2、月見終了のお知らせ
個人的に月見は何するかよくわからん
俺が最強と呼ばれ始めて早10年、今まで救ってきた街や人は沢山いる。それは当然だと思う、だって俺頑張ったもん、たった一人で魔物を倒し続けた、何千、何万の魔物を倒し続けた、そこで得たものもたくさんあるし、沢山の人から感謝もされた、色々な物も貰った、お金、街一番の武器、可愛い娘さん、こっちも仕事だからお金はもらうけど、武器は新し物より使い慣れたこの剣の方が良いし、女の子は正直貰ってくれと言われても基本俺は一つの場所にとどまらないから女の子にはきつい、それに俺には一人じゃなきゃいけない理由もある。
俺は、世界最強。でもそれは「ソロ」で最強。それは俺のユニークスキルにある。俺のスキルの名は「孤高」。
ユーニークスキル:孤高
パーティメンバーが少なければ少ないほど自分のステータス、スキル、技能などの能力が最大10000倍になるスキルだ。所謂チートスキルだ。
この孤高がある限り俺はこの世界にいるやつにはなんの努力もせずに負ける事は無いだろう。現に俺の元々のステータスは普通の冒険者よりも低くかったが、孤高を手に入れてから一度たりとも負けていない。それに魔物も倒しまくったからレベルもめちゃくちゃ上がって更に強くなってるし。マジで負けない。
このチートスキルは俺の住んでた村の近くにある森に入た時に精霊から貰ったものだ。まぁその話は後々話すことにして。
今はそんなことより、空に見えるあれの対処を考えないといけない。今この星には「月」が落ちて来ている。
月、それはこの星の周りを回る星なのだが…どうゆう訳か、どんどん近ずいてくる。もし月が落ちて来たらどうなるかは正直想像が付かない。でもきっとこの星が壊れかねない衝撃が走るだろう、そうなればここで生きる全ての人が、生き物が苦しみ、悲しむだろう。もしかしたら俺なら生きれるかもしれない、なんせ食事でさえ月に一回食べれば大丈夫だし、睡眠すらも必要ない。
それでもきっと多くの命が失われ地に帰るだろう、きっと多くの日常が、幸せが失われるだろう。そんなことを考えて俺は思った。
「それは…嫌だと」
きっと、人を救うなのなんてこんな理由で良いんだと思う。
きっと、人を救うなんて俺の唯一出来る事で俺の一番得意な事なんだと思う。
きっと、俺はこの唯一世界最強に得意なことをみんなに自慢したいだけ。
きっと、それだけ。
俺はそんな特技を見てもらうために、俺は今この世界で一番高い場所にいる。ここならみんなが一番見やすいだろから。
刻一刻と近ずいてくる月を眺める。俺は帽子を取り、腰の剣も外した。帽子を尖った岩に置き帽子を囲う様に球体状の結界を張る。剣を鞘から抜き俺以上の実力者以外抜けない様に呪いを掛け地面に突き刺す。
もう一度、さっきよりも大きくなった月を見上げる。一つ息を吐き、拳を握り締め、足元には魔力で作った強化した足場を作り、思いっきり飛び跳ねる。体にも結界を貼り風を凌ぐ。
飛びつつけて約1分もう目の前には月が見える。俺は拳に力を込めると当時に全魔力を身体強化魔法に変えた。体の結界も解け、凍えそうなほど冷たい風がが吹く中、その目はバッチリと月の中心を捉えている。そのまま俺は拳を月に目掛けて突き立てた。
今、月の全体を見渡せる様に見れば俺はちょっと大きめの埃ぐらいの大きさに見えるだろう。月からしれば猛スピードで埃が飛んでくるのだそんなの目にすら止まらない。それでも俺の全力を食らってはひとたまりも無かった様だ。
月は全体にヒビを入れ、次の瞬間壮大で爆発的な音を立てその破片すら残さず砕け散った。
俺には「やった!みんなを救えた。」なんて気持ちは無く、ただ何時もの魔物退治の後街に戻る時の様にむず痒く、気恥ずかしい感じが俺の中に湧き出して来る。
でもそれはほんの一瞬の事だった。
直ぐに意識が遠のく感覚に襲われる。
(流石に魔力を使い過ぎたか…慣れない事はするもんじゃなかったな…)
彼は、基本的に魔法を使うときも少量の魔力しか使わない、大量の魔力を使えば同じ魔法でも絶大な威力が出るのだが彼はしない。それは月を壊せる時点で察して欲しい。そんな魔法をほとんど使わない奴が急に全魔力を注いだ魔法なんてしたら、体に相当な負荷が掛かる。
その反動は大きく、視界が揺れ、眠気に襲われ、疲労感や吐き気にやられた。
(ダメだ…眠い…これで死ぬのだろうか…ダメ…だ、まだやらなきゃ行けない事が残って…る、まだ、死ぬ訳には…いかな…い……ね…むい…)そんな朦朧とする中足元に目をやると、
(綺麗だ…)
そこには自分の救った星が、青く輝いて見えた。生まれて初めて見る自分の住んでいた星。丸くてとても大きい。青い所や緑の所がその星の豊かさや、生命力を表している。そんな幻想的な光景を前に彼は、
(みんな見てくれたかな…俺…一人で…頑張ったよ…ずっと……一人で……………)
彼は嬉しそうにも、寂しそうにも見える表情で、たった一人の真っ暗な世界で息を引き取った。
世界を救った世界最強の男。名はクラス・ハーペント。波乱万丈な彼の人生には多くの救われた命がある、またそれと同じかそれ以上に命を奪っている、生きることも、救う事も命を奪う事でしかなし得なかった。もしかしたら和解もできたのではないか、殺さなくても良いのではないか、その考えは尽きる事はなかった、それでも不器用な彼にはこれじゃなきゃ一番得意なこともできない、俺は不甲斐ない、世界最強なんて俺には重過ぎる、俺はただひたすらに殺し、命を奪っただけ、俺の目指した最強は違った。ある学者はこう言った「理想とは理想であり、現実にはあり得ない」昔この言葉を聞いた時うるさいジジィと思っていたが、現実は厳しい。それでも感謝をしてくれる人のキラキラした顔はとても癒されたし、とてもやり甲斐だった、それを守たのが俺の最後の仕事、最高じゃないか。
みんな「ありがとう」
その言葉は俺が1番かけられた言葉だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺はふと覚めるはずのない意識を覚ました。そこは黄色い空間に花が生い茂る原っぱだった。俺はそんな見た事も聞いた事もないこの場所に戸惑いを覚えながらも立ち上がった。
すると突然場所が変わり、次は真っ白な空間に出たようだ、そこの床はピカピカに輝き、俺の姿を映している。天井もそんな感じで俺の姿をが見えた。
「英雄さん、こちらにどうぞ」
俺の背後から女性の声が聞こえてきた。振り向くとそこには椅子に腰掛けた金髪で純白の羽を生やした美しい女性がいた。後なんか黄色のオーラの様な物が体を覆っている。
「……」
「……」
見つめ合う二人
「…え?」
「うふふ、こっちにいらして」
驚く俺に微笑みながらそう話しかける。
「あの〜此処は」
「はい、説明いたしますので座って下さい」
「…はぁ」
ゆっくりと足を進め、美しい女性の前で椅子に座った。
「はじめまして私は女神アイリスです。」
「は、はじめましてえっとクラス・ハーペントです。…どうも。」
「はい、どうも」
久しぶりの会話は緊張しているが、多分それだけの理由ではない。そして俺はたしか、
「あの〜俺は死んだんですよね?」
「はい、死にました。」
真顔でそう返してきた
「そう…ですか、…じゃあ此処は天国とかそいう感じの場所なんですか?」
「はい、そういう天国的なそういう場所です。」
「…あの…じゃあ俺は今から此処で暮らすんですか?」
「その事でですね話がありまして、あなたは生前沢山の人を救い、更には星の危機まで救っています。この偉業は大変な評価に値しますので、あなたにはもう一度生き返る権利が与えられました。」
「はぁ〜……は!?」
ついそんなことを初対面の人に言ってしまった
「…ですからもう一度あの世界に帰れるんですよ。」
「マジですか?」
「マジです」
「あのじゃあ、お願いしたい事があるんですけど」
「はいはい、送り出すさい出来る限りの事ならなるべく叶えますよ」
「そうですか、じゃ……………でお願いします」
「はい、わかりました、ほかに何か要望はありますか?」
「でしたら、俺がどんな事をしても何があっても殺せないようにして下さい。」
「はい、わかりました。うふふ面白い人ですねあなた」
「そうですかね」
「うふふ、ではあなたの新たな人生に幸多からん事を」
女神様がそう言い、手を俺に向けるすると光の粒が俺の体と天井に伸びていった。俺に伸びた光りは体を包み、天井に伸びた光りは穴を開け、そこには青空が広がっている。光りが体を包み終えると浮き上がり穴に向けて飛んで行く。
「女神様行ってきまーす」
「ウフフはーい、行ってらしゃらい」
穴を通過するとそこには見覚えのある空から、全く見覚えのない女の子が降ってきた。
次回、ヒロイン登場予定。