1-7 【炎雷の魔女】カレン
「な、なんで、あなたがここに!?」
「な、なんで、あなたがここに!?」
金色の髪に赤い眼。炎と雷の攻撃魔術を操った、先の美少女。
「なんで、安全区域に居るんですか? 私、てっきり、地上に転移で帰ったのかと……」
「いや、なんで、おまえこそ、師匠の家に上がりこんでいるんだよ!」
「……あの、お前らさ、ここ、俺の家なんだから、騒がんといてくれる?」
師匠が珍しく、控えめな声で言うと、俺と彼女は黙った。
「てか、お前ら面識があったの。特にヒビキ。お前は俺以外、誰も知らないはずだろう」
「いや、さっきの話に出てきた、雑魚の青年が彼ですよ。私が戻るように進めたら、なにかの魔道具を使って、逃げたって」
「いや、すぐに逃げろって言ったの師匠だからね」
「というか、何で師匠なんてやってるんですか? あなた、こんな雑魚より、育て甲斐のある子が一杯いるでしょう」
「いや、あいつら面倒いんだよ」
「……面倒ですって」
「いやな……」
彼らが長話に入り、俺はため息を吐いた。
本当に何で、あの少女がいるんだ?まじで、何やってんだか……
「しかし、お前ら、自己紹介したか?」
「あぁ、そう言えば、まだしてませんでしたね。私の名前はカレンです。貴族ではないので、ただのカレンです」
「俺は田中響。こっちで言うと、ヒビキ・タナカだ」
俺がそう言うと、カレンはうん?と首を捻った。疑問点でもあったんだろうか?
「ヒビキさんで良いんですよね。ヒビキさんは貴族なんですか?」
「いや、どうやったら、俺が貴族になれんだよ」
「いや、貴族名持ちじゃないですか」
うん?貴族名?なんじゃそれ?
「まぁ、貴族が持ってる、特別な名前の事だ。自分の名前の後ろに付ける。俺だと、ロルフ・シュワルツ。シュワルツが貴族名となるだろう。大体、貴族名は家の名前になる。まぁ、俺は領地なんて持ってないから、シュワルツ領なんてものはないけどな」
ふむ、なるほど、苗字のことか。
「まぁ、カレン。彼は貴族じゃないよ。ただ、この天才様の弟子となった凡人なだけさ」
「あなたの弟子になれるなんて、凡人じゃないと思うけど」
「てか、師匠ってそこまですごい人なんですか?」
「「えっ?」」
二人の声が被った。
「そんな事も知らないの!?」
「お前、大丈夫か、この俺を知らないなんて!?」
二人が驚いた顔でこちらを見ている。そんな驚くような事、言ったかな。
「彼の二つ名は知っていますよね? 【剣魔の天才】【王国最強】【空間の主】……これ以外にも沢山の二つ名を持っています」
「あれ、【炎雷の魔女】【賢者の弟子】とかの二つ名持ちのカレンさんも、二つ名だけだったら、俺と同じじゃん」
「うるさいですね。まぁ、いいですか、そんな彼は、王国最強と唱われるほどの実力者です。炎、水、氷、風、雷、空間と人間の限界の六属性持ち。加えて、剣術はかの帝国の【剣神】も認めるほどです」
はぁ!? こんな、ナルシスト、くそ鬼畜野郎が!?
なんか、さっきから、驚いてばかりな気がする。やっぱり、常識が足りないのかな。
「まぁ、そんなわけで、あなたのような雑魚がなぜ、彼の弟子なんぞやっているんですか?」
「あぁ、それはね、彼が、僕と同じ、特殊技能持ちだからだよ」