入学式(2)
「第七十回【ラヴィーバル学園】の入学式を行います!」と男が高らかに宣言した。
その言葉で僕ら新入生は静かに座っていた。
続いて男は「それでは、理事長のエミル・フォン・アードナーから新入生に向けて挨拶です」と男が言うと若い女性が登壇した。
見た目は三十代ぐらいで背も高い。
「新入生の皆さま入学おめでとうごさいます。ここ【ラヴィーバル学園】はアルカディア国の中でも伝統のある由緒正しい学校として歴史のある場所だ。長年の歴史に傷をつけないように学校外でも【ラヴィーバル学園】の生徒の自覚を持って行動して欲しい。以上で挨拶の言葉とします!」と新入生に鋭い目つきで挨拶を終わらせて降壇した。
理事長エミル・フォン・アードナー。まず、ここ【ラヴィーバル学園】は前の理事長が次の理事長を選択出来る権利があり、先代の理事長は下級貴族出身だったこともあり、階級制度を平等にしていたが、新たに就任した理事長エミルは上級貴族であり二十代の頃から数々の論文を提出している。
そんな若くて才能のある彼女を先代の理事長は目を付けていた。ただ彼女が理事長になったことで先代とは違った色のある学校になった。
彼女が掲げる校風は【実力主義】この四文字に全て捧げており、実力主義のため入学金など成績優秀者には例え貴族だろうと平民だろうと平等に生徒達を観ない。
そのおかげでここ最近の【ラヴィーバル学園】の評判は階級制度から遠い学校になりつつある。それでも階級制度は上級貴族を中心に根深く染み付いている。
正直、今まで出会った上級貴族たちが少数派だ。いやサイモンと一緒に冒険していた時点で変わっている人達かもしれない。
そしてエミル自身も上級貴族なのに【実力主義】を掲げていることも変わっているかもしれない。
エミルが降壇すると顔見知りの奴とヒソヒソとこちらを見て話していたかのように見える。
(あれは…エミル理事長とエラ師匠だ。何を盛り上がっているんだ?)
僕が二人のことを見ていると気づいたのかエラは手を振っている。久しぶりにあってテンションを間違ったエラが舞い上がっている。
その様子に気づいたエリーは、横にいる僕に小声で「エラ先生どうしたんだろうね?」「見なかったことにしよう」とこちらもはヒソヒソ話した。
「理事長ありがとうございました。続きまして新入生代表挨拶です」
男がそう言うと制服姿の綺麗な女性が登壇した。
その時、自分の目が信じられなくなった。
僕は彼女の容姿に見覚えがあった。髪や目の色が変わっても整った顔立ちや身にまとった雰囲気というのは感覚的に残っている。
彼女は僕たちの前で挨拶を始めた。
その新入生挨拶の声も聞き覚えがある。
ここまで来たら彼女は僕が思っている人物で間違いない。ただ彼女の見た目は人間と同じだ。
僕が考えていると、彼女から視線を突かれているような気がした。
「私たち新入生はラヴィーバル学園の生徒として沢山学び、実力を付けて将来はアルカディア国の将来を担っていきたいと思います。新入生代表リン・フォン・レイティーン」
彼女はお辞儀をして降壇した。
(名前も殆ど一緒じゃねぇか)
ティーンズ街の殺人事件で、僕が吸血鬼と戦った相手と一緒だ…。
僕はレイティーン家について調べようと思った。
(覚悟しろ。絶対お前の秘密を暴いてやる!)




