10話 告白しました
「君は何者なんだ」
ギルドマスターが言った言葉は、簡単だが、すべてを聞くことができる究極の質問だった。ここは正直に異世界人と言うべきか……記憶喪失というべきか……悩ましいところであった。
異世界人といった場合は、これから言い訳する必要がない。でも、異世界人が俺しかいないとなると厄介ごとになる。
記憶喪失といった場合は、これからもごまかす必要があるし、いろいろなことに都合を合わせないといけなくなる。
俺は迷った末、異世界人と言うことに決めた。
ずっと嘘を言い続けるのも心が痛むし、のちに面倒なことになると俺の勘が言っている。
「実は俺、異世界人なんだ。この世界に来てまだ時も浅いし、面倒だから黙っていたんだ」
「そうか……その可能性も考えてはいたが、まさか君が異世界人だったとは……」
その可能性……ということは他にもいたということだな。
多分、異世界人は女神からチートをもらっているはずだから、みんな強いんだろな。そうだ今度異世界人を探す旅をするのも悪くない……今はそんなことを言っている場合ではないか……
「ところで、異世界人は今まで何人いたんだ?」
「ん?ああ、異世界人は今まで5人いた。異世界人はこの世界に必ず爪痕を残している。この国の初代国王も異世界人だ」
初代国王かー。俺が国を作るのも悪くないな……流石に無理か……
「ところで俺は今、武器を発注していて明後日までに2金貨必要なんだ。はやく依頼を受けたいんだが……」
「ああ、すまなかったな……もう行っていいよ」
俺は挨拶をして1階に降りた。何だったんだろうか……異世界人と分かって何をするつもりなんだ?何かの組織に勧誘でもするのか?考えすぎか、でも本当に気になるな。いや、今はそんなこと気にしている場合ではない、いち早くデニを集めなければならない。通過がないと何もできない。
ん?待てよ……俺が森で狩っていた魔物の素材を売ればよくないか?試してみようかな……
「ちょっといいか?狩った魔物の素材を売りたいんだが……依頼外で狩った魔物の素材も売れるのものなのか?」
俺は一番近くにいた受付嬢……ラミに聞いた。
「可能ですよ。でもランクの高い素材を出すのでしょう?」
「ランクが高いかどうかは分からないが結構あるぞ?」
「それではこちらに……」
俺はラミについていくと、かなりデカい倉庫に着いた。ここに素材を置けばいいのか?でもいろんな種類の素材があるしな~、どれを出せばいいのやら……そうだな、一番使えなさそうな骨を出そうかな……
俺は一番最初に倒した魔物、ホワイトダシュの骨を10匹分出した。
「これでどうだ?」
「これは!!こんな高ランクの魔物を!?またギルマスを呼んできます」
薄々築いてはいたが、そんなに高ランクの魔物だったのか……最初のころは死ぬ気で倒したけど途中から3秒で倒せるようになったしな。慣れたら魔力強化した木刀で1発だった。つい最近のことなのに懐かしく感じる。
……2分後
「ギルマスこっちです。」
お、来たな……早く終わらせて街を見回りたいな。そんなこと考えているとギルマスが素材の前まで来て鑑定しだした。そうだ俺も神の眼で見よう。
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ホワイトダシュの骨 A+級
1体分の素材で金貨3枚分の価値がある
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……っ!?1体分で3金貨……さすがに高すぎだろ。10体分だから30金貨、要するに30000000デニだ。これでもう刀は買えた……こんなにもあっさりと買えていいのか?
「はぁ~もうあきれるのにも疲れた……ホワイトダシュの骨は3金貨だよ。まさかこんなことが起こるとは……すべて買い取らせてもらうよ。あと、A級の依頼にこの素材の取得の依頼が2個あったから君は2つともクリアしたことになるから、今日からA級冒険者だ。デニは受付でもらってね」
「ああ、わかった」
俺はギルマス、ラミと一緒に受付に向かった。
「これが今回の報酬と素材の買い取り価格です」
受付には金貨34枚が置かれている。少し多いな……金貨3枚の価値があるやつを10個売ったから30金貨のはずだけど……
「なんで34金貨なんだ?」
「え~、まず依頼が2つあってどちらも報酬が金貨5枚です。残りの骨8つが金貨3枚なので、全部で金貨34枚になります」
「そうか。時間を取らせてすまなかった……では、また今度」
「はい、お気を付けて」
これで当初の目的を果たした。金貨2枚稼ぐ予定が34枚も稼いでしまった……まあ、多いに越したことはないか。でも、刀の代金を払ったとして、残りの32枚何に使おうか後で決めておこう。
ん?もうこんな時間か。
俺がギルドを出た時には、太陽が沈みかけていた。
早く宿に行かないと。
俺は空き時間ラミに聞いておいた『銀の夕暮れ』というおススメの宿に向かい歩き出した。
これから字数を増やしていこうと思います。