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論理回路  作者: 野々宮晶
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毒物教本

 男はガソリンを飲み干したのだが、死ねなかった。なぜ、俺は死ねないのだろうと必死に考えたのだが、分からなかった。今度は高層ビルから飛び降りてみることにしたのだが、やはり死ねない。体が丈夫過ぎるのだろうか、骨折すらしなかった。痛みというのは俺のどこへ逃げ込んでいるのだろうと、空にかかる虹のようなものを眺めながら、思索していた。

 心臓から噴き出した血液が、公園を赤く染めぬいていく様を夢想しながら、男は今日も生きていくしかないと、決意したのであった。

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