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女の子三人と、きゃいきゃい笑いながら甘味処へと向かっていくセイカさんの後ろ姿を、私は真剣な眼差しで見つめていました。
「……少しは男らしくなったかも、なんて思ったのも、ほんの一瞬だけでしたわね」
思わずため息もこぼれ落ちてしまうというものです。作戦は結局失敗だったということでしょうか。
ですが、不思議と悪い気分ではありませんでした。
「いつもどおりが一番ってことよ」
「そうだね~。セイカちゃんは、ああやって笑ってるほうが、らしくていいと思うな、僕は」
「……確かに、そうかもしれないわね」
温かな眼差しを向けているミナミさんと流瀬くんを、私は飛びきりの笑顔で見つめ返しました。
そして、ひと言。
「では、私もいつもどおり、大暴れといきましょうか!」
『それはやめろ!』
なぜだか途端に、鋭いダブルツッコミが私の頭を強襲するのでした。