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幸せな世界に挟まれた栞
本をめくれば広がってくる宇宙。その燦然たる輝きに心酔した私は作家を目指すことにした。しかし、私には助動詞の意味が理解できないという致命的な欠陥が存在したために、神秘的な文章を紡ぎだすカメレオンを捕まえることにした。それは森の中に生息しており、蝿を三匹食べさせるごとに一つの物語を吐きだしてくれる生物だ。私はそれを探しに、富士の樹海へと真夜中に潜り込んだのだが、どうやら遭難してしまったようだ。
上に襲われた私は渾身の思いで、地面に「助けてください」と描いたのだが、その時にようやく、小説というものがどのようなものかが理解できたような気がしてならなかった。




