5話 強すぎる俺
馬車SIDE
「GRUAAAAAAAAAAAAA」
前方からうめき声が聞こえてきた。
「どうしたの」
「ブラックウルフが出ました。その数6です」
「え!6匹もいるの!」
僕は窓から外を見てみた。
6匹と4人が睨み合っていた。
しかし、ブラックウルフが先に動いた。
「GRUA」
ブラックウルフは小さく叫んで1人の護衛に跳びかかった。護衛も防御したが、ブラックウルフの力の方が強かったようだ。護衛は押し倒されて噛みつかれた。
「うあっ!!!」
「大丈夫か!?」
護衛のリーダーが噛みつかれた護衛に近寄ったが、リーダーらしき人に別のブラックウルフが跳びかかった。
「リーダー、危な…」
1人の護衛が言い終わる前に怪我している護衛とリーダーが、ブラックウルフに頭を噛み付かれた
2人はもう助からないだろう。
「もうだめかな…」
僕はもうダメだと諦めたその時………
黒髪の少年は現れた。
光SIDE
「よし、間に合った」
俺は、馬車と狼みたいな魔物の間に素早く割り込んだ。
護衛のような人は俺に驚いていた。
<鑑定>
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ブラックウルフ
魔獣LV13
HP600
MP300
スキル
身体強化Lv2
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俺が鑑定してみると…
めっちゃ弱かった。
「よっわ!!
え~こんな奴に苦戦いてたの?こんなの一瞬だろ……」
1人で呟いているとブラックウルフが叫びをあげ跳びかかってきた。
俺は咄嗟に腰に差してた木刀を抜き魔力で強化した木刀でブラックウルフを切り裂いた。この技は森で習得したんだぜ。
1匹目を切り裂いたとき右からブラックウルフが跳びかかってきたが、そいつは魔法で風の刃を生み出し、一発で首を刈り取った。
そこから俺の一方的な攻撃が始まった。
ブラックウルフたちは次々と跳びかかってきたが、すべて木刀や魔法で切り伏せた。
そして、最後のブラックウルフを切り伏せたところで声が聞こえた。
「あんた何者だ!」
唖然としていた護衛が復活し、話しかけてきた。
「ん?俺か?俺は通りすがりの旅人だよ」
「そんな訳ねえだろ…」
「そんなことより大丈夫だったか?」
「ああ、俺たち2人はな」
「……そうか。」
2人で話していると馬車から1人の少女が出てきた。
「助けてくれてありがとう。君が助けてくなかったら、僕たちは今頃死んでいたと思うよ。本当にありがとう」
ん?僕、僕だと…………
ボクっ子キターーーーーー
おっと、我を忘れてしまった。俺としたことが……ここは冷静になろう。
「どういたしまして」
「僕は商人をやっていて、ヴィラレッジに向かっている途中なんだ。君はどこに向かっているんだい?」
「俺もヴィラレッジに向かっている」
「おお、そうかい?…もし、君がよかったらそこまで護衛をたのみたいんだけど…」
「護衛か………面白そうだ。いいよ、やっても」
「ほんとに!良かった~。君みたいな強い人がいれば安心だよ。君は高ランクの冒険者なんだろ?」
「冒険者てなんだ?」
「え…冒険者ギルド、知らない?」
「ギルドは知ってるぞ」
地球での知識だけど…
「冒険者ギルドはさっきみたいに、魔物を倒したり、薬草なんか集めたり、護衛したりするんだよ。あと出された依頼を受けたりするかな…
ちなみに僕は商人ギルドに登録しているんだ。ギルド登録は15歳からしか出来ないけどね」
あ、なら俺は登録出来る。
ん?待てよ…15歳からということはこの少女は15歳以上てことなのか!
その問題は後にしよう。
「ブラックウルフは君が倒したから素材は君のものさ」
「わかった」
俺はブラックウルフを創造魔法で収納した。俺は亜空間の中に討伐した魔物たちを入れている。便利な魔法だ。
「え、君、今ブラックウルフを消さなかったかい?」
「ああ、魔法で別の所に収納している」
「……!そんな魔法聞いたことないよ」
「そうなのか?」
これからは人前で使わないようにしとこう。俺はこの技を封印することにした。まあすぐに忘れていつか出てくると思うがな
「それで、護衛してくれるんだね」
「ああ」
「それなら馬車の荷台に乗って出発だ」
「ちょっと待てよ」
「ん?何だい?」
「死んだ奴らはどうするんだ?」
「ん?基本的にはそのままだよ」
「っ……そうか……」
それがこの世界の常識なら仕方ないか……
俺は静かに暗い荷台に乗った。