表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

1-9 ロルフとカレンの会話

ロルフ視点

 「……これは……?」


 カレンはまさに、生き返る寸前の彼を見て、驚いていた。


 「【無限復活リスポーン】。無限に生き返る、死ぬことがなくなる特殊技能ユニークスキルだ」

 「不死族アンデッドとは違うの?」

 「【解析】持ってただろう。それで、種族を見ればいい」


 彼女は一端、息を整えてから、技能を発動する。


 「???ですって? なによ、それ? 人間ですらないの?」

 「いや、彼自身は人間だろう。ただ、称号【異界の民】。これが原因だ。恐らくだが、この世界の人間とは根本的に仕組みが違うのだろう。彼は魔術が絶対に使えない。無属性ですらも」

 「えっ」

 「そもそも、該当する魔力がないに等しいんだ。だから、この世界でいうと生命ですら無くなる」


 カレンはまた驚いた顔をした。そして、彼女は魔術を使い、理解が出来ないかのような顔でいた。


 「本当に魔力がない。いや、少しだけあるわ。ただ、零にほぼ等しいぐらいの本当に少しの」


 もうカレンは驚くのをやめたのか、冷静な顔付きになり、俺に尋ねた。


 「本当に彼は強くなるの?」


 彼女の疑問は最もだ。魔術が使えず、技能もそこまで優秀ではなく、唯一の力は【無限復活リスポーン】のみ。強くなる要素が見当たらない。


 「後、三年しか残ってないのよ」


 そうだ。彼女は正しい。後、三年だ。あれが起きてしまうまで後三年。


 「三年で、彼は強くなるの?」


 彼女は正しいのだ。弱者は弱者なままだ。だけど、俺はそう思わない。


 「あぁ。絶対に強くなる」

 「ヒビキ。そう。ならいいわ。ただ、後、半年以内には迷宮をクリアさせて。そうでないと、王があなたに……」

 「大丈夫さ。【王の権利】なんて、所詮、ただの言葉だ。いざとなったら、お前も連れて、逃げ出してやるよ」

 「まぁ、ありがとう」


 カレンは俺に礼を言った。


 「はぁ。一先ず、迷宮に留まるか。行くか。どっちだ」

 「そうね。ひとまずは仕事を片付けてからかしらね。冒険者組合長ギルドマスターがこんなことしてると知ったら、あいつ、副冒険者組合長サブ・ギルドマスターが許してくれるはずがないわ」

 「あいつ、生真面目だからな」

 「一週間で帰ってくるようにはするわ。多分」

 「わかった」


 俺はそう言って、術式を編み始めた。


 「【転送】」


 術式が空間に作用し、空間が歪んだ。そして、カレンが消えた。


 「もっと、厳しくしてくか。仕方ない」


 呟いた声は、迷宮に響き、三年後の世界を思い浮かべた。

 多分、今の彼はとても憔悴している。それは見ていてわかる。


 ただ、この後、どんどん魔獣の数は増えると思われる。これは一部の人間しか知らない情報だ。ただ、信憑性が高いだけに無視できない。


 これからの世界で彼は生きていけるだろうか。かの古代人魔大戦に匹敵する争いが起こるという予想もある。


 まぁ、仮にそうなったら、完全に世界の終わりだ。世界は地獄と化すだろう。


 俺はヒビキが完全に復活したのを見たのを見た。


 異界の少年。彼は伝承の勇者なのか、魔王なのか。


 「強くなれ」


 俺はまだ眠る彼に向かって声をかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ