1-8 【炎龍之息吹】
「えっ?」
カレンは短く言った後、金縛りにあったかのように動きを止めた。
そして、ゆっくりと動きだして、俺を二度見した。訝しむような眼で見た後、師匠を見て、叫んだ。
「えぇぇえええええ!!!」
彼女の大声が迷宮内に響き渡った。
「ど、どういうことですか? 彼が、特殊技能を持ってるって言うの? 嘘でしょ」
彼女はまだ、疑っているようだ。そんなに、特殊技能ってレアなのか?
「まぁ、疑うのも無理は無いな。彼が持っているのは【無限復活】だ。天才の俺様が持っている特殊技能とは、全く違うタイプの技能だ」
「【無限復活】? どういう能力なの?」
「説明しづらい能力だしな……」
と師匠は一息おいて、
「まぁ、実践する方が早いか。一番、強い魔術を撃ってやれ」
と言った。
理解が遅れる。
――は?
「そうだな【炎龍之息吹】とか【雷嵐之宴】とかどうだ」
――なにその、強そうな名前。もう死ぬの確定じゃん。
「……殺してしまうかもしれませんが」
「一向に構わん。さぁ、やれ!」
「わかりました。死んでも、文句は言わないでください!」
彼女はそう言うと、杖を取り出し、
「【炎龍之息吹】!!!」
と、叫ぶようにして、言った。すると、彼女の後ろに術式が走り、魔術陣を作り出した。今までに見た中で、最も大きなサイズだった。
そんな巨大な魔術陣が、回りだし、まるで龍が口を開き、攻撃をするようにして、魔術が発動した。
途端、圧倒的な熱量が俺を襲う。
体中が燃え尽きる。と俺は予感した。本能が訴えた。
――死ぬ。
【炎龍之息吹】の名に恥じないだけある。体が燃え初めて、体から魂が抜けるのを感じた。
そして、俺は死んだ。
【耐性系技能:火耐性を習得しました】
【耐性系技能:火耐性がLvUP……耐性系技能:炎耐性へと進化】
【肉体の死を確認……特殊技能【無限復活】を発動……肉体の再構築……意識を覚醒……個体情報を引き継ぎます】