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猫好き冒険譚  作者: 穴の空いた靴下
第二章 王都学園編
30/50

第30話 特訓

 1年生2学期、なんと、Bクラスに編入された。

 色々と入れ替わりが激しくて、フォッセさんはCになってガイアさんはAになってコールインさんはBクラスに残留して、ジースさんはDになっちゃって、パーミットさんはCになった。

 凄まじい入れ替わりだ……


「1年のうちのクラスは気にするな、皆成長期でどんどん変化する。

 それよりも、自分自身と向き合うのが大事だ、回りを気にしている暇はないぞ!」


 Bクラスの担当は試験官だったコルツィ先生。

 厳しくも有り難いお言葉をいただく。

 2学期からは実戦形式の授業、実習も増えていく。

 師匠と先生に教えられた全てを出し切っても構わない人がたくさんいる状態での実習は、はっきり言って最高だった。師匠や先生がたくさんいるようなものだ、もちろん、個人の資質は先生や師匠のほうが上だけど!

 それでも、そういった先輩方に教えられながら、厳しい環境で必死に頑張る感覚はとても新鮮だった。


 1年3学期目はなんとかBクラスに残留した。

 またもごちゃごちゃとクラスが変わったが、とうとうテイマーの人と同じクラスになった。

 鳥型の従魔は美しく気高かった。

 ノアは鳥に飛びかかるようなこともなく、なにかお互いに通じ合うことがあったらしい。

 時々二人(?)で出かけて戦術なんかを研究してるみたいだった。

 その縁もあって、テイマーのミシレント=バリトさんと仲良くなった。

 18歳のかっこいい女性で、鳥型魔獣のウイネルを相棒として、メイン武器は弓を使い、近づけば短刀二刀流で華麗に立ち回る。

 ウイネルは上空から周囲の情報を正確にバリトさんに伝えて、神業の弓術で魔物を圧倒する。

 恐ろしいのは、魔法で風を起こして弓を防ごうとしても、風よけの加護をウイネルが矢に与えるので、どんな気象状況でも敵を撃ち抜く。本当に恐ろしい……

 テイマーの本領を感じた。まさに従魔との一心同体。俺はまだまだノアに頼る面が多すぎる……

 負けてらんないぜ!


 あまりにも見事なテイマーの本質とも思われるバリトさんとウイネルのコンビネーションを目の当たりにして、俺達は特訓の必要性を感じていた。

 俺たちがBクラスに居るのは、ただ単に魔術師が二人いるから、というだけだ。

 それではいけない、俺達はコンビなんだ。

 1+1が2では足りないのだ。1+1=5にも10にもしなければいけない。


「よし、次の休みは特訓だぞ!」


「にゃーー!!」


 5日の授業と2日の休み。

 5日の授業があまりにも高密度なので、2日間は休養に当てないととても耐えられない……

 しかし、このままでは俺たちはダメだ。

 その2日を、学園の外に出て、冒険者としての鍛錬に当てるしか無い!

 いろいろと制約は存在するが、すでに冒険者としての証を持つ俺達は、ある程度の活動が許される。もちろん休日は2日しか無いので、王都から遠く離れるわけには行かない、その場合に最適な冒険先がある。それが、王都地下旧遺跡跡おうとちかきゅういせきあとだ。


「なんだか薄ら寒いな……」


 王都の下水、更には王都に住むことが出来ない……スラムを形成したりしている。

 太古の遺跡でもあり、魔物も出現するこの遺跡跡は、中堅の冒険者でも注意しないといけないレベル。正直俺たちには荷が重い。


「無理はしない、上層しか行かない、安全第一」


「にゃ!」


 第一階層には巨大なネズミのような魔獣や、スライム、スケルトンなんかが現れる。

 とくにスライムは要注意だ、突然脇の水路から足を掬って水の中に引き込まれたら、ひとたまりもない……

 とにかく俺はノアとの意思疎通を意識して立ち回る。

 今までの1+1が2になる戦いじゃなく、それ以上の価値が出る戦いを模索して……


 この場所での特訓は卒業まで続く……


「……仕方ないね……」


「にゃ……」


 2年に上がる最初のクラスはCクラス……

 どのクラスもほとんど実力差は無いことも、激しい入れ替わりは相変わらず続いていることもわかっている……

 それでも、休みを返上して頑張っているつもりだった俺たちには辛い宣告だ。


 2年生からは、授業の内容が急に高度になる。

 遠征も多くなり、時として、死がちらつくよな場での授業も行われていく。


「キメラを相手にする時は、その肉体能力だけに注意を払っていては死にますよ。

 その尾は猛毒、一噛みされれば一瞬で動けなくなります、魔法もきちんと意識して無ければいけませんよ!!」


 本当に命に関わりそうな場合は見事にフォローしながら先生からの実践での授業が繰り返される。

 俺も師匠や先生に同じような授業を受けていたけど、学園式なんだと少し嬉しくなった。


「カイトはノアと合わせても決定力にかける。その分応用力はピカイチね」


「それでも本当に強い相手だと、ジリ貧になります」


「そんなの、決定力を持つ相手とパーティ組めばいいだけじゃない!」


 Cクラスの教師であるリカ先生は207cm120kgのとても可愛らしい先生だ。

 ノアのことを本当に可愛がってくれる。

 Cクラスのクラス全員で相手するキメラを片手で振り回したりするけど、本当に生徒一人ひとりを大事にしてくれる先生で、俺も色々と相談している。


「あなた達は、自分たちを過小評価しているのよ」


 そう告げられたのはまもなく2年の二回目のクラスを決める試験の一週間前だった。

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