5話 王国
「シンとシロは今日からステータスをみることを禁じます。そして、お父さんとお母さんによる修行です」
俺は4歳から6歳まで親による修行という死なないための訓練をうけた。お父さんからは体術や剣術や身体強化や神気や怒気を教えてもらった。神気とは自分の心の奥にある感情を力に変えるものだという。怒気は怒りの感情を爆発させて力に変えるという面白いものだ。
お母さんからは、魔法について教わったり魔道具の作り方や使い方を教わった。
シロはそんな俺の修行を真似るように毎日つきそった。
俺からすると修行はめんどくささと達成感があってあじのある毎日だった。しかし、威力の高すぎる魔法はお母さんでもあまり使えなく修行してる間は威力の高い魔法は禁止になった。
そして、シロと俺が7歳になる前にお父さんとお母さんが俺たちを呼んだ。
「シンとシロには王国アラジンのガリレオ学校に入学するために実技試験を12月24日にうけてもらい、4月に入学してもらいます」
俺はそれを聞いて少し不安になった。なので髪の毛をいじりながらデメリットを考えていた。簡単に思いつくデメリットは人間関係、それと種族がバレて騒ぎになったり、人攫いなどの誘拐。とりあえず質問して意見を聞いてみる。
「学校に行って学べることなんてあるの?」
「そーだ、そーだ」
「お前たちには外の世界を知ってもらいたいんだ」
「住む家や学校のお金はどうすんの?」
「そーだ、そーだ」
妹よ、それが今の君のブームなのかい?可愛いから許すけど、結構、真面目な話だぞ。
「住む家は国王に手紙を送って実技試験さえ受かれば家は用意してくれるそうだ、それと学校のお金は心配すんな」
「うーん、そうなのか。お父さんとお母さんは王国にこないの?」
「私達はいろいろと王国にいるとまずいから2人で頑張って学校通うのよ、それと実技試験は手加減すること。いいわね?」
なぜお父さんとお母さんが王国にいたらまずいのか理由を聞きたかったが子供が大人の事情に口を挟むべきではないだろうとただ返事をした。
「「はい」」
それから2日後
そして俺たち兄妹は実技試験を受けるために馬車に乗って王国へ移動中である。本当は魔法で飛んでいってもいいのだが王国への道のり知らないから迷子にならないように道案内を頼んだ。
馬車に乗ってて暇だから景色を見ていたが本当に日本の都会と違い自然が豊かで木や草が多く空気が美味しいし空は青空、なんて素晴らしい。昼寝するのも気持ちいい。
「可愛い坊ちゃんとお嬢ちゃん、果物食べるかい?」
この馭者は俺たち子供にも気を使う良い人だ。
「はい、遠慮なくいただきます。シロもお礼を言いなさい」
「ありがとう、おじちゃん」
「子供なのに礼儀正しいね。おじちゃんの子供も君達ほど礼儀正しければなー」
俺は苦笑するしかなかった。
それから数時間後、日が暮れてきて夕方になって野宿の準備に入ってたら1匹の魔物が近寄ってきた。
シロが無邪気に馭者のおじちゃんにあの魔物なんて言うの?と聞いてておじちゃんが顔面蒼白になっていた。
「なんてこったAランクの魔物ホーンベアー。君達、おじちゃんが囮になるから後ろを振り返らず全力で逃げなさい」
この馭者さんは本当に良い人だなと俺は思った。
「この程度の魔物なら恐るるに足らずですよ」
「何を言ってるんだ、はやく逃げなさい」
俺はその辺の石ころを拾って思いっきりホーンベアーという魔物の額に向かって石を投げた。その石は凄い勢いで風をきりホーンベアーの額と頭蓋骨を貫通してホーンベアーの巨体が倒れる。
馭者さんは何度も目をこすりながら唖然としていた。
「おじちゃんどうしたの?」
シロが面白い顔で固まっている馭者のおじちゃんの顔を見て笑顔になる。
それをみた馭者のおじちゃんも顔を綻ばせる。
「ところで馭者のおじちゃん、このホーンベアー売れるか知らないけどあげるよ」
「いや、ホーンベアーは高く売れる。さすがにタダでは貰えない」
「ならまた会う時に恩を返してくれると助かります」
「すまない、買い取りたいがホーンベアーほどの素材を買い取れる金額が今、手持ちにない」
「では、交渉成立ということで」
馭者のおじちゃんは呆気にとられていた。
それから馬車に乗って2週間後に何事もなく王国に到着した。馭者のおじちゃんから王国の地図をタダで貰った。
「さて、妹よ。宿を探そう。一応、両親からこの世界での100万円貰ったしな」
「お兄ちゃん、この世界ってどういうこと?」
「細かいことは気にするな妹よ。さっ、行こう」
ここの宿が一泊5千円かー。俺は馭者のおじちゃんに教えてもらったオススメの宿に地図を見ながら歩いて来た。単純に計算しても200日以下は手持ちのお金で泊まれる。問題ないな、ここにしよう。しかし、ご飯はせっかく王国に来たのだしシロに美味しい飯を食べてもらいたい。成長してほしいという願望てきに。どこが?とは言わんがな。
よし、困った時は冒険者ギルドだな。俺たちは宿を確保したので冒険者ギルドに顔をだした。冒険者ギルドの受付に来てギルド職員のお姉さんに質問をする。
「お姉さん、魔物の素材の買い取りってしてますか?」
「可愛い坊やとお嬢ちゃんだね。魔物の素材の買い取りはおこなっているけど、冒険者ギルドに加入しないと低価格での取り引きになるわ。だけど君達ドワーフじゃなさそうだし、冒険者ギルドに加入するには幼すぎるわ」
「いえ、冒険者ギルドにはまだ加入しません。しかし、魔物の素材の買い取りはお願いしたいです」
「もしかして、君達が魔物と戦うんじゃないでしょうね?」
受付のお姉さんの顔はまさか子供が魔物退治でお金を稼ぐなんて馬鹿な事を考えてないでしょうねというはってつけたような怖い笑顔だった。
「どうでしょうね?では、また明日」
冒険者ギルドの受付から離れるとチンピラみたいなやつがからんできた。
「おいおい、そこのお嬢ちゃん。幼いのにすごい可愛い顔してんな。お兄さんと楽しいことして遊ばないかい」
「お前、ロリコンにもほどがあるぞ。お嬢ちゃん、大きくなったらお兄さんと遊ぼうぜ」
全く、異世界でもこういう連中はいるんだな。
俺は妹の手を離さないように握ってそそくさと冒険者ギルドをあとにした。