表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔術師無双〜二次元妄想理論がガチで発動した件〜  作者: 北風
第1章 コース名 炎の皿〜森の香りと黒い角を添えて〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/29

1-4: ステータスと知らない称号



朝のフェルミナ村は驚くほど平和だった。


水車が水を刻み、畑が広がり、

家々の煙突から細い煙が立ち上る。


……その平和を壊すように、

村の外れで“派手な音”を連発している男がいた。


俺だ。


冴島大輔、35歳。

職歴――プログラマー15年。

趣味――アニメ、深夜帯。


昨日、初級魔術ファイアで森を消し飛ばしたことで、

俺の中に一つの結論が出た。


> 妄想二次元理論は、本当に通用する。




これは冗談や感覚ではない。

再現可能な現象だ。


プログラマー脳が整理する。


現象:

 「ファイア」→破壊的威力

条件:

 強いイメージ(=二次元)

結論:

 世界は“理想像”を採用する仕様


つまり――


> アニメの必殺技=この世界で成立する魔術モデル




この発想が危険で最高で、そして現実的だった。


――だから朝からテストする。




俺は構えを取り、指先に集中する。


> 「《フレイム・ジャベリン》!」




瞬間生成された炎の槍が空を裂いて飛ぶ。

爆発音が森の奥に広がる。


> 「中級魔法っぽい動きだな……なんで?」




いや、アニメだと中級、という発想であるだけで、

この世界の人からすると 「初級魔術」 だ。


でも、俺の中では “かっこよさ”=“威力”。


世界がそれを採用した結果、森がえぐれている。


続ける。


> 「《ライトニング》!!」




青白い火花が炸裂し、空気が一瞬で乾く。

周囲の湿気がかすかに蒸発し、光が森の手前で散った。


自分で言うのもなんだが、

35歳のおっさんが朝からやる訓練じゃない。


だけど。


> 「……楽しい。」




胸を震わせるのは懐かしい感覚だった。


会社では常に“正解”が求められる。

現実では“理想”は削られていく。


でもこの世界では――


> 理想が現実になる。




一度味わったら抜け出せない。




そして、当然やる。


異世界転生アニメで、

主人公が絶対に叫ぶやつ。


> 「ステータス!!」




……沈黙。


風が吹いた。

木が揺れた。

農夫が見ていたら笑われる場面だ。


俺は咳払いして、もう一度。


> 「ステータス!!!」




――視界が割れた。


透明な光のウィンドウが浮かび上がる。



---


【ステータス】


名前 :冴島 大輔

年齢 :35

種族 :人間


能力値:

筋力 :?

敏捷 :?

魔力 :?

耐久 :?

技量 :?

幸運 :?


称号 :大魔道士


俺は硬直した。


> 「……は?」




能力が全て“?”。

値が存在しないのか、世界が測れないのか。


そして――称号:大魔道士。


いやいやいや。

俺って昨日まで“魔術?何それ?”の人だぞ?


プログラマー脳が処理する。


> (?=未定義 or 非公開 or 非測定可能。

 いずれにせよ“規格外”。

 そして称号が世界側の出力ということは――

 世界は俺を“大魔道士”と認識している)




オタク脳が悲鳴を上げる。


> (絶対ダメ!!マジでヤバい!!

 魔術理論知らない大魔道士とか死ぬ!!

「魔術とは?」って聞かれたら答えられない!!

“気合いです”じゃ吊るされる!!!)




その通りだ。


昨日まで普通にサラリーマン。

召喚呪文も魔力理論も知らない。

詠唱?文字?魔術書?全部未知。


なのに称号だけ“世界トップ”。


> (これは危険すぎる……)




理論がない強さは――弱さだ。

議論されたら一瞬で破綻する。


俺は深く息を吐いた。


> 「この称号……絶対にバレてはならない。」




理由は単純。


本物の魔術師に絡まれたら“詰む”


理論を聞かれて答えられない


「どこの魔術体系?」で死ぬ


“異常個体”として研究対象になる



つまり、


> 俺は今、“最強の一般人”として生きなければならない。




森は吹き飛ばすけど、心は一般人。

二次元魔法は使えるけど、魔術理論はゼロ。


だから――隠す。


> 「俺は魔術素人です。偶然です。運です。」




これで行くしかない。




ステータス画面を閉じる。

画面は空気に溶けて消えた。


代わりに、現実が重くのしかかる。


> 「……さて。」




森を吹き飛ばしても、腹は膨れない。


昨日はベルトンが飯をくれたが、

今日からは 俺は“旅人”だ。


この世界の貨幣も知らない。

仕事もない。

家もない。


> 「日銭、どう稼ぐ?」




35歳の現実感がここで効く。


魔術が強い=生活できる

……ではない。


生活には飯が必要で、飯には金が必要。


森破壊魔術士でも、財布は空だ。


> 「頼れるのは……ベルトンさんくらいか」




剣士で、冒険者で、

この村の人間事情を知っている。


魔術のことは聞けない。

でも、生活のことは聞ける。


草地から歩き出しながら、

薄く笑ってしまう。


> 「35歳、異世界でもバイト探しとはな……」




そうだ。

どこに行こうと、生きるために働くしかない。


そして、今日の目的は決まった。


> 「簡単な仕事がないか、ベルトンに聞く」




魔術の勉強より先に、腹だ。

生活だ。


ないと死ぬ。


薬草採集でも、荷運びでも、掃除でもいい。

日銭を稼ぎ、少しずつ情報を集める。


魔術理論なんて、それからだ。


俺は拳を握る。


> 「まずは食う。話はそれから。」




森を背に、村へ向かう。

夕日が背中を押した。


――世界は広い。

でも、まずは 今日の飯だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ