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マナ娘のまなびや  作者: 沙φ亜竜
第5話 期末テストにはスイートハート
31/32

-5-

「マナっち、やってるに~」


 カリンちゃんだ。


「んふ、みんなで押しかけちゃった」


 セイカちゃんだ。


「ふふ。お疲れ様」


 レイちゃんだ。


 ふにゃ~、みんな、心配して来てくれたんだわ!

 思わず瞳が潤む。

 でも、さらに後ろから、別の面々が教室に入ってきた。


「くすくす。こんにちは」


 あれ? ミナミ先輩?


「おほほほ。さすがマナさん、期待どおりの結果を見せてくれますわね」


 ええ? 会長さん!?


「やぁやぁ、マナちゃん、今日も可愛いね~」


 うわっ!? 流瀬先輩!

 生徒会執行部の先輩たちまで揃って……。いったいどうして!?


「うふふ~、わたくしもお呼ばれさせていただきました。あっ、お呼ばれといえば……」


 うにゃ!? 学園長さんも!?


「ふふっ、あたいも来たぞ!」


 雷鳴先生まで! 遠慮のかけらもなく、長そうなお話を始めていた学園長さんに蹴りを入れてるし!


 あたしは、驚きの表情を隠せなかった。

 いったいこれは、なんなのだろう?


「うきゃっ。びっくりしたみたいだに~?」


 カリンちゃんはニヤニヤと笑っている。

 レイちゃんやセイカちゃんも、そして他の人たちも、みんな笑ってる。


 ……そうか。

 みんなヒマなんだわ。

 だから、あたしをバカにして笑い者にするつもりなんだ。

 ヒマ潰しのために。


 大勢でバカにしたほうが楽しいとか思って、カリンちゃんたちは、先輩や先生にまで声をかけたんだ。

 みんな、ひどいよ……。

 ほんのちょっと前までとは打って変わって、悲しい涙が溢れ出す。


「なによ、なによ、なによ! みんなしてあたしをバカにして!」


 一瞬きょとんとするみんな。

 だけど、すぐにあたしの思っていることを察してくれたのだろう、レイちゃんが一歩前に出て、あたしをそっと抱き寄せた。


「ほんと、バカね。わたくしたちは、そんなにヒマじゃないわ」


 レイちゃんの温もりで、あたしの心も少し落ち着いてくるのがわかった。

 とはいえ、まだ状況はよくわからない。

 涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げ、あたしはレイちゃんを見上げる。


「みんな一緒のほうが楽しいから、そう思って呼んできたの。マナ、あなたはひとりじゃないのよ?」


 みんなは本当に、あたしのためを思って来てくれたんだ!

 あたしは、頬が熱くなって、そんな顔を見られるのは恥ずかしくて、レイちゃんの肩に顔をうずめた。


「マナさん、これ……」


 しばらくして泣き止んだあたしに、セイカちゃんが差し出したのは、人数分のショートケーキだった。


「この前、ダメにしちゃったから、買ってきたの」

「ちょっと、学校に、ケーキ、なんて……」


 早兎子先生が、さすがに注意する。

 ただ、


「んふ、早兎子先生の分もあるの」

「ま、まぁ、たまには、いい、でしょう」


 すかさずセイカちゃんが放ったひと言で、先生は簡単に買収されていた。

 早兎子先生……そんなんで、いいの……?


「他にもいろいろあるのだよ~!」


 カリンちゃんたちは、たくさんのお菓子やジュースを取り出していた。


「こっちに机をいくつかくっつけて、テーブルを作りましょう」


 レイちゃんの指示に従い、先輩たちや先生たちも手際よく宴会の準備を始めている。

 えっと、これって、ほんとにあたしのため、なのかな……?

 ちょっと疑問符が浮かんできた。


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