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俺は最強だ!  作者: ありふれたトマト
9/9

9、森そしてビックリマーク

なんか久しぶりです。

場面は変わり、宿屋から依頼にあった森に来ている。森と言っても俺が朝まで魔物を狩りまくてた例の森なのだが、一応倒した魔物の中には今回のターゲットは入れていないから無駄足にはならないのは保障する。

昨日のうちで場所も割れてるし後はただ真っ直ぐ進むだけの簡単なお仕事だ。


「ねぇ、本当になにも準備せずに来たけど大丈夫なの?」

「あ〜うん、この森には魔物は少ないようだし、大丈夫だろきっと」

「そんな適当な、私食料すらもってきてないわよ?」

「食料は別にすぐ終わらせれば要らないじゃん」

パートナーから発せられた冒険者とは思えない浅はかな言葉に額に手を当てて顔の色を暗くするエルシア。

「あんた本当おかしんじゃないの?」

「はいはい、私は変人ですよだー」

声のトーンを変え挑発するような顔で言い放ったそれは、とても成人男性の其れとは思えかった。

「…」

「別にそこまで気にしなくてもすぐそこが町なんだからいいじゃん」

「…はぁ〜〜」

今までで一番大きいであろう溜息を吐くエルシア、その横にいる変な人は涼しい顔をして鼻歌交じりに、本来魔物だらけの森を歩いていた。今日の森は何故か魔物がいないからね、うん、しょうがないね。

ホントフシギナコトモアルンダナー。

「それであんた今どこに向かってるの?」

「え?」

「ただ歩いてるってわけじゃないんでしょ、さっきから道がわかってるみたいに歩いてるわけだし」

「・・・変な事に気づくな君は」

「そうでもないとも思うけどこれくらいなら誰でも気づくわよ普通に」

「いや、そんなことないよ君の紅い眼はとても鋭い良い目をしている」

「しれっと話を変えないでくれる」

「ばれた?、てへ♫」

頭に拳をのせ舌を出し、ウィンクをした。それは朝宿屋で見せたエルシアものとは比べるのもおこがましいその醜い姿は、吐き気と殺意を催す症状が確認できるほど醜い男の生きざまだった。

これには流石のエルシアさんもニッコリ。

「どうしようグーで殴りたい」

エルシアがマジなトーンでそんな事を口にした。

「ごめん、ごめん謝るって」

それを聞いて慌てて弁明するキモい主人公グリム。我ながら情けない主人公である。


「それよりさぁ、」

さっきの少しふざけた様な表情が一変して、一流の冒険者みたいな顔立ちに変わった。目は鋭く細くなり、声の高さも少し低くなり先程のふざけた態度からは想像できない真剣な表情だった。


「何よ急に真剣な顔になって」

「…感じてる?」

「そんな真剣な顔で突然のセクハラ発言やめてくれないかな」

「なんでだよ!、魔物の気配を感じるかて聞いてんの!」

「い、今のはあんたの聞き方が悪いからよ!」


顔を赤くして自分のミスを他人のせいにしようとしている姿は憎たらしい様な、可愛い様な……。

まぁ、グリムさんの性癖は隣の家のポストにでも入れるとして。


「待て、待て慌てるなエルシア、いいかよく聞け今俺たちはドラゴンの巣に近付いている、それはわかるか?」

「はぁ?あんた何言ってんの?誰が好き好んでドラゴンの巣なんかに行くのよ、つくならもっと笑える嘘にしてくれない、ギャグセン低すぎよあんた」

「嘘じゃねーよ、って使ってないのか?「魔力探知」」

「「魔力探知」なんてずっと使ってら魔力切れでぶっ倒れるわよ」

「でもちょこちょこ使ったりとかはしてるだろ?」

「何言ってんの」

「何が?」

「何がってあんたね、冒険者ならいや、冒険者じゃなくてもこれぐらいの常識は身につけてくれないかな?」

「ご、ごめん」

「そうやって謝る理由もわからずに謝るのもダメだから!」

「・・・」

年下の女の子にボロクソに言われて何も言い返せず黙ってしまった。情けないというか、男らしくないというか…

こいつ(主人公)よりもエルシアの言いかけた話を気にしてもらって構わない


「怒ってごめんなさい、なんか驚きすぎて私興奮してるんだと思う。もうちょっと抑えるように頑張るから、あんたもぶっ飛んだ事は控えてね」

「わかった、気をつけるから、それよりさっき言ってた俺の知らない事ってなんだ?」

「あれね、知らないんだ…なんであなたは何も知らないのによく今まで生きて来れたわね、はあ〜まぁいいわ話してあげる。実はね・・・


エルシアの話をまとめるとこうだ、今から1000年くらい前の夜空には「月」という丸く金色の光を放つ太陽と対をなす星があったらしい、だがその星は突然落ちて来た、月の大きさは太陽と同じ大きさとかでそんな物が落ちて来ては人類はおろか地球は滅んでいたと何にもの学者が言っている、なら何故?今まで人類は生き残って来れたのか、


これには言い伝えがあり、なんとも、少しずつ、少しずつ大きくなる「月」を見て農民は家族と最後の時を待ち、金の有り余る貴族は凄腕の冒険者を雇い守れと命令を出し、動物達は逃げ惑っていた…そんな中、眩い光の道筋を作りながら、近付いてくる月に突進する様に進む物体が現れた、それはどんどん「月」との距離を縮めまさに打つかるというその瞬間、道筋よりも何倍もの光を放ち月と衝突した。その瞬間「月」は丸いフォルムを崩し、大きく凹んだ。それはまるでゴムボールを潰すかのように、いとも簡単に凹んだ。そして月が凹んで約30秒後、凄まじい衝撃波とともに、花火の何十倍もの音が地上へと駆け抜けた。


光る物体はどうなったか、盛大に光を放ち衝突したその時から光は弱まり、そのまま消えてしまったらしい。まるで自分の生命の炎を燃やし尽くしたかのようにその存在を消していったそうだ。


こんな様な話を今では誰もが知って居る。日本で言う桃太郎や浦島太郎の様な一般的な童話の様な存在なんだとか…エルシアによるとこの後の続きが今は重要らしい、この事件の後粉々になった「月」は世界各国のに降り注ぎ、混ざり、交じり、加わった。その結果、異変が各国で起きる様になった、はじめはポツリポツリとだったが異変は時期に頻繁に起こるようになり、数年後にはその異変は、異変ではなく常識になるまでに流行ってしまった。

その異変というのは、1000年たった今でも続いている。これを俗に「月光」と言い、月と光が呼び込んだものとして認識されて居るらしい。

エルシアはこの「月光」が重要なんだと念押し、どうせ知らないんだろうと月光の話までしてくれた。


月光が読んだ異変とは主に三つある。

一つ目は、一人一人の得意不得意がハッキリと別れる様になったこと。

二つ目は、空気中に漂う魔力が爆発的に増えた事。

三つ目は、魔法の仕様変更。


詳しく説明するのはその時々にするとして、今説明するのは三つ目の魔法の仕様変更についてだが、具体的に何が起きたのかを説明しよう。


まず身体強化魔法などの、自身の中に流れる魔力の循環効率や量を変え、自分自身に干渉する魔法は体が光る様になった。これにより使った瞬間に位置バレしてしまい、奇襲ができなくなったり、夜に森で使うと虫が寄ってくるなどのめんどくさい被害がでるようになった。


それと基本的に必要なMPが増えたこと、これは日常生活の中でも魔法を使ってた俺からすると、厄介なことこのうえない。しかも結構大幅に上がってしまったようで、小型の魔法でも大体2倍のMPが必要になり、大型の魔法や大掛かりな術式、魔法陣が必要なものや、魔力自体を打ち出す魔力弾や魔力の波を飛ばす魔力探知は10倍や20倍ものMPが必要になった。


これがエルシアから聞いた魔法についての話だ。


でも、それはあまりにもおかしな話だった。

俺は昨日の夜、魔力探知を使いまくっていたが、MPの消費量は前と変わっていなかった。それは確かだ、そう、言い切れるほどに、確かに俺のMPの量からしたら例え20倍でも微々たる量しか消費はしないが、それでももう10年以上この魔法を使っている、それぐらい感覚で分かる。

100%俺から放たれた魔力は多くもなくましてや、少ないわけでもない元のままだ。他の魔法だってそうだ敵に使ったスタンの魔法だって全く変わっていなかった。どいうことだ、これでは話が合わない。


魔力の量は変わってはいないと言いきれるが、100万歩譲ったとして、念の為に大型の魔法を使ってみてMPの確認をしてみたいがさてどうしたものか。


何故大型の魔法を使う必要があるかって?それはね、俺は1秒あればMPがMAXになるからだよ。

とまぁ、自慢も終わったところで本題に戻るとしよう。


「そんなことがあったのか……」

「…」

黙るエルシア。

「なるほどな〜そんなことがな……じゃ、とりあえず教えてもらったしお礼に今回の討伐対象を教えてやろう」

「どうしたの急にクイズみたいなこと言い出して」

「まぁまぁ、いいからいいから、実はですね討伐対象はもうすぐそこまでってぐらい近ずいています。」

「そうなの?」

「ああ、そうだ、ほらあそこにいかにもってとこがあるだろう」

そう言って少し丘のようになっている所にある洞窟を指差した。


指差したこの丘は丁度森の中心にある特別大きくも小さくもないとくに特徴もない平凡な丘だ。でもそれはここでは違和感しか湧かないそんな雰囲気の丘だった。


丘には一本も木が生えていない、ここは森だというのに、突如として森にひらけた空間がしかも、森の中心にだ、そして洞窟の入り口辺りには木はおろか草も生えていない。いやWとかじゃなくて、


まぁいいやそして入り口辺りにはもう一つ大きな存在感のあるものがあった。それは俺の身長よりある大きな蜥蜴のような足跡がいくつもあった。

「何よこれ…」

思わず絶句するエルシア。それを見たグリムは(まぁ、そうだろうな)みたいな顔をしていた。

「さぁ、あれを見たエルシアさんは何がいると思います?」

空気を読まず明るいMCの様なそんな風な会話をしようとする。

「なな何言ってんのよあんた、こんな時に、ノンキしてないで早くこのことをギルドに伝え行かないと!」

そう言い終わると進んできた道を戻ろうと慌てて後ろを振り向く、そんなエルシアの肩を掴み行く手を阻むのはグリムだった。


「何するのよ、離してよ早く逃げなきゃ!」

「まぁまぁ待て待て、まず落ち着けよ冒険者たるもの、いつでも冷静に物事を考えるべきだろ」

エルシアの肩を掴み後ろから声をかける。

「そうだけど、でも今はとどまるより逃げる方が正しいわ!」

「分かったからとりあえず落ち着けよ、さっきから語尾が「!」になってるぞ」

「なんであんたこんな時も訳が分からないのよ!」

「ほらまた」

「うっさい!!!」

最後に「!」を3つ付け、グリムに振り向き、紅い目でグリムの黒い目をとらえ、興奮して乱れた呼吸を治す様に大きく息をしだした。


「はぁ…はぁ…」

「落ち着いたか?」

「あ…うんもう大丈夫、「はぁー」、落ち着いたわ」

最後に息を吸って落ち着いた様子になったエルシア。まだ肩を掴んだいるグリムはそれでも震えが伝わる手の感覚にやるせなさを感じた。

「怖いか?」

優しく聞いてみる。

「え〜すごくね」

一瞬ゾワっとした体の震えが伝わる。

「強がんじゃねよ」

そう言って肩か右手を浮かして頭をポンと叩き、すぐに肩に戻した。

「怖いって言うのは弱音だと思うんだけど」

少し歯を覗かせ笑ってみせるエルシア。

「そうかもな(笑)」

こちらも笑ってみせる。

「よく笑えるね…」

暗くなるエルシア。

「人の笑顔を見て暗くなるなよ」

明るいグリム。

「あはは…」

笑おうとするも、棒読みになってしまった。

それを見たグリムは後ろ振り向き異様な雰囲気の洞窟を向いた

「何見てんだ、早く出てこいよ」

まるで人見知りでドアからこっちをのぞいてる妹を紹介するためにここへ呼ぼうとするお兄ちゃんの様に洞窟の主人に声をかけた。

「…気付いていたか、相変わらず化け物の様な感覚は変わってない様だな」

そう言ってきたのは、体長10mはあろうかという、硬く赤い鱗に覆われた、大きな牙と角、そして蝙蝠の様な翼を生やした、ドラゴン。



ではなく、白い髭を生やし煙管を咥えた、白い着物を着た。爺さんだった。


誠に申し訳ないと思っている。だが反省も後悔もする気は無い。


ほんとこんな俺でごめんなさい。



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