丸々さんの知り合いからもそれを読み取れた。
しかし、人を救うと言いながら、糸鶴のように妖怪も救っているのだからその人の良さというか、優柔不断というのか、そんなものもあったりする。
僕が彼を嫌いという理由はどこにもなかった。
と、丸々さんはそろそろかな、と立ち上がり身体を伸ばした。
そして隣に置いてある布に包まれたものを持ち、その布を開放した。
まるで鉄板のように見えるが、それは刃物である。
『バルザイの偃月刀』
武器といわれればそうなのだが、装飾もされており儀式用の道具でもあるのだろう。
僕がこれを持つのはもう少し先のことであった。
何をしにいくのか、僕がそう訊ねると、丸々さんはこう返した。
「やっぱり、招かれざ〜る客ってのもいるわけでねん」
つまるところの悪霊退治ということなのだろうか。
今までの話には触れなかったのだが、ものすごく空間を漂っているものがある。
青白いような、透明なようなそれは人魂というのだろうか。
この妖怪夜行に誘われたものたちだ。
そして、僕に魅かれたものたちだ。
僕たちは勘違いをしてはいけない。
怪異は多種多様、問答無用で人に害なすものもある。
あの夜行の中にいる妖怪たちもまた然り。
「さぁ〜、いくよん」
丸々さんは僕の手を取る。
「こ〜れだけの怪異が集まったんだ。『えんがちょ』するにはいい日だねん」
・・・成る程、そう云う事ですか。
ならばしょうがない。
「行くとしましょうか・・・」
僕は頷いた。
最後以外、意図的に主人公に言葉を「」で表現していません。
こっちのほうがいいと思ったのでそうしました。
誰か、TRPGやろうよ・・・ここ4年してないのですよ。
実際、出版社やFEARのような会社に就職したい。