6話 街に到着
遅くなりました…すみません。
俺は荷台に乗り、視界に広がる風景を楽しんでいると、商人が声を掛けてきた。
「僕の名前はミリラ。君の名前は?」
「俺はヒカリだ。」
「そうなんだ〜。ところで君はどこから来たんだい?」
ん〜、正直に言うか、適当に嘘つくかどうしようかな。悩ましいがここは適当に嘘に本当を混ぜて言おう。混ぜれば少しは信憑性が増すだろう。
「俺、実は記憶喪失で目が覚めたら森の中にいたんだ。でも名前と少しの情報だったら覚えていたんだ」
「へ〜君記憶喪失なんだ。それは災難だったね」
どうやら信じたようだ。
「俺が起きた時、周りには何も無かった」
「ふーん、じゃあお金とかもなかったの?」
「ああ、あったのはこの服だけだ」
「そうなんだ〜。ギルド登録は最初は無料だから、ギルド登録してブラックウルフの素材を売るといいよ」
「ああ、そうするよ」
会話が終了して数時間がたった。
「見て!あれがヴィラレッジだよ」
ぼ〜っとしていたが、見てと言わたところを見たところ今まで見たこともない城壁が見えた。
「おお、でけ〜城壁がある。あそこが商業街か…」
「やっと着いた〜。僕も長旅は慣れてはいるけど流石に疲れたよ」
少したち俺たちは門の前の列に並んだ。
「そういえば、俺、身分証とかそんなものないけど街に入っていいのか?」
「それについては心配しなくていいよ。身分は僕が証明するから」
「できるのか?」
「実は僕、結構この街では有名なんだ……」
「へ〜、すごいな」
「む〜、もっと驚くかと思ったのに」
そう言うとミリラはドッキリが失敗したかのように項垂れた。撫でたくなる可愛さだ。もし、本当に撫でたらどんな反応をするのか気になった。
実は俺、自分で言うのはなんだが、成績は上位で、顔面偏差値も上位にいた。結構告白とかされていた。まあ、全て断ったけど。
「あ、次僕たちだ」
ようやく街に入れそうだ。
「次!」
「やっとだ〜」
「身分証を」
「はい、これ」
「……っ!?ミリラ…お通り下さい」
門をくぐり抜けた先には、沢山の人が行き交う街と、奥に途轍もなく大きいであろう城がそびえ立っていた。
「すげ〜。綺麗だ…これぞファンタジーという感じだ」
「ようこそ、ヴィラレッジへ。初めて見る人はみんな驚くんだ〜。ここは僕の郷里であり、仕事場でもあるんだ。だから、驚くたびに少し嬉しくなるんだよ」
「へ〜、そうなんだな」
「あ、そうだ。ギルドに行く前に僕の商店に寄っていきなよ」
「ああ、世話になる」
そして俺は、賑やかな街を案内されながらミリラについていった。
少し歩き、ミリラは一つの建物の前で止まった。
「これが僕の商店だよ。凄いでしょう」
「ああ、凄いな」
俺は正直驚いた。ミリラの言う商店というのは、マンション並みの大きさで看板にミリラ商店と書かれていた。
ミリラがドアを開いた時ベルが鳴った。音が店内に響き女の店員がこちらに気付いた。
「いらっしゃいまs……って、社長〜〜!?」
やっぱり社長だったんだな。
「やあ、今戻って来たよ」
「無事だったのですね…社長は無茶してまで商売するんですから…」
女の社員はホッとした様子で言った。
「それで…そちらの方は?」
「紹介するよ。こちらは道中でブラックウルフから助けてくれたヒカリだよ」
「はじめまして、私はこの会社で働いていますアコです。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
「今は私一人で店番をしていますが、本来は沢山店員が居るんですよ」
取り留めのない話をしている最中、俺は本来の目的を思い出した。
「そうだ俺、ギルドに行くんだった」
「それじゃあ、僕が送るよ」
「ああ、よろしく頼む」
俺は道案内をミリラに頼むことにした。