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月の娘と癒しと聖女 -1-

父さんから、本当の父さんでない事、私はニンゲンでない事を聞かされたあの時、私は父さんに言っていない事があった。


父さんは女神さまのお兄さんだって女神さまが言ってた事を。

ただの人間である者が女神の力を有する娘から力を分離させる事はできない。

女神より力のある兄だからこそできた事だと。


女神さまに言われた事を思い出しながら、父さんとこのままお別れしなきゃいけない不安で胸がいっぱいになり父さんにしがみ付きながらワンワン泣いた。

ひとしきり泣きスッキリした私は、あっちゃんへのお詫びのクッキーを焼いた。

翌日少し腫れの残った目のままあっちゃんの家に行きケンカの事を謝った。

腫れた目を見たあっちゃんはケンカの事で泣いたと思ったようでその場で泣き出した。

あっちゃんの泣き顔を見てたら私も訳もなく泣き出し、あっちゃんと抱き合いながらまたワンワン泣いた。

あっちゃんはその後家に入れてくれ、「こっちこそ昨日はゴメンね」と謝ってくれた。

あっちゃんの部屋で他愛もない話しで華が咲いた。

外が薄暗くなってきたので、「今までありがとう」とあっちゃんに挨拶し、家路についた。


帰宅した私は父さんに、神殿に行き癒しの力を自在に操れるように勉強すると伝えた。

ちょっと驚いた顔をした父さんからは神殿に行けば俗世間と隔絶されちょっとやそっとでは外に出られなくなると言われた。

人と自由に会う事もできなくなり、家族である父さんとも手紙のやりとりくらいしかできなくなる。

恋もできなくなるだろう。とも。

一瞬太陽の光にきらめく黄金の髪が浮かんだが、それには気付かないフリをした。

私の決意が固いと思うや父さんは神殿へ手紙を出した。



父さんにしがみ付きながらワンワン泣いたあの時から2年。

私は未だ太陽の娘と出会っていない。

私の運命はまだまわっていない。


明日、私は神殿に来てから初めて俗世間へ降りる。

癒しの聖女として。

神殿に入りたったの2年。

こんなに短い期間で人前に出るのを許されるようになるなんて今まで誰もいなかった。と神殿に仕える神子達は羨望の眼差しでこちらを見る。


当たり前だ、私は女神の娘の片割れ。

ニンゲンと同列に語るな。

私は太陽の娘のためにいるのだから。

このチカラを太陽に返すまで私は私のできる事をしよう。

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