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マナ娘のまなびや  作者: 沙φ亜竜
第4話 じめじめ梅雨にはアジサイマツリ
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-1-

「マナ、おはよう」

「ふにゅ、レイちゃん! おはよ~」


 いつもの通学路で、爽やかな挨拶を交わす。

 でも、爽やかな朝、とはいかない。


 ここ最近はずっと雨。いったいどれだけのあいだ、お日様の顔を拝めない日が続いているだろう。

 梅雨だから仕方がないとはいえ、これだけじめじめとした雨が降り続くと、心までじめじめしてしまいそう。


「マナティなんだから、喜ぶべきじゃないのかに~?」

「にゃ~、マナティ言うな~!」


 違和感なくいつの間にか合流して会話に加わってるカリンちゃん。

 いつもどおりの朝ではある。

 だけど、やっぱりじめじめした日が続くのは、あまり嬉しくない。


「ボ……ボクは雨って、結構好き……。泣いてても、ごまかせるし……」


 セイカちゃんまで、いつの間にか合流していた。

 好き嫌いはともかくとして、その理由はどうなのよ?


「そういえば、今日の放課後は生徒会の会議があるって言ってたに~」


 カリンちゃんの言うとおり、昨日、会長さんから言伝を受けていた。


「面倒だけど、行かないとなにされるかわからないし、仕方がないわよね。……突然長旅に出たりとかしないかしら、あの人」


 レイちゃんは今日もブラックでした。

 なんか最近、ブラック率が高くなってる気がするなぁ~。


「あっ、アジサイだよ。ふにゃ~、とっても綺麗~」

「んふ、そうだね……。この時期はやっぱり、アジサイだよね」

「季節を感じさせるに~」


 こんなじとじとした雨の中ではあったけど、季節のわびさびを感じたからか、不思議と心が安らいでいく。

 そんなあたしたち三人の笑顔とは対照的に、レイちゃんは明らかに不機嫌そうな顔をしていた。


「ふん、わたくしはアジサイになんて興味ないわ」


 ふにゃ? どうしたんだろう?

 レイちゃんは、ああ見えて、お花とか綺麗なものは大好きだったはずなのに。

 アジサイだけは、なにか特別なのかな?


「べつにいいでしょ? わたくしにだって嫌いなもののひとつやふたつ、あるわよ」

「……ひとつやふたつじゃないのだよ。とくに食べ物の好き嫌いは、常軌を逸しているくらいだに~」

「う、うるさいわね。のんびりしてたら遅刻するわよ!」


 カリンちゃんのツッコミにも、不機嫌に答えるのみ。

 ふにゃ~、ほんとにどうしたんだろう、レイちゃん。


「……洗濯物が乾かなくて、不機嫌なのかな……?」

「ふにゅ。でも制服だよ~? 長い休みのとき以外は、洗ったりしないんじゃ……」

「体操着とかジャージとかもあるのだよ」

「あっ、そっか」

「ふん、わたくしの場合、制服だけでも数着は用意してあるし、体操着なら十着以上持ってるわよ」


 結局レイちゃんは不機嫌なまま、そして不機嫌な理由もわからないまま、あたしたちは学校に到着してしまった。


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