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猫好き冒険譚  作者: 穴の空いた靴下
第二章 王都学園編
29/50

第29話 1年1学期

 翌日、食堂は今日のクラス発表の話題で持ちきりだった。

 同じ部屋の4人でもその話が盛り上がる。


「いや、眠いな……」


「ちょっと話し込みすぎたな、でも、他の部屋もそうみたいだな」


「確かに、眠そうなやつが多いな」


「でも、単純に馴れない環境で眠れない人もいそうですよね」


「ああ、確かに……ノアちゃん撫でてて何度か寝落ちしそうになったから、うちの部屋は問題ないな」


「ノアちゃん温かいんだもんなー」


「毛ざわりもなめらかで……」


「にゃ~~」


 まわりから嫉妬の目線が降り注いでいることに気がついているのだろうか?

 食堂の食事は、とても充実していた。

 日本の学食に近い作りで、パンを数種類から選べて、サラダ、前菜、主菜、スープを複数から選べる。組み合わせを考えるだけで楽しくなってくる。


「学園に栄養学もあって、そこの実証も兼ねているらしいぞ」


「なんか怪しい香草が入っているって噂も……」


「美味しいから全然OKですよ!」


 学園には従魔も通うので、ノア用の食事もちゃんとある。

 見渡すと3人位テイマーがいるっぽい。

 狼っぽい大型の従魔が行儀よく食事をしている。

 鷹のような従魔、大型の牛と馬が合体したみたいな従魔は流石に外で食事をしていた。


 テイマーのように動物などを使役できる能力自体は持っている人はそれなりにいる。

 ある程度行動を誘導できるのか、命令できるのか、意思疎通が出来るのか、いろいろな段階があるし、相手の力量も大事だ。

 学園に来るようなテイマーなら、意思疎通が取れて完璧な連携なりを取れるレベルであることは間違いないし、あの3匹の従魔はただならぬ力の持ち主であることは想像に容易い。


 食後もクラス発表までは待機なので、食堂の隣りにある休憩所でルームメイトとおしゃべりをしていた。何名かの生徒からノアを触らせてほしいと話しかけられたりしていると……


「おい! 張り出されたぞ!」


 元気のいい声とともに、生徒たちが一斉に中央の運動場へと走り出していく。

 個人的にはあまり急いでも変わらないという、ちょっと枯れた考えからゆっくりと歩いていく。


 クラス分けは結構はっきりとした実力主義だ。

 Sクラスは明らかに飛び抜けた人たち

 Aクラスは飛び抜けた人たち

 Bクラスは学園内の上位層

 Cクラスが学園の中間層

 Dクラスは学園の中では下層


 実力次第で年3回のテストによってクラスは目まぐるしく変わるために、最終的にはDクラスだろうが、卒業まで学園に残れれば素晴らしい能力を有していることになる。

 

「Cクラスにひっかかったか……正直Dだと思っていたけど、まぁあまり意味のある差ではないな」


「にゃにゃ」


「そうだね、努力して登っていくだけだ」


「カイト君! Cだったね。私はBだから、早く上がってきてよ、ノアちゃんとも遊びたいから」


「フォッセさんにガイアさん」


「俺もBクラスだ」


 ガイアさんは口数少なくノアを撫でている。ノアもスリスリと体を擦り付けてとても気持ちよさそうだ。ガイアさんはなかなかの猫使いなのかも知れない。


「まぁ、S以外は知識を得たり戦い方を知るといくらでも変わっていくから、関係なし!」


「頑張るのみですね!」


「ニャン!」


 ルームメイト、コールインさんとパーミットさんがB、ジースさんが同じCクラスとなった。


 そのままクラスごとに別れて初日は各自の自己紹介が行われた。

 自分はテイマーだが魔法適性も剣も使えるという扱いになっている。

 全体の7割は体術系、3割が魔法適正持ち、普通の人に比べれば全員が達人となる可能性を秘めていると思うと、メラメラと対抗心が湧いてくる。

 テイマーつながりで自分以外は皆Dクラスに入ったらしい……

 正直テストの形式的にテイマーは少し不利になりやすい。

 実戦形式ならガラリと変わるので、最初のテストで本来のクラスになるってのがよくある話だそうだ。

 最初の4ヶ月は学園でのルールや、一般式な冒険者の心得的な座学が多く、それ以外は基本的な運動やそれぞれの適性などを探る。ある意味最初の学期全体が本当の振り分けテストと言っても良い。


 魔法の授業では先生の名前が出てきてちょっと誇らしかった。

『複数属性平行使用時における魔力構成とそのバランスや使用についての考察』

 先生は魔術アカデミーからも打診を受けているらしい。

 上級冒険者となった暁には、アカデミー入りという名誉を受けるかも知れない……

 この論文形成には自分もたくさん手伝っているので、協力のところに俺とノアの名前があって、その授業からしばらくは質問攻めになった。

 試験の後も何人かの魔法使いの方々から質問されたりはしていたけど、自分の理論はなんというか体験談的な話でわかりづらいと言われてしまった。

 日本人の記憶を交えて話したほうがわかりやすいんだけど、あまり話さないほうが良いって先生から言われているので、水をぐーっと停めるような感じでぐわーってやりながら、こうなんかめっちゃ動き回る感じを同時にー……とか話してると呆れられる……


 ルームメイトやクラスメイトからも最年少で弟的な扱いを受けながら、ノアはアイドルになりながら、飛ぶように4ヶ月が過ぎていった。 

 

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