6話 冒険者ギルド
さて冒険者ギルドから出た俺とシロは空を飛んで雑談しながら王国の外の森へと来た。なんで、風魔法を使って飛んでいるのかというと歩いて王国の門を出るときに門兵に見つかると自体がややこしくなるからだ。まぁ、飛んでいけば見つからないのだ。さて、魔物狩りをするかな。まぁ、魔物を仕留めるのはさほど心配はないが、怖いのはいつだって同じ人間なのさ、まぁ、俺はこの世界じゃ普通の人間ではないがな。やれやれ、お約束の展開がまっていそうだからお金になる魔物を狩って餌にするかな。まぁ、獲物に与えるものはなにもないから疑似餌なんだけどね。
「お兄ちゃんあっちから血の匂いがするよ」
「おっ、妹よさすがだね」
さて、鹿の肉を食っているのはオークが三匹か。なかなか良いね。
魔物はD<C<B<A<S<SS<SSSと強さランクがある。トリプルSが最強の魔物ってところかな。
オークはCランクだね。まぁ大きな国の周辺の森なんてたいした魔物はいない。そりゃ、そうだよね、Sランクの魔物でさえ普通の国の兵士が万の兵士で挑んで勝てるかどうからしいし、Sランクの魔物を斃したら英雄扱いだからな。
「さて、妹よ線状爆破の極細でオークの頭を打ち抜く」
「了解です。お兄ちゃん」
シロは目の前に光の点を3つ維持して狙いを定めてレーザービームを放った。見事に命中。オーク達は絶命した。さぁ、どんどん狩ろうではないか。
魔物の素材の剥ぎ取りはしない。なぜなら、めんどいし、グロいし、それに空間魔法で魔法収納ができるから魔力が続く限り使いたい放題だからな。
そして、俺たち兄妹は夜の9時まで魔物狩りをした。転移魔法で宿に帰り、飯を食わずに浄化魔法で体を清めて寝た。
翌朝、冒険者ギルドに向かう。昨日の受付のお姉さんに魔物の素材の買い取りをお願いしたいと頼み別室に案内された。
昨日は気づかなかったがエルフの受付のお姉さんだったらしい。耳で察する。エルフは高い魔法の資質があり魔法を得意とする種族だが冒険者ギルドの受付として働く人が多いらしい。理由としてはエルフの女性は美人が多くしかも寿命が長くそれだけ人間族と違い歳をとっても綺麗な若い顔をしてるらしい。つまり、魔法をいかして生きるか死ぬかの冒険者をやるよりもエルフの女性は長寿で仕事を続ける期間が長く綺麗な整った顔は冒険者に好評となるのだろう。それだけが理由かは知らないが。
俺は思いを馳せていたがエルフのお姉さんの言葉で我にかえる。
「ねぇ、君達をみてるかぎり、魔石の1つも持ってないように見えるんだけど?」
魔石とは魔物の心臓みたいなものだ。不思議な事に綺麗な色で硬い。
「あっ、今だしますね」
ドサッドサッと山積みになった魔物達の山ができた。
「えっ!?その年で魔法収納?ていうか、コレはオークゥゥウーー。ギ、ギルド長に報告しなきゃ、キ、君達ここから動かないでね」
「お兄ちゃん」
「なんだい妹よ」
「あのお姉さん面白いね」
「そうか、妹よ」
俺たちは戻って来たお姉さんに連れられてVIPルームへと通された。
「私がギルド長をしているオーエンハイムだ。そして君達が話していたこいつの名前はエリサだ。」
「はい、俺の名前はシンです。」
俺は妹に目配せして合図を送る。
「私はシロ・・・」
「こちらが妹のシロです。」
「ところで君達は魔法収納が使えてオークほどの魔物を斃したのは事実なのか?」
「はい」
「私は百聞は一見にしかずと思っている。ここで魔法収納をやってくれ」
「シロがやる、えいっ」
「本当にできるのか。エリサ君」
「はい」
「君はそっちの男の子が魔法収納したと言わなかったかね?」
「えぇ、そうです。」
「では、君達、兄妹は2人とも魔法収納使えるのか?」
「うん、そうだよ」
「そうか、突然だがギルド長としてこの私、オーエンハイムは君達の才能を見込んでBランクの冒険者として、優遇しようと思う」
「お断りします」
「えっ、なんでなの?」
「エリサ君のいうとおり悪い話ではないと思うが?」
「俺たち兄妹は来年の4月から学校に入学するのが決まっているので、Bランク冒険者と知られれば困るので」
「そうか、なら学校を卒業したらギルドに来なさい、君達のうでしだいではギルドは君達を歓迎しよう。それとエリサ君」
「はい、君達2人に魔物の素材の買い取り額は40万円でいいかしら」
「えっ、金額が多いような」
「ギルドからの若者へのサービスだ」
「ありがとうございます、シロも」
「ありがとう」
俺たち、兄妹は冒険者ギルドのVIPルームから出た。
「エリサ君、君はあの子達をどうみる?」
「私は今は優秀でもこれからも優秀とは限らないので期待は半分程度でしょうか」
「君は素直じゃないなー。さっき、私の所に来た時は凄く嬉しそうでいかにも私があの子らの面倒をみたいと額に書いてあったぞ。それに、私はあの子らをみて、昔の英雄を思いだしたよ」
「えっーと、それってギルド長が好きな本で最後はすごい悲しいストーリーだったような。英雄と呼ばれた男女が魔王を斃すために戦い、彼女を守りきった彼が魔王と相打ちで死亡、そして彼を追うように彼女は自殺する話でしたよね」
「最近、思うんだが・・・いや、なんでもない。さぁ、仕事に戻ろう」
VIPルームからでた俺たち兄妹は、金貨を見せびらかすように金貨の入った袋を手に持っていた。
そして、冒険者ギルドをでてどんどん人気のない道を通る。俺は後ろから聞こえる複数の足音を聞きながら口元が三日月のように笑うのだった。