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猫好き冒険譚  作者: 穴の空いた靴下
第一章 オネの村編
13/50

第13話 通過点

 ノアは用意された食事を勢いよく食べると俺の頭の上で丸くなってゴロゴロ言いながら眠っている。

 色んな負担をかけて申し訳なく思う……

 俺も用意されたパンと干し肉を刻んで入れた野菜スープをお腹に入れる。

 二重構造の保存瓶も俺の知識チートで製造した。

 火を起こさず暖かい食事が取れると冒険者の間で大流行している。

 鉄製なので錆びやすいのが欠点だ……


「ふぅ……しかし、あれだな、本気でダンジョン攻略するなら、あと3人でフルパーティ組まないと無理っぽいな流石に」


「カイトとノアちゃんが年齢に対して規格外ですけど、流石に3,4人パーティでさっきのが複数体出るとタンクもアタッカーも足りませんね、何より補助の負担がノアちゃんに集中しすぎてますね」


「もっと俺がノアの手助けができれば……」


「あのなぁカイト、お前は十分、いや十二分によくやっている。

 焦るな、まだお前は12歳なんだぞ、まだまだこれから先長く冒険者としてやっていくなら自分の可能性を信じろ! 何よりお前は俺らの弟子なんだぞ、もっと自信を持て!

 それに、ノアの相棒なんだろ? 卑屈になってる暇なんてねーぞ!」


「今まであまり言わなかったのがいけなかったわね、カイトは本当によく頑張っているし、本当に成長している。間違いないわ、おかげで私達まで成長してしまうほどに……

 でも、まだまだ伸びるわ。約束する。だから一緒に頑張りましょ?」


 師匠と先生がこんなにまっすぐに褒めてくれることに驚きと嬉しさが混ざって目頭が熱くなってしまう。


「しかし、カイトとノア以上の冒険者でフリーの奴なんてそうそう居ないからなぁ……」


「カイトはノア以外テイム出来ないのよね?」


「はい……未だにテイムしたのかも……

 テイマーの方に話を聞いてやってみても、気配もないです……

 でも良いんです! 僕はノアがいれば!」


「俺達も年齢的にカイトと長い期間はパーティを組めないしな……」


「やっぱり王都の学校が現実的ですね」


「そうだな、同い年くらいのカイトと競えるメンバーを見つけるならそれしか無いだろうな」


「師匠と先生はどうするんですか?」


 本心はずっと一緒にパーティを組んでいきたい。でも冒険者は過酷で高齢なればやっぱりきつくなっていく……


「俺はダンジョン制覇者の箔をつけたら、それこそ王都の教師でも目指すかな」


「セタスがそう言うなら、私もそういう形を目指すんでしょうね……?」


「ん? どういうことですか?」


「ああ、実は今の俺の状態をみてガーランドのおっさんがカイトの指導を終えたら、

 ダンジョン制覇を目指すパーティへの参加を打診されていてな、

 それにマルアも声かかってるんだ……」


「本当は私達でこのダンジョンを制覇したかったんだけど、

 さっき言ったとおりさすがにこの人数では難しい。

 それに、カイトのためにならないわ」


「だからカイト、俺達からの宿題だ。

 王都の学校へ行き、自分の背中を預けられる仲間、

 本当のパーティを見つけて、ここのダンジョンを制覇しろ!」


「師匠も先生も急にどうしたんですか?」


「カイト、あなたが随伴冒険者になって、今一緒に戦って確信したの。

 あなたは過去の冒険者である私達と一緒に居てはいけない、

 未来のあなた達世代の冒険者と成長するべきよ」


「もちろんダンジョンには行くし、お前が俺たちの元を卒業できるかはそこで確かめる。

 それで足りてなければ留年だな!」


「でも、留年したらパーティには……」


「ああ、流れるな、俺とマルアはしがない普通の冒険者止まり、くたびれた人生を送る……」


「……わかりました。

 ダンジョンでは二人に教わったことが無駄ではなかったことを存分に示します!」


「にゃにゃにゃにゃー!!」


「ああ、ノア、やってやろう!」


 いつの間にか目を覚ましていたノアが、気合で充実している。

 今まで長い間お世話になった師匠と先生に、俺なりの恩返しをしなければ!


「そうと決まれば、まずはダンジョンまで行くぞ!」


「はい!!」


 残りのダンジョンまでの道のりは、歯ごたえのある敵もいたが、

 ノアと俺の気合の前では敵ではなかった。

 師匠と先生の弟子として、これから名を挙げる最初の冒険、

 俺とノアは少し目頭を熱くしながら森の中を駆け続けた。


 日が傾き、森に暗闇に包まれようとしている時、ダンジョン前の駐留地の明かりが見えた。


「どうにか間に合ったな!」


「カイト、お疲れ様」


「ありがとうございます! ノアもお疲れ様!」


「にゃにゃ!」


 ダンジョン探索以外にも、この駐留地への物資の搬送の依頼も受けている。

 一部の物資を駐留地の人間に渡してギルドカードに手続きをする。


「黒猫のカイトだろお前? 凄いな、その若さでここまでこれるなんて!」


「黒猫のカイト?」


「ああ、幸運の黒猫をいつも頭の上に乗せている、新進気鋭の冒険者……に必ずなるって期待されているぜ! 頑張れよ!」


 駐留地に留まる人間はある程度以上の実力がある。

 そんな人に認められていることを知って、少し嬉しかった。

 


フラグじゃないですよ。


今日は一時間後、18時にも投稿します

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