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喋る人形
人間みたいな形をしたゴミ袋が、中に詰まっている電柱を撒き散らしながら、行進してくる様は、僕の脳裏に深く刻み込まれ、心臓を支配している迷走神経の高鳴りは、命の危険を指示している。
「正六面体を展開せよ」
男の声を聴くと同時に、数多の学生たちが展開図を描き出す。僕はその中でただ一人だけ、コンパスで真円を描き続けている。どこまでも丸さを求め続けた末に待っているのは、きっとろくでもないものに違いない。
希望に泥を塗りたくり、汗と涙に唾を吐きかけ、愛やら恋やらを肥溜めに沈め続けた僕が幸せになっていけない道理がない。




