表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~  作者: m-kawa
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

341/456

第319話 魔の森の遺跡

「知らないなぁ」


「やはりそうでしたか」


 この街で顔見知りといえば国士無双のメンバーと、絡んできた女冒険者にチャラ男だろうか。あと他にいたっけ?

 エルから話を聞けば、敷地の入り口の門をガチャガチャと開けようとしていたらしい。もちろん鍵がかかっているので開かないとわかると、武器を持ち出して門を壊そうとしてきたとか。門も海皇亀の甲羅で作ったのでそう簡単に壊れないが、ガンガンされ続けるのも鬱陶しいので表に出て丁重(・・)にお帰り願ったとのこと。今思えば門より壁のほうが脆くなってしまったがこれいかに。


「ふーん。何しに来たんだろうね」


「Sランク冒険者が留守にしてる間に盗みでも働こうとしたんじゃねーの?」


「ありえるわねぇ」


 イヴァンが肩をすくめてそう零すと、莉緒が嘆息する。

 エル自身もステータスだけ見ればSランク冒険者とタメを張れるだけのものはあるのだ。強い冒険者の集まる街だからと言って相手になるわけもない。


「次からは容赦しなくていいぞ」


「かしこまりました」


「おなかすいた……」


 話が終わったことを察したフォニアが待ちきれなくなって、お腹をさすりながらつぶやく声が聞こえてくる。


「俺も腹減ったな。飯にするか!」


「うん!」


 こうしてみんなで夕飯を囲み、今日あったことや他愛のない話で盛り上がるのであった。




「なんだあれ?」


 翌日も引き続き魔の森の中層を調査していた時である。


「うん? ……ってあれかな」


 同じく空を行く莉緒も見つけたようである。左前方にぽっかりと木々が開けた場所があった。半径は五十メートルくらいはあるだろうか。まだ視界には入ってきていないが、俺の地図スキルでは何かの建物跡があると出てきている。


「……遺跡?」


「に見えるなぁ」


 やがて見えてきたのは白い柱だ。高さの異なる柱が何本も立っている。かなり古いのかどの柱もボロボロであり、今にも崩れそうなものまであるようだ。


「ちょっと寄って行こうか」


 頷いた莉緒と共に、木々が開けた場所の中央へと降り立つ。

 地面にはこれまたボロボロだが石畳が敷かれていて、いかにも遺跡といった雰囲気だ。建物跡は二つあり、一つは壁と柱しか残っておらず屋根もない。もう一つは屋根も残っているが壁が崩れている箇所があり、中がほぼ丸見えになっている。


「あっちから行ってみるか」


 屋根のあるほうを指さすと、莉緒と頷き合いながらそちらへと向かう。もとは扉があったであろう入り口から中に入る。すべてが風化しているようで何かが落ちているということもない。奥にも部屋が続いているようで、扉のなくなった長方形の穴が壁に空いている。


「何もないな……」


 遺跡にワクワクしつつ奥の部屋に入るが、本当に何もない。家具などもさっぱり見当たらず、石で作られた床や壁が荒れている様子しかなさそうだ。


「ホントに何もないわね……」


 ざっと調べたが本当に何もない。予定外のことで時間を食うわけにもいかないので、もう一つの建物跡へと向かうことにする。


「こっちは柱だけで壁もなくなってるわね」


「ああ、だけど地下への階段があるみたいだぞ」


 地形を探ったときに見つけていた方向を指さすと、莉緒と一緒にそちらに向かう。


「思ったより広いわね」


 見つけた階段は幅が五メートルくらいあり、かなり広さがあった。莉緒と頷き合うと二人並んで階段を下りていく。暗くなってきたので照明を魔法で作りつつも、しばらくすると地下階に到着した。


「へえ」


 そこそこ広い空間だ。隅のほうまで明かりが届いていなかったので、照明を増やして部屋全体を明るくする。


「やっぱり何もないわね」


「だなぁ。ちょっと期待したんだけどなぁ……」


 何かの骨らしきものが転がっていたりするが、それだけだ。奥にもさらに下りの階段があったので降りて行ったが、似たような何もない部屋があるだけだ。


「もう探索された後なのかしら?」


「その可能性はありそうだな」


 これだけ何もないとなるといろいろと持ち出された後かもしれない。魔の森の中層といえど、BランクやAランクの冒険者なら到達できるだろうか。

 またもや部屋の奥に下り階段があるのが見えたが、あからさまに見える位置にある階段だ。きっとこの下も何もない可能性が高そうだ。


「これ以上は指名依頼が終わってからにするか……」


 ここまで降りてきて何も見つからなかったことに肩を落としつつ、元来た道を引き返すことにした。




「は? 魔の森に遺跡があるなんて聞いたことないネ」


「え?」


「そうなんですか?」


 ギルドへと帰りつき、いつものように執務室で今日の報告をしていると、ギルドマスターからそんな答えが返ってきた。


「ありがたいことではあるが、だいたい君たちの調査範囲はありえないくらい広すぎるネ」


 魔の森の地図を広げながらギルドマスターが遺跡のあったあたりを指さす。直線距離で街の東北方向に約三百キロメートルくらい先だ。


「一般的に浅瀬と呼ばれるのは森に入ってから五十キロメートル前後のエリアを指すネ。Aランク冒険者でも魔の森の探索最深部は街から百キロメートルくらいが限界ネ。それ以上奥なんて、人跡未踏の領域に決まってるネ」


 街から百キロメートルくらいの範囲の半円を指でなぞりながら、なぜかギルドマスターに半ギレされた。

 解せぬ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シュウ「次からは容赦しなくていいぞ」 エル「かしこまりました(その言葉が聞きたかった!ご主人公認のストレス解消手段ゲット!)」 これで次から来る強盗は全員「行方不明」確定だね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ