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序章 ジンジャークッキー

「烏何故鳴くの」

ガラス玉のような透き通った声で少女は“七つの子”の一節を歌う。

「烏の勝手でしょ~♪」

「違うわよ、ばか」

隣から間違った合いの手を入れた少年のスネにがすっと蹴りを入れる。

「痛っ! ……(からす)は暴力的だなっ」

“烏”と呼ばれた少女は少年を鋭く睨んだ。

パーカ、Tシャツ、ショートパンツ、ニーハイからブーツに至るまで、全てが黒。

伸ばしっぱなしの髪はくしゃくしゃで、イエローの瞳は眼光すら放つ。

肌だけが驚くほど白い。

「ふん。ノギはテレビの見すぎなのよ」

ノギはジーパンにVネックのシャツを着た、極々普通の少年に見えるが、光の加減で曖昧に色を変える髪が目を引く。

目を引くくらいなら良いのだがその頭髪に偏見をもつ人も多い。

烏はそんなノギの髪の色をアレキサンドライト色と呼ぶ。

――アレキサンドライトっていうのは太陽光の下では緑、電球や白熱灯の下では赤や藤色、褐色に変化する宝石のことよ。

髪のせいで虐められていたノギは一度丸刈りにしたことがあった。

――君の髪は綺麗だわ。皆は自分と同じじゃないと気が済まないだけ。

ノギはその頃から烏を姉のように慕うようになった。

それから十年たった十六歳。

ノギと烏は同じ道を歩み、同じ仕事についた。

非日常とスリルと闇の、ジンジャークッキーみたいなピリッとした世界を味わうための。

彼らの仕事は、


キッチン・デリバリー。



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