表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/30

28話

「釣れたな」

 こちらに向かってくる宇賀島水軍を見てそうほくそ笑んだ。

 彼の周囲には道兼率いる15の関船と、将吉が指揮する安宅船が整然と並んでいる。

「狼煙を上げよ」

 そう静かに命じる将吉。

 彼の目は冷たく、凍っていた。

 その姿をみて道兼は冷や汗をかいていた。

 普段、温厚で配下に優しい将吉と言えど、武門の者であり、当主武吉の弟なのだと改めて実感した。

「我等を愚弄した宇賀島の阿呆共に目に物を見せてくれるわ!」

 そう雄叫びを上げた将吉。

 彼の背後では黄色の狼煙が天高く昇っていった。



「狼煙だ。漕げ」

 小早20艘を従えた時隆はそう命じた。

 たとえ、片腕を失ったとしても彼の戦場での嗅覚は一切鈍っていなかった。

「戦船は後回しにしろ! 廻船を狙え!」

 彼らは島影を利用し、宇賀島水軍の背後へと回り込んでいた。

 そして狼煙を合図に後方に控える廻船に攻めかかったのだった。

 彼が指揮する20艘の小早のうち、乗り込む兵は40程。

 その全てが小春の作った旋鉄砲を装備している。

「放て!」

 装填が終わったことを確認した時隆はそう命じた。

 一斉に放たれた銃弾は200メートルほど離れた敵の廻船を穴だらけにする。

「装填せよぉ!」

 間髪を入れずに時隆は命じる。

 30秒としないうちにすべての兵が装填を終え、再度構えた。

 その速さに時隆は驚きつつもニヤリと笑った。

「放てぇぃ!」

 この日2度目の一斉射撃が宇賀島水軍の廻船を襲った。



「ご報告申し上げまする! 後方の廻船、襲われましてにございまする!!」

 突然舞い込んだ急報に規義は困惑した。

 目の前に主力がいる今、なぜ後方がと困惑する規義。

「小早20艘でもっての奇襲でござる」

 素早く状況を察知した配下の将がそう規義に伝えた。

「っ! 全ての小早を差し向け、すぐに追い払え!」

 バッと振り返り規義はそう怒鳴った。

 彼の命令に従い、30の小早が後方へと向かう。

 その直後、ドドンドドンと遠くから太鼓の音が響いた。

 主は、村上水軍からのものであった。



「掛かれぇぃ!」

 将吉はそう叫ぶ。

 見事に宇賀島水軍は釣られたのであった。

 小早にて後方を襲撃し、敵がその対応に兵を割いたところで主力で敵を叩く。

 最初に思い付いたときは夢物語と思った将吉であったが、予想以上にうまく行っている。

「進め!」

 将吉は最期の総仕上げを自らの手で執ることにした。

 彼の号令を合図に水夫が一斉に櫂を漕ぎ出す。

「構え!」

 将吉が率いるのは1300ほど。

 うち、兵士は600ほどであった。

 そのうち400が鉄砲を装備している。

 だが、それは旋鉄砲ではなく通常の鉄砲であった。

「放て!」

 将吉はそう命じた。

 しかしそれは射程よりも外でのことであった。



 ダダダダァン。

 迫ってくる敵が突然発砲した。

 それは射程よりも外のことであり、宇賀島水軍の船には一発も当たらなかった。

 規義は敵の意図に気が付くと驚愕すると同時に敵を恐れた。

「コッチヲミロ」敵はそう言っているのだ。

 一瞬にして敵は硝煙に包まれる。

「ッ! 備えよ!」

 呆気に取られていた規義は突然そうわめいた。

 敵が来る。

 彼の直感がそう告げていたのだった。

「安宅船じゃぁ!」

 巨大な船の舳先が煙の中から現れると誰かがそう叫んだ。

 見る物を圧倒し、恐怖させる。

 強いもののみに許された圧倒的暴力。

 それが、安宅船であった。 

 安宅船は規義の乗る船の右斜め前に出現し、そのまま目の前にいた関船を踏みつぶした。

「なっ?!」

 普通、船と船がぶつかればいくら安宅船とはいえただでは済まない。

 しかし目の前に現れた安宅船は整然と姿を保っているのだ。

「夢か幻か……」

 規義はそう呟いた。



「船体を頑丈にしておいて正解だった」

 敵を踏みつぶした安宅船の上で将吉はそう呟いていた。

 敵も味方も呆然としている。

「炮烙放てぇぃ!」

 そんな中、将吉ただ一人は冷静であった。

 彼の命令に兵は忠実に従い、炮烙を投げ込んでいく。

 彼の安宅船を中心に次々と敵は割れていく。

「攻めかかれ!」

 将吉が敵を圧倒しているのを見て道兼も続いた。


 それから数分としないうちに敵は撤退を開始し、将吉は追撃を仕掛けるのであった。

更新に間が空いてしまい申し訳ございません。

年末年始ですので、リアルでの都合を優先した結果こうなってしまい深くお詫び申し上げます。

恩後も多少更新頻度は低下していきますので何卒ご容赦ください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ