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俺は最強だ!  作者: ありふれたトマト
7/9

7、鬼ごっこ

モンスターエナジーってアレめっさ美味しい!

カラフル盗賊団を詰め所に引き渡し、

情報をお姉さんから聞いたグリムとエルシア二人は、目撃されている例の山に向かおう…かと思ったが時間も時間の為明日行く事にした。そういうわけで俺たちは今宿屋に向かいながら、バーミリオンの店や珍しい商品を見たり寄り道しながらのんびりと向かうことになった。

「ねぇ見てよアレすごく珍しいチャームよ、確か王都限定の物のはず」

「ん、それじゃここにあるの偽物じゃね?」

金髪の魔法師さんが指さすのはミスリルのように輝くチャームだった。チャームは2本のひも状のものを波縫いのように交差させたデザインになっている。それは決して派手派手しい物ではなく首元の寂しさを補ってくれるとても清楚で静かな代物だった。


「そ、そうよね…王都にあるものがここにあるわけないよね」

「・・・おじさん!このチャームいくらだ」

「ちょ、私ほしいだなんて言ってないわ!」

「いいって、ちょっとここでかいものしたかっただけだ」

「…」

エルシアは少しムゥっとしながらも顔を赤くして、若干恥ずかしいそうにしている。なんでだ?

俺的にはこの時代で買い物をしたいというは本音なんだけどね。それでも良い印象は持ってもらえるかなと内心ゲスい事を考えているグリムだった。

「おう、兄ちゃんこの王都限定モデルの幸運のチャームに目をつけるとは良い目をしてるね」


そう俺らの会話が終わったのを見て話しかける店のおじちゃん、田舎にいる元気なおじちゃんって感じの店主は人の良さそうで店にあるほかの品もどれも質がよさそうなものばかりで店主の仕事への高い意識を感じる。

「おじさん幸運のチャームってのはどういうものなんだ?」

「何だい兄ちゃんしらいのか、このチャームはな首に付けると幸運になるって言う代物でな、なんでも恋人同士でのプレゼントに今流行ってるって話だぜ」

「そうなのか?」

俺の少し後ろで口尖らせた今時女子になんとなしに尋ねてみる。

「そうよ、今じゃお揃いのや色違いを買って歩いてるカップルは大勢いるわ」

彼女はそんなことも知らないの?って顔で少し前のみメリになる。なるほどな恋人同士がつけるチャームかだから少し恥ずかしいそうだったのか。

「なるほどわかった、つまり流れ的に俺のも買ってお揃いにした方が良いって事だな!」

「まさに名案。って感じの勢いと口調で行き先も名前も不明なドブ川の流れに乗らないでくれます」

エルシアからの重いツッコミが入る、今回はやけに長文だが全く噛む気配が無かったのは彼女の滑舌の良さを感じる。

「そこまで言われると傷ついてしまいます、死んでしまいます止めてくださいお願いします。」

対して俺も長文で返す。

「ハハハハ、兄ちゃん達面白いな〜夫婦漫才でもやってるのかい」

「やってません!」「実は…」

否定するエルシアに対し意味ありげなことを言うグリム。

「”実は“ってなによ実はって」

そこも見逃さないエルシアさん

「よし、満足した。これくれよおじさん」

「はいよ、銀貨3枚だ」

「わかった銀貨3枚だな」

この世界でのお金はこんな風になっている。

大金貨>白金貨>金貨>銀貨>銅貨>鉄貨>石貨。この順番で価値が高くなっていて、それぞれ10枚集まれば1っこ上のお金と同価値になる。

1000年前にも一応はあったお金だが、基本的には物々交換が村では当たり前で、町に行かなければ使うことのないものだったが、今はどうやらどこでもお金を使うようで、これはひとえに貴重だった鉱山資源を武器や鎧にじゃなくお金に使えるようになったということ。きっと精錬技術や加工技術も上がっているのだろう。

そして懐から取り出した袋からライオンの模様が彫られた金貨を1枚取り出す。それを店主に渡し、銀貨7枚帰ってきた。

「毎度あり!これからもバーミリオンに来たらこの店で買えよー」

店のカウンターに手を置き身を乗り出し手を振る店主。それに手を振って返し、宿屋方へと歩き出した。

「私が出した方が良かったのに」

「今更もう良いじゃん、はいこれ」

エルシアにチャームを渡す。

ちなみにこのお金は詰め所で貰ったものだ。

信じられないがあのカラフル盗賊団は結構名の知れた奴らで金貨10枚の報酬が出た。今はそれを7:3でエルシアと俺に分けている。倒したのはほとんどエルシアだから報酬はが別にいいと言っても、受け取りなさい言うので、ならと、7:3で分ける事で納得してもらえた。

「ありがとう。でも宿代は私が払うから」

「強情と言うか君も十分変わってるよね」

普通冒険者ってのは稼ぐためにやるものだが…彼女にも理由がありそうだな。まぁ別に良いけど。

「あんたには言われたくないわよ」

「あ、宿屋ってあれじゃね」

エルシアの言い分を抑え込むように宿屋に指を向ける。その方向には『宿屋ドラクネス』という看板の立てられた建物がある。建物は木造とコンクリートでできた2階建、名前の割にはというのは失礼だが落ち着いている感じの建物だ。コンクリートは1000年前にはなかった建材だ、見た目は焼く前の粘土みたいな色だが硬さは焼いた粘土よりも硬い不思議なものだ。

「宿屋ドラクネス、そうねあそこが今日の泊る場所ね」

「明日は忙しくなるだろうから早速入ろうぜ」

それにうなずくエルシア

俺はそれを確認すると宿屋へと二人で歩きだした。2枚の扉のうちの1枚を開き木の温かさを感じる店内に入っていた。2階建のうちの1階はどうやら食堂になっているようでまだ夕方だが大勢のお客で賑わっている。

「あ、いらしゃいませ。お食事ですか、ご宿泊ですか?」

そう声をかけてくれたのは、ボード片手にニコッと笑う赤髪で白の頭巾を着けた定員さんだった。

「えーと、泊まりたいんだけど二人分空いてる?」

「えーとですね今大変混み合っておりまして、用意できるお部屋の数がお一つとなっておりますがよろしいでしょうか?」

「え、それはちょっと厳しい…」

顔を歪めるエルシア、それはそうだろうが女の子にその反応をされるとやっぱり傷つくな。

「う〜んじゃどうする?」

「どうしましょうかね」

「俺は別に野宿でも良いだがな」

「お客さん今の時期は野宿はおススメできません」

「なんでだ?」

「今の観光客が多い時期にはそれだけ商人の人たちも多くなりますか、それで積み荷を狙った盗賊と食料を狙った魔物もたくさんいます、ですから野宿はやめたほう…」

「よし、俺野宿してくる!」

「いやちょっと待って、なんで今の話を聞いて野宿の流れになるのよ」

俺の答えに理解出来ない様子の彼女は、出口に向かおうとする俺の肩を掴み尋ねる。

「いやーちょっとこの辺りの治安維持に貢献しようかな〜と思って」

「倒す気満々なのねあんた…ていうかあんた攻撃当たってもダメージ入って無かったじゃない」

「いや、アレは違うんだってちょっと手を抜きすぎただけだって」

(実際は威力が強すぎてダメージが無かったんだけどね。)

「手を抜いたってねあんた限度が…でもあんた本当に化け物だったわね」

頭にてを当てるエルシア。相当やられてるらしい。

「そういう事、じゃあちょっと行ってくるね♪」

近場の公園でちょっと走ってくる!みたいなノリで出かける主人公グリムに呆れるエルシアさん。彼女は私も行くべきか内心迷うが、かえって足手まといになるかもしれない。と、グリムとのかけ離れたレベルとステータスの差を見た彼女なりの感想だった



ーーーーーーーーーーーーーー



エルシアと宿で別れたグリムはゆっくりと歩きながら、日の沈む方向へと歩いていた。途中店を覗いてみたり、暗くなる時間帯に向け明かりをつけ始める店や、今店を開ける酒場や、買い物を済ませ子供と一緒に帰る主婦の皆さん。そんな何気ない状態に本当は違う星なんじゃないかと思うグリム。1000年前はこうもうまくいっていた街は無かった、たしかにいつ死ぬかわからないそんな時代だったし、そこからここまで来れたことはとても喜ばしい事だが、それでも孤独を感じてしまう俺は傲慢なのだろうか。


一本の道を歩ききった時には日が完全に沈み、辺りは暗くなっている。空を見てもあるはずの月はない、その影響は完全なる闇となった森を見れば分かる。

この時おススメの魔法がこれ『魔力探知』だ。

魔力探知:魔生き物なら植物でも持っている魔力を探知するのがこの魔法である。探知できる範囲は使う魔力に依存する。認識可能な情報量は脳内演算力に依存する。

(取り敢えずはこの森を覆うくらいで良いか)

そしてグリムの無尽蔵とも言える魔力を使い魔力探知を発動させる。するとグリムから魔力の波が発生し、森全体を覆い尽くす。

(えーと魔物が184体に人が38人か、後は…うん、どうやら元気にしてるみたいだな)

魔力探知の結果、魔物と盗賊らしき人影の場所と数の特定に成功した。

(魔物は森の奥に居るからしばらくは町への被害無いだろうが、数が数だけに危ないかもな、よし魔物は全部駆逐して、盗賊はとりま縛りあげるか。)

そう意気込むと、森へと入り一番近場にいる奴の方向へと気配を消して走り出た。走ること約1分。まぁ走るといっても出してる力は早歩きぐらいなのだが、それでも100m6秒ぐらいは出てると思うけどね。

取り敢えず目の前に現れたのは狼のような魔物の群れだった。数は5匹。俺は魔物の首を落とそうと手刀を食らわせる。手刀を出す瞬間に斬撃の魔法を使って切れ味を出したのだが、どうやら魔物は無傷のようだった。

斬撃:切れ味をあげたり、持たせたりできる魔法。一番は刃物と組み合わせて使うのが好ましい


(イマイチ女神様からの加護の詳細がわからんからこうして森にきてみたんだがな、こうもダメージが入ら無いものんか。)

女神様からの贈り物に若干の不便さを感じながらも、それでも死というものを感じないのは良いものだな。

そして手刀を打った狼にスタンを使って身動きを取れないようにする。それを見ていた他の狼は仲間を置いて逃げ出して行った。それを逃す筈がないのが世界最強の男、別々に逃げた4匹に向かって一気に走り出す。


さぁ、ついに始まりました。真夜中の森で始まる狼vs人間のリアル鬼ごっこ!ルールはいたってシンプル、逃走者である狼4匹はこの広大な森をフィールドに逃げ回ってもらいます、そこをハンターであるグリムさんは発見し、身動きを止めれば確保となります。

実況は私くし、西村と、肇が勤めさせてもらいます。

「え〜肇さんこの勝負どう見ますか?」

「え〜そうですね、やはりこの暗闇の中でも目が効き、嗅覚は人間の10倍以上しかもこの森は彼ら(?)の生まれ育った地、やはり地理的優位性というアドバンテージは大きいのでしょう、それでも彼はそのアドバンテージをものともしない能力がありますからねーこの勝負全く予想がつきません」

「そうですか、貴重な時間ご意見ありがとうございます。肇さんですら予想がつかないこの命がけでの勝負を制すのは果たしてどっちだ、その白熱した様子を逐一報告させてもらいらますと。お、早くもグラムさんが走り出しました。真夜中の森の中軽快に足を進めています。まるで全てが見えているようだ。」

「え〜彼はまさに超人的と言える五感が備わっていますかね〜それらを生かしているのではないでしょうか」

「ほう〜超人的な五感を生かしているのではないかと、つまりはどの様に五感を生かしているのではとご考えで?」

「え〜具体的にはですね音を聞いているのでは無いかと思いますね〜この暗闇の中ではどんなに視力が良くても見ることはできないでしょう、ですから狼の立てる足音や葉の揺れる音を聞き取り狼の居所や障害物を避けているのではないでしょうか」

「あ〜成る程そういう事ですか、まさに世界最強の男にしかできない脅威的な能力です。え?あ、はい。え〜今情報が入りましたどうやらグリムさんは魔力探知を駆使し夜の中でも行動が出来るとのこと…あ、え〜これはですね…」

「…い、いやーまさか魔法を使っているとは予想していませんでした、だってほらねー彼の走りはまさに五感で走ってます、って感じだったので、勘違いしてしまいました。いやー彼のナチュラルな魔法にすっかり騙されてしまった様だ」

「そ、そうですよね、まさに五感で走ってるって感じでしたからね〜いやー私も彼にしてやられてしまったようです。お〜とここに来てグリムさんがここで1匹の狼に急接近しています。その距離3m程でしょうか、ぐんぐんとその距離を詰めるグリムさん、…捕まえるか、捕まえるのかーおーとここで狼が方向転換鋭い牙をむき出しにグリムさんへと突っ込んで行くがーそれを下顎から口を抑えこむ!なんて早さだ!それを必死に抜け出そうとするが、それを許さない彼の握力は一体どうなっているんだーうあ、危ない!背後から別の狼が飛びついた!仲間のピンチを察知したのか、これは流石に気づかないかーいやこちも口を掴んでしまったー今彼の両手には暴れ回る狼が居ます、これは異常だ〜すごい凄すぎる!やはりこれも肇さんの言う様に超人的な五感だから出来ることだ〜」

「そ、そうです!彼の様な超人的な五感があるから出来る事です。はい!」

「いやー流石ですねーまさにこれが肇さんの実況者力と言ったところ、話は戻りまして、これでグリムさんは4匹のうち2匹捕まえた事になります。開始数分で森の中に逃げる狼を2匹も捕まえてしまうのはやはり世界最強の男と言ったところ。どうやら捕まえた狼はスタンをかけてしばりあげる様子、おっ、ここで空間収納魔法を使い布を取り出しましたね、次は布に狼を載せていますね。あれは一体何なんでしょうか?」

「え〜あれはですね飛行魔法がエンチャントされた布ですねここに来る間に盗賊と自分達を運ぶ様に使っていたものです」

「成る程、飛行魔法という事はこれからは空から探そうという事ですかね?」

「おそらくそうではないでいしょうか」

「これは本当に布が浮かび上がりました、お次はどの様に探索を…おやグリムさんが見当たりませんねー空からの探索では無いのでしょうか。それでは一体彼は何処に…」

「い、居ました、あそこです!」

「本当ですか!……あ、本当だ本当に居ました!彼は空からではなく闇に紛れて森を疾走しております。早い早い、早すぎる!さっき程よりも一層早さを増しております、っとその前方には2匹の狼が木々を器用に躱し、体を交差させる事でグリムさんを惑わそうとしているのか、凄い狼チームもまるで意思疎通が行えるかの様な動きだ〜、一方その動きを物ともせず木々の間を駆け抜けるグリム・クラエル〜!一体彼に有効な戦術は存在するのか〜!」

「あそこまでの高度な誘導にも惑わされずに突き進む事が出来るのは彼しか居ないでしょねー」

「ここで一気に距離を詰めるグリム氏!必死の覚悟で逃げる狼との間隔が狭まっていく、おっとここで右手を突き出す 、何かグリムさんが言っていま、な、何と縄です右手から縄が出ました!あれは魔力工作スキルで作られた透明な縄だ〜。何と!まるで生きて居る様の縄が狼の足に巻き付いていく、流石に態勢を崩してしまう狼〜!そこを見逃さず身体中に巻きつく縄!おや?拘束した狼を見下している一体何をしているんだ?手を伸ばしたぞ!そして〜…な!投げた〜高く高く狼を投げ捨てたー!まさに外道!何もできない狼に何をするんだ〜最近は動物保護何とかが厳しい世の中であろう事か投げ飛ばしてしまった〜。これは流石に私もひく…いや!何とそこには先ほど用意してた布だ布が浮いっています!そこにまさか、まさか〜入った〜〜!何と!体重60キロはあろうかと狼を正確に布に入れて来たーこれは予想外、先ほどの評価は全くの手違いだった様です。誠に申し訳ございません。そしてどうやらこれでチキチキ真夜中のリアル鬼ごっこ大会と私達の役目は終わってしまう様です。この様な素晴らしい勝負を見せて下さったグリム氏と狼チームに大きな拍手を!それでは私達も置賜させていただきましょう。実況を担当しましたのは西村と!」

「肇でお送りしました」



特にオレンジが俺のお気に入り。

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