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猫好き冒険譚  作者: 穴の空いた靴下
第一章 オネの村編
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第17話 帰還

 それからしばらくはダンジョン前の拠点で過ごすことになった。

 応援を呼びに街へと行った冒険者の穴埋めと、応急手当を行った人々に本格的な治療のためだ。

 流石に魔力が持たないので翌日から行った。

 緊急時の応急手当と行っても後の治療を考慮した治療なので、数回の治療で改善していくだろう。

 自分の医療系の魔法の使い方に関しては先生も最初おどろいていた。

 漫画や小説で得た知識だが、医療的な考えも広まっていくと良いなぁ……

 この治療という分野一点だけならノアよりも上なのは嬉しい。

 ノアが怪我しても俺が治してあげるんだ!


「これでよしと……」


「すまねぇなカイト、骨やっちまってやべぇと思ってたのにこんなに早く動けるようになるなんて」


「それでもちゃんとつくまで2週間位は安静にしてくださいね。ほんとにくっついてるわけじゃないんで」


 骨折なんかはやっぱり時間がかかる、それでも半分ぐらいの時間になるし、一般生活では少し痛いぐらいまで回復するから喜ばれる。

 

「ダンジョン入って見てこの拠点の重要性を改めて認識した。

 もう少し本格的な整備を進めていこう、そこでだ……」


「私とカイト、ノアちゃんがいるうちに出来る限り準備したいんでしょ、わかったわ」


 魔法を使えば建築関連の資材準備が圧倒的に早くなる。

 特に先生の精密な魔法による木材や石材の切り出しは芸術的で、組み合わせて髪の毛一本通らないと言われている。

 魔法の練習にもなるので、俺も積極的に手伝わせてもらう。

 先生の何倍も時間はかかるけど、一生懸命手伝った。

 ノアは慣れると先生ほどじゃないけど素早く加工していく。

 ノアから伝わる魔法の使い方を参考に俺も少しづつ成長している。


 そんな日々を過ごしていると街からの応援が来て、

 安静にしなければいけない人たちを護衛しながら俺たちも街へと戻った。

 

「カイト!!」「カイトちゃん!」


 町の入口では父さんと母さんが待っていた。


「大丈夫か? 怪我はないか?」


「良かったわー……ノアちゃんが守ってくれたのね、ありがとね~」


「カイト……」


「ミーナ、ありがとお守りのおかげで帰ってこられたよ」


「うん、無事で良かった……」


「カイト、すごい活躍だったらしいな! ……だからといってミーナはやらんぞ」


「だ、ダスおじさん……安定してるね……」


 いつのまにかノアは母さんに抱かれて先に家に帰っていた。

 俺は師匠と一緒にガーランドさんに報告に向かう。


「オー! 弟子たちよ、助かったぜ!

 めぐり合わせに感謝だな!」


「カイトが冷静な判断をしてくれたからなんとか無事に皆を助けられました」


「あれは、本当に偶然で……」


「いや、ノアちゃんとお前の幸運の賜物だ。

 みんなを救ってくれて、改めて礼を言う」


 ガーランドさんに深々とお礼を言われて逆に恐縮してしまう……


「……そうか、昔、村を襲った魔物が進化して……」


「魔物の進化などそうそう起こるもんじゃないが、余程人間を恨んでいたんだろう……」


「でも今回はきちんと討ち取りました!」


「ふむ、ただ安心はできんな。

 多くの狼とハイゴブリンも共に行動をしていたとなると、群れを作っていた可能性が高い。

 ならば新たなボスを作り襲ってくる可能性もある」


「ですね、マスター……本格的な拠点の建築と人員強化を急いだほうが良い。

 あのダンジョンの規模は王国でも屈指の可能性が高い、中央からも人を呼んでダンジョンまでの道も地ならしもしたほうがいい」


「そうだな、わかった。中央には話を通しておく。

 それと、カイト、今回の功績によって随伴から正式な冒険者となるに充分な証はある。

 しかし、お主には王都の学園に入ってもらう」


「師匠も言っていましたが、学園というのは?」


「簡単に言えば王国中からエリートを集めて精鋭として鍛える場所、だな」


「王国中から……」


「カイトは同年代で自分に匹敵するような人間にあっていないだろ?

 学園なら、お前と競える奴らが集まっている」


「師匠……」


「ついでに言えば、俺もマルアも学園に所属したことがある」


「行きます!」


「良い返事だな。自分より上を知るってのは大事だからな」


「カイトには身近にノアちゃんって上がいるが、同い年でも凄まじいやつが居るってのはやる気になるぜ!」


「それにカイトの治癒魔法については学園長が強い関心を持っている。

 出来れば直接話したいと言ってきている」


「マルアの師匠みたいな人間だぞ学園長は」


「それは是非にお目にかかりたいですね!」


「では、その方向で手続をしていく。

 街にいる間はすまないが少し忙しくなるぞ!」


「わかりました!」


「カイトの卒業試験も考えないとな!」


「卒業……」


 そうか、師匠や先生とも、別れの時が近いのか……


 結局、迫りくる別れの時を惜しむ時間もないほど忙しい日々が過ぎていくことになる。

 ダンジョンまでの道の整備、その護衛や資材の加工、ダンジョン前の拠点の整備や魔物の排除。

 さらに高度になる先生の授業と師匠に加えガーランドさんも加わった戦闘訓練や実践……


 忙しさに心を失いかけた頃、忘れかけていた卒業試験を突然受けることになる。







次は明日の17時に投稿します

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